二階堂版「ストロベリーナイト・サーガ」
強さだけが目立つ
7年前の「ストロベリーナイト」で、ヒロインの姫川玲子を演じたのは竹内結子だ。男性社会むき出しの警察組織の中で、自分のカンを頼りに独自の捜査を敢行する姫川はハマり役だった。
今回、「ストロベリーナイト・サーガ」の二階堂ふみは、よく頑張っている。ただ、前作を知る視聴者には不満が残るだろう。竹内版姫川はもともと強い女性ではない。強くならざるを得なかったのだ。だから時おり垣間見える弱さが愛しく思えた。二階堂版は強さばかりが目立つ。そして竹内版にあった「内なる葛藤」が十分に伝わってこない。
眉間に刻み込んだ縦ジワも、怒っているだけに見えてしまう。本当は自分が他者に支えられてきたことを知っているし、仲間への思いは誰よりも強い。だが、それを本人にセリフとして言わせてしまってはダメなのだ。
龍居由佳里(TBS系「白い影」)や黒岩勉(フジ系「絶対零度」)が脚本を書いていた竹内版と比べると、徳永友一(フジ系「グッド・ドクター」)などが手がける二階堂版は、話の進行に手いっぱいで、各人物の内面がきちんと描かれていない。
そのため、先週の「ブルーマーダー」前編でもサスペンスとして大事な場面の展開に穴があったし、姫川と菊田(亀梨和也)の関係にも切なさが希薄だ。とはいえ、今週が最終回。二階堂には最後まで「自分の姫川」をやり遂げてもらいたい。
(日刊ゲンダイ 2019.06.19)