旅行に行ってきた。出発前日まで仕事の調整で疲れ果て、往きの飛行機では爆睡状態(笑)。更に、旅行のスケジュールも過密だったし、初日からロスト・バゲージまで勃発!まぁ、以前にも経験はあるので、そこはなんとかのりきったが、旅行後半はかなりの疲労でフラフラ状態。何度か「パトラッシュ…」と溜息ついたりの旅だった(笑)
さて、今回はデュッセルドルフの
「CARAVAGGIO展」とボローニャの
「アンニバレ・カラッチ展」を中心に、未見のCARAVAGGIOジェノヴァ作品「エッケ・ホモ」とプラート作品「荊冠のキリスト」を攻略する計画だった。
◇デュッセルドルフ
・クンスト・パラスト美術館(museum kunst palast )
「CARAVAGGIO ―Auf den Spuren eines Genies 展」&「常設展」
「CARAVAGGIO展」では展示模作作品数の多さからも当時のCARAVAGGIO人気を再確認することができた。また、模作と真作の議論が多い故か、なんと専門の調査委員会までできたらしい。まるでレンブラント並のよう?
それから会場でニヤリとしてしまったのは、カピトリーノ「洗礼者ヨハネ」とベルリン「勝ち誇るアモル」が向かい合うように展示されていたこと!♪
また、今更ながら気がついたのはロンドン「エマオの晩餐」のテーブルクロスの織模様と質感!その微妙な反射光の効果に惚れ惚れしてしまった。ちなみに、ミラノで偶然テツィアーノのルーヴル「エマオの晩餐」を再見したが、こちらは一層緻密なダマスク織模様で、CARAVAGGIOはきっとテツィアーノ作品を見ているんじゃないかと思った。
展覧会詳細は後日まとめたい。
◇ジェノヴァ
・パラッツォ・ビアンコ(Palazzo Bianco)
・パラッツォ・ロッソ(Palazzo Rosso)
・パラッツォ・ドーリア・トゥルシ(Palazzo Doria Tursi)
・スピノーラ絵画館(Gallleria Nazionale di Spinola)
・パラッツォ・レアーレ(Palazzo Reale)
・サン・ロレンツォ教会(San Lorenzo)
パラッツォ・ビアンコのCARAVAGGIO「エッケ・ホモ」は観たところナポリ~シチリア時代の作品だろうなぁと思った。俗っぽいモデルのピラトの饒舌さとキリストの沈黙が印象的な作品だ。後ろからマントを被せる若者の背が高すぎるんじゃないかとツッコミを入れたくなったが、構図上こうなるんだよね、きっと(^^;。でも、この若者ってどこにでもいるお兄ちゃん的リアリティがあってCARAVAGGIOらしいと思う。
ところで、ジェノヴァはヴァン・ダイクが留学していた地ということもあり、作品が多く残っており、結構作風の変遷が辿れて興味深かった。また、スルバラン作品なども観られて得した気分♪
◇ボローニャ
・市立考古学博物館(Museo Civico Archeologico)
「アンニバレ・カラッチ展」
・サン・ペトロニオ聖堂(Basilica di San Petoronio)
・旧ボローニャ大学 図書館(Palazzo della Archiginnasio)
・ボローニャ国立絵画館(Pinacoteca Nazionale)
「カラッチ展」ではCARAVAGGIOが一目置いていた(バリオーネ裁判記録)と会場説明にも書いてあるところがかわいい(笑)。回顧展なのでリアリズムを起点にコレッジオの影響を受けさらに洗練されて行く過程が見て取れて面白かった。風景画も多く描いていたことも意外。クロード・ロランの先駆的役割なのか?また、フレスコ画の素描も展示されていて、できればローマのパラッツォ・ファルネーゼの内部を観たい!>仏蘭西大使館さま
ところで、ボローニャはカラッチ一族とグイド・レーニの出身地だから国立絵画館では両者のかなりでかい展示室があった(笑)。ここでラファエロが観られたこともラッキー♪
ちなみに、国立絵画館のすぐ隣はボローニャ大学(新)で、ロベルト・ロンギもパゾリーニもこの絵画館を度々訪れていただろうし、現在だってウンベルト・エーコとすれ違ってもおかしくないよなぁと感慨深かった。
◇フィレンツェ
・ウフィッツィ美術館(Galleria degli Uffizi)
・サンタ・マリア・ノヴェッラ教会&博物館(Santa Maria Novella & Museo)
・花の聖母教会ドゥーモ(Santa Maria del Fiore)
・ドゥーモ付属博物館(Museo dell Opera di Santa Maria del Fiore)
ウフィッツィは予約していなかったが、朝一番で並んだらすんなり入場できた。CARAVAGGIOの展示室は現在2階に移動になっている(Yさんからの事前情報に感謝!)。「イサクの犠牲」の隣にアルテミシア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユディット」があるというのも刺激的。「メデューサ」はガラスケースに入っていて盾の後ろ側も観られるようになっていた。「バッカス」はぶどう酒の泡立ちに見惚れてしまうほど♪久々の3作品との再会が嬉しかった!
◇プラート
・アルベルティ絵画館(Galleria degli Alberti)
この絵画館が事前予約制だとは知らず、突然訪ねてしまった私は泣きついて特別に拝見させていただいた(館員のみなさまに感謝!)。「荊冠のキリスト」は行った甲斐があったと思ったほどの素晴らしい作品で、スポットライトに浮かび上がるキリストの身体描写には唸るほど!この作品の延長線上にナポリの「キリストの笞打ち」があるのではないかと思った。最盛期らしいオーラを放つ作品である(感涙)。
この絵画館でもう1枚目が釘付けになったのはベッリーニの「磔刑」で、文句なしの質の高さ!
◇ミラノ
・アンブロジアーナ絵画館(Pinacoteca Ambrosiana)
テツィアーノ作「エマオの晩餐」(ルーヴル美術館)特別展示付
「果物籠」の前でしみじみ見惚れていた。ド・ヘタながら模写までした作品なので、細部の筆致まで確認。思わず葉の上の水滴の数まで数えようとしてしまった(笑)
実は「お絵かき」をした時に、PCでオリジナル画像の背景を塗りこめる実験をしてみた。断然前面の果物籠が浮き立つような効果があり、今回は背景を再度確認しようと思っていた。で、思った通り!時代を経て絵の具がひび割れしているし退色も見受けられるが、完成当時は明褐色の背景がマットに塗りこめられ、果物のリアルな質感は現在以上に驚異であったことは確かだ。なお、背景色(中間色)の重要性についてはゲストの桂田さんのブログで勉強させていただき感謝!
アンブロジアーナでは常設展示絵画の他に版画・素描なども展示しているのだが、今回は「レンブラント版画特集」だった。観ながら、これはゲストのアルブレヒト・ADさん向けだなと思ってしまう(^^)。光と影を銅版画で繊細に表現するレンブラントの試みが線描から強く伝わって来る。レンブラントの版画はまるで絵画を描いているように思える。
さて、今回アンブロジアーナでテツィアーノ「エマオの晩餐」(ルーヴル美術館)に再会できるなんて思ってもいなかった!絵画館所蔵作品との関連でルーヴルから借りたようで儲けものだった♪そのテーマ的にはロンドンNGの「ノリメ・タンゲレ」の方が相応しいと密かに思ったのだが、観る側としてはこちらの方が断然嬉しかった(笑)。ルーヴルではやや上方に展示されていて近づいて観られず、今回は間近で観られたのだった♪
ざっと飛ばし書きしてしまったが、後日、また詳細に触れたいと思っている。それにしても歳を実感、疲れた~!