大抵の美術館案内書にはアカデミア美術館のジョルジョーネは旅行記(2)で触れた《テンペスタ(嵐)》と《老婆》しか扱っていなにのだが、どうした訳かカ・ドーロにあるはずのフレスコ画《裸体》、もあった。しかも、それだけではない。あのカステルフランコのサン・リベラーレ聖堂にあるはずの祭壇画《玉座の聖母子と聖リベラーレ、聖フランチェスコ》もあったのだ!
http://www.wga.hu/html/g/giorgion/religion/madon_fr.html
ヴェネツィアでは沢山の祭壇画を観たのだが、ジョルジョーネのこの祭壇画の異色さはソフィスティケートされた優美さにあるように思う。構図自体も濃紅色の織物で上下に分断され、その上部に玉座に座る聖母子が、下部に聖リベラーレと聖フランチェスコが立つという、正三角形シンメトリーで構成されている。聖母子の柔らかな雰囲気。聖リベラーレの鎧の光沢の描写さえこの聖者(若者としか見えない)美しい装飾衣装と見える。聖フランチェスコは左手を差出しながら優雅なポーズをとっている。三者の微妙なハーモニーが背景の風景と一体となり、優美な雰囲気を醸し出しているのだ。
私がこの作品の前に立った時、ちょうど目の位置が聖母子の足元に当たった。その足元から垂れている緑地の織物の繊細な質感描写に圧倒されたのだが、横に金色の細い線で織糸とその光に輝く陰影を描写していた。その繊細な描線を観ながら、ようやく芸術家として認められつつあった画家たちも、やはりまだ職人技の世界に住んでいたのではないか…と、ふと思ってしまった。私には薄暗い展示室の2作品よりもこの祭壇画に出会えたことの方が嬉しかったような気がする(^^;;
http://www.wga.hu/html/g/giorgion/religion/madon_fr.html
ヴェネツィアでは沢山の祭壇画を観たのだが、ジョルジョーネのこの祭壇画の異色さはソフィスティケートされた優美さにあるように思う。構図自体も濃紅色の織物で上下に分断され、その上部に玉座に座る聖母子が、下部に聖リベラーレと聖フランチェスコが立つという、正三角形シンメトリーで構成されている。聖母子の柔らかな雰囲気。聖リベラーレの鎧の光沢の描写さえこの聖者(若者としか見えない)美しい装飾衣装と見える。聖フランチェスコは左手を差出しながら優雅なポーズをとっている。三者の微妙なハーモニーが背景の風景と一体となり、優美な雰囲気を醸し出しているのだ。
私がこの作品の前に立った時、ちょうど目の位置が聖母子の足元に当たった。その足元から垂れている緑地の織物の繊細な質感描写に圧倒されたのだが、横に金色の細い線で織糸とその光に輝く陰影を描写していた。その繊細な描線を観ながら、ようやく芸術家として認められつつあった画家たちも、やはりまだ職人技の世界に住んでいたのではないか…と、ふと思ってしまった。私には薄暗い展示室の2作品よりもこの祭壇画に出会えたことの方が嬉しかったような気がする(^^;;