3月6日(土)、NHKプレミアム「バチカン 秘密の宮殿」を見た。
https://www.nhk.or.jp/info/pr/toptalk/assets/pdf/soukyoku/2020/11/004.pdf
コンスタンティヌス帝のキリスト教の歴史からバチカン宮殿成立の歴史、そしてサン・ピエトロ大聖堂建築の歴史まで、美術も建築も織り交ぜた盛りだくさんの内容で見応えがあった。
(バルダッキーノからカテドラ・ペトリを臨む)
バチカン宮殿の全容は一般入場者には謎だったが(まさに秘密?)、今回、平面図だけでなく3DCG画像などを使い、宮殿建築の概要と威容が推し量れるようだった。更に、歴史の重層性も地下礼拝堂などから了解され、聖ペテロの墓の上に建てられたバチカンの歴史が現在まで続く様が興味深い。
私的には前半にロレンツォ・ロット《受胎告知》が出てきのが嬉しく、後半は圧巻のミケランジェロ特集! 。もちろん、ユリウス2世のパトロネージやラファエッロとのライバル関係を含め、システィーナ礼拝堂天井画に《最後の審判》とフレスコ絵画制作大活躍だが、晩年は建築家としてクーポラ設計にも関わり、特に自筆のクーポラ付け柱の図面発見など興味深いお話満載だった。
と言うことで、まず、キリスト教会絵画の説明で紹介されたロレンツォ・ロット(Lorenzo Lotto、1480-1556/7年)の《受胎告知》。私的に「えっ?!」と驚くこのマリアさまがフツーの女の子っぽくて好感度抜群なのだよ。
ロレンツォ・ロット《受胎告知》(1528年)レカナーティ市立美術館
そして、番組で紹介されていた悪魔の手先?の猫さん。マリアにしか見えない天使の気配を感じてビックリしているところだとか。
でもね、かわゆいのよぉ~♪ 論より証拠、レカナーティ市立美術館のトレードマークはこの猫さんだもの。
さて、番組後半はバチカン宮殿成立の歴史とミケランジェロ特集と言っても良かった。今回、パトロンである教皇ユリウス2世にかなりスポットライトが当たっていたのが興味深かった。(私的にジュリアーノ・デッラ・ローヴェレがどうも好きでないのはチェーザレ・ボルジア贔屓のためかも)
ちなみに、下↓はシスティーナ礼拝堂の天井画に苦労しているミケランジェロの愚痴満載手紙に描いた自画像。文句言いながら描いて、結局あの天井画になるんだから、その才能はやはり「神のごとき」なのだと思う。
ミケランジェロ「システィーナ礼拝堂天井画を描いている自画像」(1508-12年)カーサ・ブオナローティ
ミケランジェロ建築については2016年のパナソニック汐留美術館「ミケランジェロ展 ルネサンス建築の至宝」を観ていたし、ちょうど「世界の夢のルネサンス建築」も読んでいたし、彫刻家&画家であるミケランジェロの建築家としての凄さも改めて勉強させてもらったような気がする。
https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/16/160625/ex.html
晩年、難航していたサン・ピエトロの大聖堂クーポラの最終的設計を任されたミケランジェロが、近年の自筆のクーポラ付け柱の図面発見などから、当時、設計だけではなく現場監督のように指示図まで描き、老体にもかかわらず、生真面目に精魂を傾け仕事に取り組んでいた様子が偲ばれ心を打つ。その才能と努力が人知を超えて凄すぎるのだ!!だからこそ「神のごとき」ミケランジェロなのね。
ということで、盛りだくさんの内容で「バチカン宮殿の秘密」が了解されたのだが、私的に不満なことがあった。それは「パオリーナ礼拝堂(La Capella Paolina)」が出てこなかったこと。もしかして紹介されるかも?と、密かに楽しみにしていたのに、残念!!
https://www.vatican.va/various/cappelle/paolina_vr/
ミケランジェロの描いた2つのフレスコ画、《サウロの回心》と《聖ペテロの十字架》(1542-49年)は、美術ど素人の私見ではあるが、カラヴァッジョの聖ポポロ教会チェラージ礼拝堂の2作品(オデスカルキ=バルビ《サウロの回心》とチェラージ《聖ペテロの磔刑》)に大いに影響を与えていると思っているのだが...??。
ちなみに、最後のエンドロールに「取材協力」としてH先生のお名前があった。あらためて、H先生情報に感謝です!!