元旦の昨日、ライン川の彼方のシュヴァルツヴァルトの稜線上に現れる初日の出を写真に収めようと、自宅からライン川のほとりまで歩いていきました。自転車ならば十五分足らずで川岸まで行けるのですが、川沿いの土手を数キロ歩くうちに空が白み始めるのを見たいと思ったのです。気温は一度、防寒対策は十分すぎるほどだったので、歩いているうちに汗が背中を流れはじめました。
フランス側の西空は晴れていたのですが、ライン川の向こう側のドイツの上空は残念ながら厚く灰色の雲に覆われており、とても日の出は拝めそうにありませんでした。日の出は八時二十一分でしたが、上り始めた太陽の光で上空の薄雲が黄金色に輝き始めたのはもう九時近くになってからのことでした。
土手を四キロほど下流に向かってゆっくりと北上しながらシャッターチャンスを待ちましたが、太陽は雲間からその姿を現すことなく、それでも天空は次第に明るさを増してゆきました。
今日の記事に添えた写真は、ライン川の土手(水源から三〇〇キロの表示がある辺り)で百枚ほど撮った写真の中の一枚です。厚い雲の間からわずかに顔をのぞかせた太陽を遠景に配し、悠然とラインの流れを遡る白鳥一羽を手前に配しました。
厚い雲の向こう側に一瞬姿を見せ、またすぐに姿を隠してしまった太陽は、今年の「夜明け」はまだ遠い、しかし、希望を失うな、そう言っているように、独り土手に立ってシャッターを切りながら思った次第であります。