碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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書評した本: 『村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事』ほか

2017年05月01日 | 書評した本たち



「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。


村上春樹 『村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事』
中央公論新社 1,620円

小説を書いていないとき、「だいたいは翻訳をしているみたいだ」と著者。1981年から現在までに翻訳した約70作品を振り返っている。カーヴァーの小説の面白さを、「どう進んでいくかわからないところ」と言うが、まさに村上作品と通じている点も興味深い。


斎藤文彦 『昭和プロレス正史 下巻』
イースト・プレス 2,700円

力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木は昭和のプロレス界にそびえる三大巨峰だ。力道山が主人公だった上巻に続く本書では馬場と猪木の活躍が語られる。彼らの独立、猪木対アリの「格闘技世界一決定戦」、そしてUWFの創立。怒涛の歴史がよみがえる。


赤瀬川原平 『レンズの下の聖徳太子』 
幻戯書房 3,456円

3年前に亡くなった、赤瀬川原平&尾辻克彦の“初書籍化”作品集だ。後に裁判にまで発展する、千円札を模写した作品が生まれた背景を描く表題作。これまた物議を醸した、『朝日ジャーナル』の連載「櫻画報」をめぐる話など、数十年の封印がようやく解かれる。

(週刊新潮 2017年4月27日号)


松崎順一 
『新装版 70年代アナログ家電カタログ』
 

青幻舎 1,620円

オーディオ、テレビから冷蔵庫や炊飯器まで、家電のカタログが驚きの文化史となっている。過剰なまでの機能の進化とデザインの多様化は、この国の「ものづくり」の底力を思わせる。またカタログという販促ツールの価値も再認識。文庫サイズでの復刊に拍手だ。

(週刊新潮 2017年4月20日号)


【気まぐれ写真館】 アイスコーヒーの陽気!?

2017年05月01日 | 気まぐれ写真館