碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ラジオのこと、radiko(ラジコ)のこと

2020年06月30日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

radiko「その音は、」編

選曲手間いらず ふと感じる郷愁

 

中学1年生だった1967年、「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)や「パック・イン・ミュージック」(TBS)などラジオの深夜放送が始まった。

ただし信州在住の少年は聴くのが大変で、東京の電波をキャッチしようとラジオのダイヤルを必死で調整したものだ。ノイズの向こうから、亀渕昭信さんの声や、野沢那智さんと白石冬美さんの掛け合いが流れてくると無性に嬉しかった。

そんなラジオファンにとって、radiko(ラジコ)の出現は事件だった。全国のラジオ番組を、いつでもクリアな音で聴くことが可能になったのだ。

しかも今は気になった番組を共有できる「シェア機能」があり、「スマートスピーカー対応」にもなっている。イヤホンをしてカフェで聴く女性(村上穂乃佳さん)。台所で洗い物をしながら聴いている女性(山口尚美さん)。聴き方も自由だ。

その一方で、深夜にチューナーと格闘していた時代を時々懐かしく思う自分がいたりして、我ながらおかしい。

(日経MJ「CM裏表」2020.06.29)