内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

沖縄今帰仁村訪問記 ④ ― 平和祈念公園、ひめゆりの塔、平和のためのレクイエム、インフォメーション、そしてコミュニケーション

2018-08-10 22:49:48 | 雑感

 沖縄滞在最終日の今日の午前中、M先生のお車で本島南端に位置する平和祈念公園を訪れた。
 その敷地の広大さにまず驚いた。沖縄での戦争犠牲者の慰霊塔が全国の三十数県の各県ごとにそれぞれ数十平方メートルの敷地内に建てられている。それらをカート案内でざっと回り、今も新たに刻まれつつある犠牲者名簿の石碑「平和の礎」を間を歩いて見てから、平和祈念資料館の常設展示を見に行った。夏休み中ということもあり、小中学生の見学者も少なくなかったが、拡大展示された写真の中には残虐な戦闘の犠牲になった女性や子供たちの無残な写真もあり、それらは小中学生たちには衝撃が強すぎるのではないかと心配になるほどであった。
 祈念公園は丸一日時間を掛けてゆっくり訪問すべき場所だったが、飛行機の時間もあるので、簡単に昼ごはんを園内で済ませた後、ひめゆりの塔へと向かった。
 その平和祈念資料館内に展示された二百数十人の女学生と教師たちの顔写真を一枚一枚見ながら、いかなる仕方でも正当化し得ない仕方で惨酷な戦争がその命を奪った彼女たち彼らたちへのレクイエムは、ひどく唐突に聞こえるかも知れないが、シモンドンがいう意味でのインフォメーション(新しい形を与えるアクション)とコミュニケーション(異なった大きさのオーダー間の関係形成)とによってこそ現実化されるのだと私は思った。このインフォメーションとコミュニケーションの媒介者、それが個々の主体であるところの私たち個体であることは言うまでもない。
 ひめゆりの塔から那覇空港まで先生に送っていただき、そこでこの四日間の歓待と心遣いを謝し、お別れした。空港の混雑により定刻より30分ほど遅れて出発したANA便はそれでも午後6時前には羽田に着き、そこから京急で品川まで、品川から渋谷まで山手線、渋谷からは東急バスで滞在先の妹夫婦の家に7時半に帰り着いた。
 明日からは岐阜県福地に二泊三日。午前11時過ぎの東京駅発の新幹線に乗る。