碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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【新刊書評2024】 青山誠『三淵嘉子』ほか

2024年04月25日 | 書評した本たち

 

 

「週刊新潮」に寄稿した書評です。

 

古沢広祐

『今さらだけど「人新世」って?~知っておくべき地球史とヒトの大転換点』

WAVE出版 1760円

地球史において、現在は「完新世」に当たる。しかし、わずか70年ほどの間に、人類は地球の様相を劇的に変えてしまった。その事実を踏まえ、新たに提唱された時代区分が「人新世(じんしんせい、ひとしんせい)」だ。本書ではヒトの進化の過程を辿り、最新技術との関わりを考察し、地球と人間の“これから”を展望していく。「人新世」の光と影の両面を掘り下げた、格好の解説書である。

 

青山 誠

『三淵嘉子~日本法曹界に女性活躍の道を拓いた「トラママ」』

角川文庫 858円

4月から始まったNHK朝ドラ『寅に翼』。伊藤沙莉演じるヒロイン、猪爪寅子のモデルが三淵嘉子だ。大正3年生まれの三淵は、昭和13年に現在の「司法試験」に合格。日本初の女性弁護士の一人となる。戦後は初の女性判事、初の家庭裁判所所長として活躍した。本書は文庫書き下ろしの評伝だ。司法の「ガラスの天井」を次々と打ち破った三淵の軌跡は、戦前・戦後を貫く試練の女性史でもある。

 

叶 芳和『日本ワイン産業紀行』

藤原書店 2970円

経済学者&経営学者である著者。全国各地のワイナリーを訪れ、産業としてワインを探究したのが本書だ。大型設備を導入した完全「国産」主義の北海道ワイン。「甲州ワイン」の価値を高める努力を惜しまない勝沼醸造。低コスト・高品質の消費者志向のワイン造りを目指す、長野県塩尻市のアルプスワインなどが並ぶ。ブームを冷静に見つめ、基本の「土」にこだわった、産業論としてのワイン論だ。

(週刊新潮 2024.04.25号)

 


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