■【あたりまえ経営のきょうか書】 ビジネスパーソン成功術 3-06 現場百遍、ウラを取れ やり方を間違えていませんか?
20世紀後半から、ICTの技術革新が急速に変化するようになり、それに伴いニーズの高度化や多様化がますます大きくなり、経営環境は、「日進月歩」から「分進秒歩」の変化へ、さらには”光速化”へと、大きく変化してきています。
時代の変化は大きく、速く、グローバルに展開されています。学歴や職歴など、過去の知識や情報がそのまま活かせる機会は、年々減少してきています。
一方で、成長過程やビジネスを通じての経験は、それを礎として、現在でも、将来にも活かせるでしょう。しかし、使い方次第では、陳腐化してしまい、かえって新しい時代の足かせにもなりかねません。
とりわけ「思考法」は、時代に即したスキルを身に付けていきませんと、「過去の延長線上での判断」に繋がってしまい、時代に即した意思決定ができなくなりかねません。
このような経営環境の急速な変化の時代ですので、ビジネスパーソンも、過去の延長線上での発想では、生き続け、成長していくことは困難でしょう。
新しい時代の生き方について、原点に戻って、考えてみませんか?
■ 3 ビジネスパーソンがめざす一歩上の発想とスキル
時代に即したスキルを磨きながら、業務に活かし、自分の更なる成長に繋げるにはどうしたらよいのでしょうか。その方法は、多岐にわたると思います。
他の人と、同じやり方をしていては、どんぐりの背比べになってしまいます。存在感を示すためにも、自分自身を「差異化(差別化)」しましょう。
それが、ご自身の成長に繋がるでしょうし、ビジネスパーソンとして元気に生きて行くことができるようになるでしょう。
それをどの様に身に付けて、どの様に活かしていったら良いのでしょうか。自分自身で立ち止まって考えてみることも重要です。
「あたりまえ経営のきょうか書」シリーズの第三章として、経営コンサルタントという仕事を通して、感じてきたことを、ビジネスパーソンに共通する面を中心にお話しています。
そのヒントの一助になるように、40年余の経営コンサルタント歴からお話して参りますので、参考にしてくださると幸いです。
■3-06 現場百遍、ウラを取れ やり方を間違えていませんか?
ある人から、「社内に嘘つきがいる」ので、どの様に対処したら良いのかという相談を受けました。
私は、平素から「人間は失敗をしないと成長しません。失敗しながら成長しよう」ということを言っています。その対応法として「答を言わずに、考えさせ、失敗させ、そこから学ばせる」という支援法を採ってきました。
その相談者は、自分は、嘘が嫌いで、全うに生きていくことを信条として、これまで生きてきたと自認するほど、間違えたことが許せない人です。
ここでも答を言わずに、まず、下記のようにあおり運転の話から「ゆがんだ正義感」もあるということをお伝えしました。
あおり運転をする人というのは、ある種の正義感を持って行っていることが多いようです。
「なぜ、あのような下手な運転をするのか」、「そんなこともわからないのか・・・」
そのような思いから「それをわからせてやろう」という気持ちとなり、基本がわからない運転者に、それをわからせるためにあおり運転をするのだという人が多いそうです。
その上で、次のようなことをお話しました。
私は、ウソにもいろいろあると思います。
今回のケースの場合に限定しますと、下記のような三種に分類わけして考えてみたいと思います。
①真のウソなのか、②悪意なくして言っているのか、③ウソを聞いた側の誤解に基づいてウソのように聞こえるなか、いろいろなケースがあると思います。
①は、多くの場合に③であることが多いと思います。
見る角度によっては、ウソではなく、それなりの合理性を持っていて、これは③に分類されるべきものです。
②は、本人に悪意がないだけに、本人が改める機会が少なく、信頼できる人が、気づきを与えるなどが必要になると思います。
多くの場合は、③のケースが多いように思えます。
嘘をつかれたと思っている人が、その大半のケースにおいて、思い込みの物差しで測って、その結果、誤解や誤認をし、その上で、「それはウソである」と判定していることが多いように思えます。
私は、自分の会社のことを、時々「私を育ててくれたこの会社」という表現を使います。
私自身が、この会社に所属したために、多くのことを経験できたり、学んだりすることができました。
その感謝の気持ちを、このように表現しています。
この言葉を部下や、私の講演などを聴講するビジネスパーソンの皆さんに伝えるのは、多くの人が私と同様に「この会社に出会えて良かった」と思って、その会社への愛社精神や先輩・同僚やその他の関係者に感謝の念をもてるようであって欲しいという思いがあるからです。
ところが、「私を育ててくれたこの会社」を短縮して「私の会社」と聞き違える人が意外と多いということに気がつきました。
「私の会社」というのでは、たとえその会社の創業者であっても、その会社を私物化しているかのように解釈されてしまいます。
聞き手の傾聴力に問題があるといえますが、むしろ、このような誤解はつきもので、それが伝聞となりますと、さらに違った形に変形したり、歪曲されたりして広がって行くのだと考えるべきです。
そして、できる限り誤解されないように表現する努力をするようにしています。
それでも上述のように誤解され、「悪事千里を走る」状態は続いてしまうのです。
お互いの信頼関係ができていれば、「あの人が、会社を私物化するなんてあり得ない」と相手を評価してくれるでしょう。
ところが、信頼関係が不十分ですと、その様な修正作用が働かず、「私物化している」と誤解されてしまいかねません。
一方で、聞く側としては、漫然と聞くのではなく、傾聴をすることがポイントです。
私は、「ウラを取れ」「現場百遍」と刑事ドラマに出て来るようなことをしばしば口にしますし、自分でも、その様に努力をしています。
ところが、意外と、自分の仮説や考え、以前に入手した知識や情報の正当性に固執し、自分が入手して情報・データに対する自分の解釈を正当化し、それを裏付ける情報ばかりを集めがちなのです。いわゆる「正当化バイアス」が働いてしまい、それでウラを取ったつもりになってしまいがちです。
「伝聞、私見、事実」を切り分けなさいという話をしばしば聞くと思います。管理職が、部下から報告を受けるときに気をつける事項でもあります。
上述のウラを取るときに、複数の伝聞に耳を傾けたので、ウラを取ったつもりになってしまっていることが大半です。
正しくない情報、不正確な情報をいくら集めても、それは「事実の裏付け」とはいえません。
信頼できる情報源からの報告なのか、そうだとしますと、その情報源はどこかを明確にすることが必要です。単なる「伝聞」であっても、情報源が明確なのかどうかによって、情報・データの信憑性に差異が出てきます。
「私見」なのか、伝聞なのか、事実なのかが不明瞭な報告もあります。自分の考えを入手した情報であるかのように語る部下もいます。一方で、自分の考えを持つことも必要ですので、「私見」は、「これは私の考えですが・・・」というような前置きをすることを習慣づけることが大切です。
入手した情報・データの信頼性の問題ですが、たとえば「信頼できるあの先生が言っているのだから間違いない」という理由から、それが「事実」だと誤認してしまうようなことが多いと思いませんか。
その先生がいうことに正当性があったとします。しかし、それを聞いた人が上述のように誤認・誤解してしまい、先生が言った内容が変形したり、意図的に歪曲されてしまったりすることもあるでしょう。
情報やデータは、二次や三次情報・データは参考にはなっても最終的な、とりわけ重大な判断材料にしてはいけないと考えています。
一次情報・データですら真実ではないことが多いですが、やはり、ウラを取るときには一次情報・データを中心に収集し、それらを総合的にみて、最終的には、それを鵜呑みにするのではなく、自分で判断すべきと考えます。
その時に、自分の都合の良いように解釈してはならないのです。
えらそうなことを長々と書いてきましたが、これは自戒のつもりでいます。おはずかしいことに、この年になっても、まだ、誤解されるようなことを、自分では気づかずに、多々行っているだろうと反省しています。
世の中、生きていくのは大変ですね。<笑い>
■【あたりまえ経営のきょうか書】
https://blog.goo.ne.jp/konsarutanto
第一章 経営トップは、このようにして変身せよ
第二章 プロの管理職の発想と行動
第三章 ビジネスパーソンのあるべき発想とスキル
第四章 戦略思考で経営者・管理職のレベルアップを図る 戦略・経営計画
第五章 プロが実践する問題発見と課題解決力
第六章 プロに不可欠な論理思考
第七章 進捗管理で企業力強化 管理会計の実践
第八章 四字熟語に学ぶ経営
第九章 経営雑学を経営管理の潤滑油に活かす
なお、並行配信しています「徒然なるままに日暮パソコンにむかひて」シリーズも大変好評ですので、そちらも併せて、是非ご愛読をお願いします。
https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/c/eb88c477696adc4e2e78376c81b7274b
【 注 】
「あたりまえ経営のきょうか書」は、上記のようなシリーズになっています。
第一章から順に掲載するのではなく、感じたとき、思い立ったときにランダムに記述し、お届けして参ります。
途中欠番もありますが、各章の中の「節」の切れ目の関係で連番が府連即となっていることがありますので、ご承知おき下さるようお願いします。