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■■ 2 再会と転機 5
【本書の読み方】
本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。
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【回想】
それだけでも聴衆には大きなショックであるが、さらに竹根の講演は続いた。
一九九〇年代に入ると写植はいらなくなり、ワープロがテキスト(文字)を電子データとして作成し、図版も電子的に作成され、それらを電子的に結合するから版下作業は今までのように紙媒体にすることもなくなるという。写真は、先ほど今後の技術として紹介されたレイアウトスキャナーのような高価な機械がなくても、写真そのものが電子データとなり、先ほどの電子的な版下作業の一環としてあがってしまう。版下という言葉も死語となり、DTP、すなわちデスク・トップ・パブリッシングという工程になってしまうと言う。
近い将来数十万円のDTPという安価なシステムで、電子技術によりフィルムを作成することができるので、何億というようなレイアウトスキャナーは不要になるという。それは製版業という業種もなくしてしまうということである。
DTPのデータがあると色分解フィルムを作成しなくても刷版という印刷用の原盤、わかりやすく言うと印刷用の大きなハンコを作成することができるというのである。これをCTPといって、コンピュータ・ツー・プレートというのだそうである。すなわち今までのような刷版技術がなくてもDTPのデータがあれば刷版を作ることができるという信じられないような技術革新である。
聴衆の大半が、ここまで来ると竹根講師の言うことはまゆつば物と思うようになった。それどころか、CTPは、フィルムレスの刷版作成にとどまらず、コンピュータ・ツー・プリンター、すなわち刷版すら不要になり、電子データから印刷機が直接印刷するようになるし、印刷機も見なしでオフセット印刷ができるようになるというのである。
講演会が終わると、大半の人は竹根をほら吹きではないかと言いながら会場を出て行った。
幸は、竹根がほらを吹くような人間ではないことを知っているので、これは大変な世の中になると確信した。
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