内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

背徳の香りさえ漂う雪あかり ― 遠隔寺僧房異聞

2021-01-16 19:55:30 | 雑感

 一昨日、フランス北東部の広範囲に渡って一日雪が降り続き、ストラスブールでも積雪量は場所によって三〇センチに達しました。昨日は日中晴れましたが、気温はわずかに零度を超える程度。今日は零下六度まで冷え込み、日中も零度を下回ったままでした。今日の午前中、徒歩で買い物に出かけたとき、車が比較的よく通る道路は路面が見えていましたが、そうでないところは路面が一部凍結し、歩道も人通りの少ないところはアイスバーン状になっていました。とても自転車で買い物に行ける状態ではありませんでした。
 これだけ雪が降り、すぐには溶けずに凍結してしまったのは、いつ以来のことかと思い出そうとしました。ストラスブールに関しては、私自身の記憶では、フランスで過ごした最初の冬である一九九六年から一九九七年にかけての冬以来のことです。一月に降った雪が二月まで一ヶ月以上に渡って凍結したままで、歩道で転んで怪我した人たちが多数出たことを覚えています。リル川の支流も凍結し、舟が航行できなくなるほどでした。そこまでの積雪と寒さはストラスブールでも珍しいことでした。そのときはフランスに来てまだ四ヶ月程度だったので、こんな寒さが毎冬来たらどうしようといささか怯えてしまったほどでした。ところが、その後、それほど長期に渡って寒波に襲われることはありませんでした。それが地球温暖化のせいであるとすれば喜んでもいられませんが。
 そのときの大寒波と比べれば、今回の寒波はたいしたことはありません。おそらく数日で路上から雪はあらかた消えてしまうでしょう。ストラスブールでは現在午後六時から午前六時までの外出禁止令が施行されていますが、こんな寒さの中、日が落ちてからわざわざ外出しようという人も、特に週末は、多くはないのではないのでしょうか(実際確かめたわけではありませんが)。
 老骨に鞭打ち午前中に買い物を済ませた後、人生に青息吐息の老生は、神の許しも乞わずに、しばし休息させていただきました。昼食時から書斎窓外の雪景色を肴に不謹慎かつ非道徳的にワインを飲み、午後から夜にかけて映画鑑賞三昧です。背徳の香りさえ漂う雪あかり。