今日の正午から、私は、ほとんどの教員がその実現に懐疑的なオンライン筆記試験を「近現代日本文学」のために実施した。これは今後他の科目でも使えるかどうか検討する際の実験例という意味もあった。もし大きな破綻があれば、試験を中止あるいは無効にするつもりでいた。
試験監督はZOOMを使って行った。それぞれの学生は、室内で一人PCに向かい、試験受けている自分がよく見えるようにカメラを設置ように予め通告しておいた。私の方は自宅で二台のPCとiPad を使って全員を同時に監視できる体制を調えた。
今朝、試験実施に関する最後の注意事項を学生たちに送信した。遅くとも試験開始15分前までにセッティングを終えて試験の開始を待つように求めた。私自身は試験開始の一時間以上前に「試験会場」に入り、接続に関する技術的問題にいつでも対応できるようにした。
受験者は38名。ただ、いくら彼らが自室で受験しているときの顔が見えるといっても、それ以外の部分は見えないのだから、不正をしようと思えばそんなに難しいことではない。すべての学生を同時に同じ程度に監視することもまず不可能だ。
試験十分前、全員が「入室」したところで、マイクを使って以下のようなことを述べた。
「この試験がうまくいくかどうかは、技術的な問題を除けば、ひとえに君たちの良心と良識にかかっている。これは初めてのオンライン試験であり、今後他の科目でも実施できるかどうかを検討するためのモデルケースでもある。どうか他の学生たちに良き例を示してほしい。」
結果として、若干のトラブルはあったものの、なんとか無事終えることができた。答案を書き終えたらすぐにメールの添付書類として送るように指示しておいたこともあって、試験終了時間を待たずに送ってきた学生が大半だった。届くとすぐに受領メールを返信した。
試験終了後、三十八枚の答案すべてをざっとチェックした。カンニングして点数が稼げるような易しい問題はほとんどなく、かなり高度な翻訳問題と授業で私が話したことを総合する力がなければ答えられない問題の配点を高くしたので、やはり普段授業に来ていない学生の答案はとても合格点が取れるような出来ではなかった。
ちょうど一週間前に教室で彼らに今日の試験のことを説明しているときには、まだ大学閉鎖は決まっていなかったから、教室での試験という前提で話していた。その日の夜に突如閉鎖が決定され、教室での試験ができなくなった。最初は試験の延期を考えたが、それが非現実的であるとわかり、日曜日、学生たちにオンライン試験の実施を知らせた。そんな急拵えの試験にしてはうまくいったといいのではないかと思う。
とはいえ、学生の側でもいろいろと思うことはあるだろう。試験後、学生たちに率直な意見を聞かせてほしいとメールを送った。すでに幾通か返事が返ってきている。彼らの意見も踏まえて、明日のオンライン教員会議で今後の方針について話し合う。