縷々は私の祖父の別名です。
私の生まれるずっと前に37才でこの世を去りました。
昭和11年2月28日早朝のことです。
芸術や文学を愛し、俳句を詠んでおりました。
私の手元に句集と追悼号があります。祖父同士が学生時代の
親友でしたので写真は結構見ていました。
結核に苦しみ、最後は闘病の句が多く見られます。
血に痴れてヤコブのごとく闘えり
桐の実のさらさらとなる音にこもり
祖母がなくなった時、ずっと持っていた手帳を見せてもらいました。
その時、私は祖母の時間は祖父が亡くなった時から止まってしまった
のではと思いました。手帳には雪の降る日の葬儀の様子がメモして
ありました。祖父のことは作家とかが取材によく来たがっていると生前
祖母は申しておりましたが、あまりたくさん私も聞いていません。
もっと聞いておくのだったと今思います。(TVドラマで主人公では
ないのですが、祖父と祖母の役の人が出てきて変な感じがしました。)
祖母は私に祖父の日記を1冊くれました。その日記には文学のこと聖書のこと
思想のことがびっしり書かれています。日記の間にはルノワールの絵なんかが
挟まっていたりします。後は好きだった鹿の絵のついた灰皿、ギリシャ正教?
のクロス・・
祖父の蔵書には自分で彫ったスフィンクスのような羽を持った動物の刻印が押して
ありました。
すてきな人で会いたかったな~と思います。
父にとっては早く死なれて、その後、苦労の連続だったと思いますが・・
命日が過ぎてしまったけど、会えなかった祖父を思いました。