ヒキガエル

　無農薬レモンの発送も終わったため、毎晩、顧客データをＰＣに打ち込んでいく作業が続いている。これをやっておかないと、お客様からのお電話のときにご迷惑をおかけしてしまうという思いからだ。眠たい目をこすりながらの無機質の作業は、昼間の農作業で疲れた体には応える。少しでもリラックスできるように、大好きなマイルス・デービスの曲を流しながら・・・。

　 いい気持ちで入力作業をしていると、我が家の看板犬ロッキーの吠える声が気になってきた。誰かきたのかな？それにしては長く吠えていると思い、外に出てみる。思わず笑ってしまった、ロッキーの前をお散歩中のヒキガエルに必死にほえているのだ。ヒキガエルも固まったように動かない。ためしにロッキーをけしかけてみるのだが、それでも動かない。けしかけたロッキーのほうがビビッている。やっぱり飼い主に似て気が小さいのか？
ヒキガエルがお散歩ということは、明日は雨かなと思っていたら、今日は朝のうちやっぱり雨だった。自然からの情報で天気がわかることは、やっぱりヒキガエルさんはすごいと思う。大笑いしたため眠たさと疲れもいっぺんに吹き飛んで、つい妻を呼びに行ってしまった。二人でまた爆笑をしたのは言うまでもない。

レモンの香りの中で

  　無農薬レモンの収穫も終わり、あわただしく剪定をしている。新芽と花が咲く温室の中で集中して枝を整理していく。花の香りと枝の切り口の香りがとても心地よい。迷わずに正確に切ることができるようになるには、器用な人で１０年ほどの修行が必要である。切っている作業中は一切の音も聞こえないほど集中しているのだが、多くの無農薬レモン愛好者から頂いた励ましのフレーズだけはふと頭をよぎっていく。来シーズンもお送りできるかは自然相手のためやっぱり不安に思う。強気の虫、弱気の虫が交互に飛び交いながらの作業である。

　９月下旬から４月上旬までのロングラン収穫のためレモンの木はとても痛々しいぐらい弱っている。美味しくて安全なレモンを作るのと引き替えに、通常では考えられないほど木が弱ってしまうことは仕方がないが、こういった生産現場のこともみなさんにお伝えしなければ、『食の安心』は現実にならないと思う。これから木を回復させながら、実を止める難しい作業が続く。