内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

毎朝焼きたてのパンを届けるように「心の糧」を届けることができるなら

2020-03-24 17:54:25 | 講義の余白から

 日曜日、私の授業に登録している三年生たちに以下のようなメッセージを送った。

Dans la situation actuelle où l’on aurait le droit de pouvoir se décourager face à la crise sanitaire sans précédent, en souhaitant vous offrir un texte de lecture en japonais fraîchement rédigé chaque jour, je voudrais vous inviter à visiter mon blog (cliquez ici pour y accéder) où je mets un article tous les jours depuis sept ans. En gardant strictement l’anonymat, j’y parle de temps en temps de mes cours que vous suivez. Mes textes peuvent être trop difficiles pour vous, mais je tiens à vous dire qu’ils sont rédigés très soigneusement et peuvent fonctionner comme modèle pour vous.

 私にできることなど高が知れている。でも何かできないか。それで上掲のメッセージにあるように、私のブログを見てほしいとメッセージを送った。何人かの学生からはすぐにリアクションがあった。「少し元気が出た。ありがとう」「とても興味深い」「でも、難しい……」(スイマセン)。
 毎朝焼き立てのパンを届けるつもりで(といっても記事のアップは原則夕方以降だけれど)、私は彼らにこのブログを通じてメッセージを送り続けたい。
 誰もかつて経験したことのない現在のような困難な状況下に置かれれば、誰だって多かれ少なかれ精神に変調をきたしたっておかしくない。年齢を重ね、あれこれ人生経験を経、いつ死んだって驚くに値しない私のような黄昏人間より、ウイルスに対しての抵抗力はあるが人生経験が浅い若い彼らのほうが、いつまで続くとも知れない不確実性の中で孤立すれば、実は精神的には壊れやすいのだ。こんな状況に対しての免疫が彼らにはない。特に、家族から遠く離れて大学宿舎やアパートに独り閉じ込められていれば、気が変になったっておかしくない。
 実際、昨日、同僚から「どう対処したらいい」とメールが届いた。その同僚がいわば担任しているグループの学生の一人から「死にたい」とメールが届いたのだ。すぐに私はその学生に「どんな様子か聞かせてほしい」とメールを送った。こんなときメールじゃだめだとわかっていた。だが、さしあたり、他に手段がなかった。その間、もう一人の同僚が知り合いのカウンセラーなどに問い合わせてくれた。
 幸い当該の学生から今日午前中に返事があった。今のような危機的状況になる以前にすでに本人が個人的に追い詰められていたことが文面からわかる。「私たちは君を助ける準備はできているから、電話をしてほしい」と返事をすぐに送った。その後、返事がない。今どんな様子なのかわからない。心配だ。
 学生たちがこんな困難な状況の中でも意気阻喪せずに勉強を継続する意志を保ち続けるためにできるだけのことをしてあげたい。こんなときに必要なのは、ほんとうに「心の糧」なのだ。