内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

どんな本を買って帰るか ― 帰国のたびの悩ましき出会い

2019-01-03 23:59:59 | 読游摘録

 これまでの一時帰国のときと同様、フランスに持って帰る本を滞在中にまとめて購入した。とはいえ、今回は、預けられるスーツケースは一つ、その重量の上限は23キロなので、大した量は持ち帰れない。それは最初からわかっていたことであるから、買い過ぎに気をつけた。それでも、かなり予定外の本を購入した。二十冊くらいのつもりが三十冊になってしまった。
 昨年末のブログの記事で言及した堀川惠子の四冊も予定外だった。これらはすべて文庫本だから大してかさばらないし、何よりもどうしてもすぐ読みたいと思ったから買った。こういう本と出会いはいつ起こるかわからない。ただの衝動買いとは違う。何頁か読んでみて、「あっ、これはちゃんと読まないといけない」という気にさせる何かがその本に感じられるときだけ買う。ただ、そのような条件があっても、読むべき本の数は途方もなく多い。
 今回のその他の予定外購入書目としては、佐野眞一の『旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三』(文春文庫、2009年、初版単行本1996年)と『宮本常一が見た日本』(ちくま文庫、2010年、初版単行本2001年)。この二冊は、予定外というよりも、以前は購入予定リストに入っていたが後回しにしていたのを、今回あるきっかけがあって購入することにしたと言ったほうがいい。
 堀川惠子の本も佐野眞一の本も、すべて文庫本であるから、さしてかさばらず、さほど重くもない。ところが、文庫本だけで事は済まなかった。
 近世から近代にかけての思想史についての参考文献を何冊か探していて、渡辺浩の著作が特に目に止まった。『日本政治思想史[十七~十九世紀]』(東京大学出版会、2010年)、『近世日本社会と宋学』(東京大学出版会、増補新装版、2010年)、『東アジアの王権と思想』(東京大学出版会、増補新装版、2016年)の三冊を購入。これらはすべてハードカバーの単行本である。文庫本よりかさばるし重い。しかし、後期の授業で参考文献としてこれらは外せないからと購入した。買ってよかったと思う。これもまた出会いである。