人様に披瀝できるような読書法など私にはありません。ただその場のなりゆきで芋づる式に次から次へと書物を渡り歩いているだけ。だから、何一つまとまった仕事ができない。すべては散発的な思いつきの欠片ばかり。情けない。
この傾向は、電子書籍を利用するようになってさらにひどくなった。もう病気に近い。
ある本を読んでいて、というよりもPCやタブレットの画面をスライドさせて必要な情報を得ようとしているとき、別の本からの引用に出くわす。気になる。即ネットで検索。電子書籍版がある。紙の本より安いし、何よりも瞬時に手に入るのが便利。クリック。ダウンロード。即当該箇所へ。「頁をめくる」という表現を使うのが空々しいくらい速く目的の箇所を特定できる。そこにブックマークをするか、重要箇所にマーカーを引いておく。こんなこと、紙の本ではできなかった。度しがたいフェティシズムの一種だと思うが、紙の本は穢したくない、できない。だけど、電子書籍なら心配無用。ちょっとでも気になった箇所にはすぐにマーカー。あっという間にマーカーだらけ。でも、いつでもすぐに消せるから気にならない。
電子書籍はほんとに便利だ。でも愛せない。物としての質感ゼロだから。匂いも重さも手触りもない。でも、お世話になっています。これからもよろしく。