ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

酵素という名前の健康食品

2015-07-22 10:22:15 | 健康・医療
このところ健康食品について批判的な記事を書いていますが、私はもともと健康食品不要論者ですし、実際経口吸収性がなかったり、飲んでも消化分解されてしまうものが多いことも確かです。たぶん多くの健康食品はいわゆる「プラセボ効果」しか期待できないものが多いようです。今回取り上げるのは、名前に「酵素」がついているような健康食品です。私はテレビや新聞・雑誌の広告しか見ていませんので、推定の部分も多くなっています。

この「何とか酵素」という健康食品は、ほとんどが発酵食品のようです。「酵素」というのは、生命の体の中で、いろいろな反応を触媒する(反応を加速したり、進行を助ける)タンパク質のことです。生命の維持には欠かせない物質で、通常必要なときに作られ、役目が終わると分解されてしまいます。代表的なものとしては、タンパク質を分解してアミノ酸にするプロテアーゼ(これもいろいろな種類がありますが)、でんぷんを分解してブドウ糖にするアミラーゼなどがあります。普通はかなり不安定で、体内から出すとすぐに失活(触媒作用がなくなる)するという性質を持っています。また通常は口から摂取しても、消化酵素以外は普通のタンパク質として消化分解されてしまいます。

発酵食品としての何とか酵素というのは、色々な食物を長時間かけて熟成していると説明されています。発酵というのは、微生物を培養することですが、そこから転用され微生物を用いて何かを作ることをすべて発酵と呼んでいます。日本は酒をはじめ、醤油・味噌といった発酵食品が多数存在しています。たぶんこの応用ですが、科学的に考えると、発酵というのはタンパク質やでんぷんなどの部分分解といえます。この健康食品は、食物の原型がなくなるまで部分分解したものといえます。ですからその主な成分は、でんぷん類が分解されたオリゴ糖とタンパクが分解されたペプチド類と考えられます。

これらの成分は、原料となる食物が何であっても、大体同じような組成になるはずです。何を原料にしたかを謳う広告もありますが、できるものはなんでも同じで、ほとんど意味がありません。こうやって作った発酵物が何の役に立つのかは、広告を見てもよくわかりません。何となく体が元気になる効果があると言っているのかもしれません。しかし当然ながら、微生物がどんな形に分解しようと、人間が飲めば完全に分解されてしまいます。

それでもこれだけ宣伝し、売れているというのは、プラセボ効果以上の何か良い点が出るのかもしれません。それでもこういったものを作ってみようとする発想は、なかなか面白いような気がします。