静岡県立美術館のロダン館は明るいドーム天井の現代的な建物で、広々しているし天井も高いので実に気持ちが良い。
入り口で無料のイヤホンガイドが借りられ、解説を聴きながらゆっくり作品を巡ることがでる。
まずは《カレーの市民たち》の個々のブロンズ像が並んでいる。群像としては国立西洋美術館で観ていたが、一人ひとりの表情やポーズに込められた物語を初めて知ることになった。差し出す手、握りこぶし、肩の表情、背中のくぼみ、首の傾き…。
市民の個々像を様々な角度から眺めていると、ロダンの造形の力強さに圧倒されてしまう。今度上野に行ったら、改めて群像構成をしっかり観てみたいと思う。
先を進むと有名なバルザック像の試作もある。バルザックの表情、眼の窪みの深さが印象的であった。彫像から受けるバルザックの複雑豪快でゴツそーな趣は、私の好きな「セラフィタ」作者としてのイメージからはかなり遠く、そのギャップの大きさが面白い(^^;;
で、やはりこのロダン館のハイライトは《地獄の門》と言えるだろう。西美では作品自体に接近できないが、ここ静岡ではかなり間近で観ることができる。門にうごめく人々…。人間の苦悩と悲しさが門の中から立ち上ってくる凄さ!観ながら思ったのだが、門の複雑な群像構成を《考える人》がきりりと締めているのだよね。
次のコーナーには《地獄の門》の複雑な群像モチーフの試作像も色々展示されている。それぞれのエピソードの成り立ちや、ひとつの型から複数のポーズを作り上げる手法、複数のポーズを合体させるアッサンブラージュ、ロダンの合理的で革新的な手法がよくわかる仕掛けになっている。
さて、館内をぐるりと巡り、そろそろ終わりかなというコーナーに意外なブロンズ像を発見した。古風なコスチュームにパレットを持っている….誰だろう? な、何とクロード・ロランの像だった!!
解説によれば、ナンシーの公園に設置するためロダンに依頼されたとのこと(ナンシーでは気が付かなかった/涙)。ロランの視線は遠く夕陽を眺めているかのようだ。この美術館はロランの絵を所蔵しているのだから、まさしく相応しい像だなぁ、となんだか嬉しく思う。
で、振り返るとそこにもうひとつのパレットを持ったブロンズ像があった…。ん?ジュール・バスティアン=ルパージュ?!思わず、うっそー!と口の中で叫んでしまった(^^;;;
左がクロード・ロラン。右がジュール・バスティアン=ルパージュ。
「オーギュスト・ロダン」静岡県立美術館・刊より(見難い画像ですみませんねぇ(^^;;;)
ジュール・バスティアン=ルパージュ(Jules Bastien-Lepage 1848-1884 )はクロード・ロランと同じロレーヌ出身の画家である。同じくロレーヌの画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの展示室のあるロレーヌ博物館には、確かルパージュのパレットも展示されていた。そのパレットに果たしてBLのイニシャルがあったかは記憶に定かでは無いが、ロダンのルパージュ像のパレットにはBLのイニシャルが鮮やかに刻まれている。ルパージュとロダンは同時代の芸術家だし、もしかして顔見知りだった可能性はあるのだろうか?
ところで、ルパージュ像もナンシーにあったのかな?と思い、ナンシー美術館で購入したルパージュ本をチェックしたら…更に発見!同じロダン作品でも静岡と違うポーズ作品が載っているのだ!(・・;)
ジュール・バスティアン=ルパージュ像
《Jukes Bastien-Lepage Peintre Lorrain》 Bernard Ponton著より
本にはパリのロダン美術館所蔵と記されている。ということは、ロダンはルパージュ像を少なくても2ヴァージョン作っているということだよね。どちらが試作なのかはわからないけど、ロダンが気合を入れて作ったことは確かだろう。
最後にロレーヌの画家たち像と出会えるなんて…わざわざ静岡に来て良かった!とつくづく思ったのだった(^^ゞ
入り口で無料のイヤホンガイドが借りられ、解説を聴きながらゆっくり作品を巡ることがでる。
まずは《カレーの市民たち》の個々のブロンズ像が並んでいる。群像としては国立西洋美術館で観ていたが、一人ひとりの表情やポーズに込められた物語を初めて知ることになった。差し出す手、握りこぶし、肩の表情、背中のくぼみ、首の傾き…。
市民の個々像を様々な角度から眺めていると、ロダンの造形の力強さに圧倒されてしまう。今度上野に行ったら、改めて群像構成をしっかり観てみたいと思う。
先を進むと有名なバルザック像の試作もある。バルザックの表情、眼の窪みの深さが印象的であった。彫像から受けるバルザックの複雑豪快でゴツそーな趣は、私の好きな「セラフィタ」作者としてのイメージからはかなり遠く、そのギャップの大きさが面白い(^^;;
で、やはりこのロダン館のハイライトは《地獄の門》と言えるだろう。西美では作品自体に接近できないが、ここ静岡ではかなり間近で観ることができる。門にうごめく人々…。人間の苦悩と悲しさが門の中から立ち上ってくる凄さ!観ながら思ったのだが、門の複雑な群像構成を《考える人》がきりりと締めているのだよね。
次のコーナーには《地獄の門》の複雑な群像モチーフの試作像も色々展示されている。それぞれのエピソードの成り立ちや、ひとつの型から複数のポーズを作り上げる手法、複数のポーズを合体させるアッサンブラージュ、ロダンの合理的で革新的な手法がよくわかる仕掛けになっている。
さて、館内をぐるりと巡り、そろそろ終わりかなというコーナーに意外なブロンズ像を発見した。古風なコスチュームにパレットを持っている….誰だろう? な、何とクロード・ロランの像だった!!
解説によれば、ナンシーの公園に設置するためロダンに依頼されたとのこと(ナンシーでは気が付かなかった/涙)。ロランの視線は遠く夕陽を眺めているかのようだ。この美術館はロランの絵を所蔵しているのだから、まさしく相応しい像だなぁ、となんだか嬉しく思う。
で、振り返るとそこにもうひとつのパレットを持ったブロンズ像があった…。ん?ジュール・バスティアン=ルパージュ?!思わず、うっそー!と口の中で叫んでしまった(^^;;;
左がクロード・ロラン。右がジュール・バスティアン=ルパージュ。
「オーギュスト・ロダン」静岡県立美術館・刊より(見難い画像ですみませんねぇ(^^;;;)
ジュール・バスティアン=ルパージュ(Jules Bastien-Lepage 1848-1884 )はクロード・ロランと同じロレーヌ出身の画家である。同じくロレーヌの画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの展示室のあるロレーヌ博物館には、確かルパージュのパレットも展示されていた。そのパレットに果たしてBLのイニシャルがあったかは記憶に定かでは無いが、ロダンのルパージュ像のパレットにはBLのイニシャルが鮮やかに刻まれている。ルパージュとロダンは同時代の芸術家だし、もしかして顔見知りだった可能性はあるのだろうか?
ところで、ルパージュ像もナンシーにあったのかな?と思い、ナンシー美術館で購入したルパージュ本をチェックしたら…更に発見!同じロダン作品でも静岡と違うポーズ作品が載っているのだ!(・・;)
ジュール・バスティアン=ルパージュ像
《Jukes Bastien-Lepage Peintre Lorrain》 Bernard Ponton著より
本にはパリのロダン美術館所蔵と記されている。ということは、ロダンはルパージュ像を少なくても2ヴァージョン作っているということだよね。どちらが試作なのかはわからないけど、ロダンが気合を入れて作ったことは確かだろう。
最後にロレーヌの画家たち像と出会えるなんて…わざわざ静岡に来て良かった!とつくづく思ったのだった(^^ゞ