碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「義母と娘のブルース」 笑わない綾瀬はるかがクセになる

2018年08月02日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評


「義母と娘のブルース」
笑わない綾瀬はるかがクセになる

約10年前、業界トップの金属会社で、やり手の部長だった岩木亜希子(綾瀬はるか)。彼女が突然、ライバル社の宮本良一(竹野内豊)と結婚する。しかも夫には8歳の娘・みゆき(横溝菜帆)がいた。このドラマは成長したみゆき(上白石萌歌、現在はナレーション)が語る、「義母」と家族をめぐる物語だ。

最大の見どころは、やはり亜希子のキャラクターだろう。「キャリアウーマン」なる言葉自体がすでに懐かしいが、亜希子には「バリバリのキャリアウーマン」という当時の表現がよく似合う。何しろ初めてみゆきに会った時も名刺を差し出した人だ。家庭も含め、何でも会社や仕事に見立ててしまう。結婚後も、ここぞという勝負では紺のスーツと銀色のアタッシェケースで出撃だ。

先週のお話は、運動会の運営を通じてPTAのあり方を問うというもの。君臨する会長の矢野(奥貫薫)に向かって、自分ひとりで運動会を成立させると宣言し孤軍奮闘する。途中から保護者だけでなく子供たちも協力して、運動会は無事に終わった。

長いものには巻かれ、強いヤツには逆らわない親の背中を、「大事な一人娘に見せたくない」と亜希子。同時に、キャリアウーマンを目指しながら果たせなかった矢野を、そのトラウマから救う。このあたり、森下佳子の脚本の冴えだ。また、「笑わない綾瀬はるか」も結構クセになってきた。

(日刊ゲンダイ 2018.07.31)