碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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TBS「報道特集」の金平茂紀キャスターについて

2010年10月26日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』の連載コラム「テレビとはナンだ!」。

今週、取り上げたのはTBS「報道特集」だ。

新キャスターである金平茂紀さんをめぐって書いています。



見出し:

TBS「報道特集」は金平茂紀を生かし切れていない

コラム本文:

この秋、TBS「報道特集」の“顔”が、美里美寿々から金平茂紀キャスターへと変わった。

その経歴は華々しく、「ニュースコープ」副編集長、ワシントン支局長、「ニュース23」編集長などを歴任。報道局長やアメリカ総局長も務めた。

現在は執行役員だから、報道部門だけでなく会社全体の“顔”でもある。

そんな金平キャスターだが、番組で生かし切っているとは言えないのが現状だ。

たとえば16日の放送では「チリ落盤事故・救出劇の裏側」と「ジャピーノ問題」を扱っていた。

チリ編は救出された炭鉱夫たちへの会社による口止め、つまり情報統制などを取材しており、見応えがあった。

ただ、伝えたい全てのことをVTRの中で処理しているため、スタジオで金平キャスターが語る余地はほとんどない。

また、日本人男性とフィリピン女性の間に生まれた子供(ジャピーノ)の救済活動をしている人物のことは、以前別の番組でも見たことがある。

逃げた男性を探し出し、子供の認知を促す様子には頭が下がるが、なぜ今、これを報道するのかが不明確だ。金平キャスターも男たちの「不誠実」を嘆くしか言いようがない。

単なる進行役なら誰でも同じだ。せっかく起用した自前の大物キャスターをなぜ活用しないのか。

十分な時間を与えず、意味のある発言をさせないのはもったいない。

(日刊ゲンダイ 2010.10.26付)

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