絵画コレクションでは、他に興味深い作品に目を止めてしまった。なにしろ「パルマで活動したフランドルの画家(16世紀後半)とある。
パルマで活動したフランドルの画家(16世紀後半)《洗礼者聖ヨハネ》(16世紀末)
特に眼を惹くのは聖ヨハネが紅緞子(?)を敷いていることで、その描写も含めて、ああ...フランドルだなぁと頷いてしまう。聖ヨハネの造形やポーズについてはパルミジャーニーノの影響は納得だが、やはりクリクリ巻き毛や斜め対角線構図などに、私的にパルマと言えばコレッジョからの影響も想起してしまうのであった。
ちなみに、パルマ公オッターヴィオの妃マルゲリータ(1522-86年)はハプスブルグ家カール5世(カルロス1世)の庶子(フランドル育ち)であり、スペイン領ネーデルラント総督(1559-1567年)も務めた。後に息子のパルマ公アレッサンドロもネーデルラント総督を務めた(1578年 - 1586年)ので、パルマ公国領でフランドル画家が活動するのはとても了解できるのだ。
で、教皇ウルバヌス8世の肖像である。
ピエトロ・ダ・コルトーナ《教皇ウルバヌス8世の肖像》(1624-27年頃)
パラッツォ・バルベリーニにはコルトーナの描いた有名な天井画がある。なので、コルトーナがマッフェオ・バルベリーニの肖像を描いたのは当然だろう。左手に手紙(書類?)を持つところなんてカラヴァッジョ作品を想起させるけど、きっと教皇はこのポーズがお気に入りだったのかも。
この作品でやはり目を惹かれるのはゴージャスなレースの描写で、もしかしてウルバヌス8世はレース好き(お洒落?)だったのかも?と思ってしまったのだ。
というのも、同じカピトリーノ美術館にある《教皇ウルバヌス8世の彫像》を想起したからである。
ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ《教皇ウルバヌス8世の彫像》(1635-40年)カピトリーノ美術館
ベルニーニもレースを描写しているのだよね。まぁ、ベルニーニとしては硬い表現だけど、こちらもレースの波うち具合とか頑張っているなぁと思ったのだ
ということで、サクッと感想はここまでで...。