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『日刊ゲンダイ』の連載コラム「テレビとはナンだ!」。
今週、取り上げたのはTBS「報道特集」だ。
新キャスターである金平茂紀さんをめぐって書いています。
見出し:
TBS「報道特集」は金平茂紀を生かし切れていない
コラム本文:
この秋、TBS「報道特集」の“顔”が、美里美寿々から金平茂紀キャスターへと変わった。
その経歴は華々しく、「ニュースコープ」副編集長、ワシントン支局長、「ニュース23」編集長などを歴任。報道局長やアメリカ総局長も務めた。
現在は執行役員だから、報道部門だけでなく会社全体の“顔”でもある。
そんな金平キャスターだが、番組で生かし切っているとは言えないのが現状だ。
たとえば16日の放送では「チリ落盤事故・救出劇の裏側」と「ジャピーノ問題」を扱っていた。
チリ編は救出された炭鉱夫たちへの会社による口止め、つまり情報統制などを取材しており、見応えがあった。
ただ、伝えたい全てのことをVTRの中で処理しているため、スタジオで金平キャスターが語る余地はほとんどない。
また、日本人男性とフィリピン女性の間に生まれた子供(ジャピーノ)の救済活動をしている人物のことは、以前別の番組でも見たことがある。
逃げた男性を探し出し、子供の認知を促す様子には頭が下がるが、なぜ今、これを報道するのかが不明確だ。金平キャスターも男たちの「不誠実」を嘆くしか言いようがない。
単なる進行役なら誰でも同じだ。せっかく起用した自前の大物キャスターをなぜ活用しないのか。
十分な時間を与えず、意味のある発言をさせないのはもったいない。
(日刊ゲンダイ 2010.10.26付)