碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「プライベートバンカー」バブル崩壊期の若者たちの 30年後を見るようで…

2025年01月22日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

バブル崩壊期の若者たちの

30年後を見るようで…

唐沢寿明主演

「プライベートバンカー」

 

面白い題材を持ってきたものだ。木曜ドラマ「プライベートバンカー」(テレビ朝日系)である。プライベートバンカーとは、富裕層のための資産管理・運用を専門とする金融のプロフェッショナルだ。

主人公の庵野甲一(唐沢寿明)が際立っているのは、顧客の資産を守るためならどんな雑務も厭わず、あらゆる手段を駆使することだ。

現在の雇い主は外食業界のドン、天宮寺丈洋(橋爪功)。その依頼で、投資詐欺に遭った老舗だんご屋の主人・飯田久美子(鈴木保奈美)を救ったり、天宮寺家の長男で常務取締役の努(安井順平)が抱える愛人問題を解決したりしてきた。

このドラマの特色は、物語を通じて「資産」や「投資」や「相続」に関する制度や仕組みが明かされ、そこから生まれるサスペンスや悲喜劇を堪能できることだ。

また唐沢が演じる庵野のキャラクターが見る側を飽きさせない。銀髪に黒ぶちメガネ。雨傘を手にした英国紳士風のたたずまい。金融の知識や経験から繰り出す奇手・奇策。時々、カメラ(視聴者)に向って独白するが、その本心は見通せない。

そんな庵野を「マネーの師」と決め、弟子入りしたのが、だんご屋の久美子だ。

唐沢と鈴木が並ぶと、往年の青春ドラマ「愛という名のもとに」(フジテレビ系)が思い浮かぶ。バブル崩壊期の若者たちの30年後を見るようで、何やら感慨深い。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2025.01.21)

 


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