花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

『もっと知りたいカラヴァッジョ』

2009-12-24 01:07:56 | 読書
ゲストのアリスさんやokiさんから情報を頂いた『もっと知りたいカラヴァッジョ』(宮下規久朗・著/東京美術・刊)を読んだ。



今、日本で開催されている「ボルゲーゼ美術館展」でカラヴァッジョに興味を持った人々に向けての入門書として最適だし、もっとカラヴァッジョ作品を観たいと思っている人々にも親切な内容となっている。

作品やカラヴァッジョの人物像だけでなく、歴史的背景や、カラヴァッジョをめぐる人物相関図もわかりやすく、来年2月公開の映画「カラヴァッジョ」も事前に読んでおけば更に楽しめるはずだ。

多分『カラヴァッジョ鑑』や『カラヴァッジョ-聖性とヴィジョン』よりは読みやすいだろうし、読者には「もっと知りたい」から「もっと観たい」へと進化し、ぜひ『カラヴァッジョへの旅』へ…と言うのが宮下先生の思惑かも、なぁんて思ってしまった(邪推です)(^^;;;

で、私的には…う~ん、「もっと、もっと知りたい」気分だった。昨今、カラヴァッジョのサインも発見(?)されたようだし、没後400年記念イベントに向けて新しい研究成果も色々出ているようだし、それらもまとめて紹介して頂きたかったなぁ…。

美術館は美味しい。

2009-12-14 01:57:10 | 食べもの
okiさんのブログで紹介されていた「サライ」12月号による美術館カフェ・レストラン特集を見ながら、私なら静岡県立美術館カフェ・ロダンのスープを推薦するなぁ、などと思ってしまった。バス時間が迫っていたので、素早く食べられるメニューをとオーダーしたのだが、これが正解!さっぱりと美味しいし、身体は暖まるし、それに値段もリーズナブル♪ (今、美術館サイトをチェックしたら、メニューに食べた野菜とお肉のコンソメスープが無くなっていた。季節により変るのかも)

ところで、カフェ・レストランと言えば、前回のベルギー・ドイツ旅行では、噂のベルギー王立美術館のレストラン(ブラッスリー)でランチを取った。ミシュラン三ツ星シェフ、Peter Goossensがプロデュースとのことだが、そこで食したのは白身魚のグリル&海老と野菜のバターソーズを添えた一皿。意外に淡白な味付けで、日本で食べるフレンチの方が私向けかなぁ、なんて思ってしまった(^^;;


ベルギー王立美術館ブラッスリー

で、美味しいと感激したのは、実はシュテーデル美術館のカフェ・レストラン!
ホテルの朝食をどっさり食べ過ぎ、あまりお腹が空いていなかったので、ランチはパンニーニセット(サラダとドリンクがセット)を頼んだ。運ばれてきたセットはオシャレだし、もちろんパンもカリっとアツアツ。中の野菜もチーズと程よく調和し、イタリアで食べるパンニーニよりもずっとずっと美味しかったのだよ~(感涙)


シュテーデル美術館カフェレストラン

要するに、私って庶民派グルメなのだよね(^^ゞ

ちなみに、シュテーデルのレストランは広く明るくモダーンで、美術館の庭園を望む明るく大きな窓が特に気持ち良い。美術館の客よりも、近所のオフィスのビジネスマンで混んでいた。少し離れた席ではランチ・パーティーをしているお洒落なグループまでいる。素敵な空間だし、料理は美味しくリーズナブル、従業員たちもキビキビとしていて、きっとフランクフルトの人たちに愛されているレストランなのだろうなぁと思った。


天井も高く、スペースも広い

日本の美術館のカフェ・レストランもお洒落で美味しいところが多いようだ。美術館巡りは視覚と味覚の果報になりそう。でも、私的には庶民派メニューの充実も期待したいなぁ(^^;;

ローマ旅行記(1)

2009-12-02 01:10:37 | 海外旅行
「Caravaggio・Bacon」展の(3)は書くつもりであるが、中休み(?)に旅行記をば(^^;

今回のローマ旅行は「カラヴァッジョ・ベーコン展」が目的で、滞在日数もいつもより少なかった。歳とともに疲れがどうしても残るので、帰国してからの休養日を作らないと出社してからが辛いのだ(涙)

さて、廻ったところは…

・ボルゲーゼ美術館
・ドーリア・パンフィーリ美術館
・ファルネジーナ荘
・コロンナ美術館
・ヴェネツィア宮「il Potere e la Grazia」展
・クイリナーレ宮(大統領府)
・サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会

ちなみに、久しぶりで「地球の歩き方 ローマ」を購入したら、「バロック美術とカラヴァッジョ」などという特集記事がど~んと掲載されており、時代が変ったなぁと感慨深かった。なんだか、ライヴハウス時代から応援していたバンドが東京ドーム公演チケット即日完売の人気!になったような感じかな(笑)

さて、ドーリア・パンフィーリも久しぶりだった。ベーコンの「イノケンティウス10世」を観たら、やはりベラスケスのご本尊にも再会したくなったからだ。もちろん、カラヴァッジョもあるしね。あ、ボルゲーゼには「改悛のマグダラのマリア」が貸し出されているので、訪れる方は要注意かも。


■ファルネジーナ荘(Villa Farnesina)

ファルネジーナ荘は以前コルシーニ美術館の帰りに寄ったのだが、既に閉館していたという哀しい思い出がある。ウィークデーの午後1時までしか開いていないのだ。なので、今回は再挑戦!


「ヴィッラ・ファルネジーナ」(設計:パルダッサーレ・ペルッツィ,1520年完成)

ファルネジーナ荘はシエナ出身の有力商人アゴスティーニ・キージ(1466-1520)のヴィッラだった。実力も人気も絶頂期のラファエッロに設計やら壁画を依頼するほどだから、よっぽどのお金持ち&芸術愛好家だったのだろうね。ヴィッラはその後ファルネーゼ家のものとなった。

入口を右回りに入ると、そこは「ガラテアの間」である。壁面に描かれたラファエッロのフレスコ画《ガラテア》(1511-12)が有名で、ギリシア神話世界が大らかに描かれている。天井にはキージの誕生星座にに纏わる青の天空が美しい。右回りに異動すると、そこはラファエッロ設計による回廊「プシケのギャラリー」。高い天井とアーチ型の柱。視界が外に開け素敵だ♪


プシケのギャラリー(天井画はジョヴァンニ・フランチェスコ・ペンニとジュリオ・ロマーノによる)

ところで、《ガラテア》を観ながら、ふと足元のアモルに目を移したら、あれっ、ドレスデンで観た《サン・シストの聖母》(1513-14)のあのやんちゃ天使じゃない?と気がついた!

  
ラファエッロ《ガラテア》(ファルネジーナ荘)         ラファエッロ《サン・シストの聖母》(ドレスデン・アルテピナコテーク)
             

ねっ、《サンシストの聖母》の向かって右側の天使とそっくりでしょ。同じモデルを使ったのかも、なぁんてすっかり嬉しくなってしまった♪

2階に上がると、そこは「遠近法の間」だった。遠近法を使い、まるで円柱の間からローマの街並みが見えるように描かれている。 


ペルッツィ描く「遠近法の間」

「遠近法の間」の奥の部屋がキージの寝室で、鮮やかなフレスコ画で装飾されている。ソドマによる《アレキサンダー大王とロクサーヌの結婚》が描かれていることから「結婚の間」と呼ばれているらしい。

 
ソドマ《アレキサンダー大王とロクサーヌの結婚》

ここで、おおっ、と思ったのが、ソドマ(1477-1549)の描くロクサーヌがルイーニっぽかったこと。ソドマはシエナ出身ではあるが、確かロベルト・ロンギの著作の中で、カラヴァッジョに先行するロンバルディアの画家たちとして名前が挙がっていた記憶がある。ルイーニっぽいということはミラノ・ロンバルディア派、即ちレオナルド・ダ・ヴィンチの影響とも言うべきで、その証拠をその右側の壁に発見した!(言い過ぎ?(^^;;;)



このアモルは画像でははっきり見えないけど、レオナルドの描く幼児イエスに良く似ているのだ。帰国してからソドマをネットで調べたら、「ウィキペディア(Wikipedia)」に、ソドマがミラノに行ったことが言及されていた。やはり! こーゆー自分の眼での発見って案外嬉しいものなのだよね(^^ゞ