碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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異色のホームドラマだった「おトメさん」

2013年03月20日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ朝日の連ドラ「おトメさん」について書きました。


おトメさん
古くて新しい!? 
異色のホームドラマだった

連続ドラマが次々と最終回を迎えている。テレビ朝日「おトメさん」も先週がラスト。思えば、ホームドラマとしては異色の1本だった。

その理由は3つある。まず嫁と姑(ネットではトメ)という昔ながらの題材に新たな切り口を持ち込んだことだ。「強者である姑と泣かされる嫁」というパターンを壊し、姑(黒木瞳)が嫁(相武紗季)に戦々恐々とする。

次にホームドラマでありながら、結構ハラハラさせるサスペンス仕立てになっていたこと。元キャバクラ嬢という嫁の正体がつかめなかったり、姑が抱えている秘密が明かされなかったり。その上、ある男の失踪事件や立てこもり事件まで展開されたのだ。

そして3つ目は2人の女優のチャレンジである。どんな役もどこかキレイゴトに見える黒木が、罵倒され、いじめられる姑になりきり、ひたすら明るく元気なイメージの相武が、かなりハラのすわった嫁を好演した。

特に最終回での本音のぶつけ合いは圧巻だった。「何なの!この家を無茶苦茶にして」と黒木が吠えれば、相武も「だったら、やり直せばいいじゃない!」と応戦。家族が本音を言い合うことで、一度壊れた家庭を再生していく道が見えてきた。

最終回の視聴率13.6%。平均11.5%という数字も今期では上位となる。ホームドラマという古い器も使い方次第なのだ。

(日刊ゲンダイ 2013.03.19)

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