内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

焦らず怠らず、緩やかに思索の歩を進めていく

2022-02-09 08:46:27 | 雑感

 先週土曜日、昨年一月号(発行は前年十二月末)に「他性の沈黙の声を聴く―植物哲学序説」を寄稿した月刊誌から、新たな寄稿依頼が届いた。前回の寄稿論文の内容を踏まえつつも、それを別のテーマの下で展開することを求める依頼で、私にとってはチャレンジングな課題であり、お引き受けした。締め切りは四月下旬で、それまでまだ二月余りある。原稿の長さ(四百字詰め原稿用紙で25枚から30枚)からしてちょうどよいくらいだ。あまり先だと、つい執筆開始を先延ばししてしまい、締め切りが迫ってから慌てることが私にはよくある。
 三月半ばにストラスブール大学で開催される国際シンポジウムでは、武士道について、「「みち」から「道」へ ―「もののふのみち 」から武士道への倫理規範の変容過程の思想史的考察 ―」というタイトルで発表する。この発表原稿を来週の冬休み中にあらかた仕上げた後、上記の寄稿論文執筆に取り掛かろうと思う。すでにいくつかのアイデアは生まれつつあり、いつものようにそれらをポストイットにメモして、机上のアクリルボードに貼り付け始めた。
 応募のために原稿を書く、シンポジウムに自主的に参加する、雑誌の特集号を企画する、シンポジウムを組織する、などなどの積極性が私にはまるでない。そのかわり、依頼が来たら、ほぼすべて応じる。と言っても、たいして来ない。今年の場合、まったく期せずして、ちょうどいいくらいのリズムになっているのがありがたい。
 二月半ばに言語学関係の研究会での研究発表(仏語)、三月に上記の発表(日本語)、四月に上記の原稿(日本語)締め切り、六月末に書評(仏語)一本締め切り、おそらく七月末までに九月の翻訳学世界大会の発表原稿(仏語)締め切り、九月末にある論文集のための原稿(仏語)の締め切り。老生の如き小さき器にはこれくらいがちょうどよい。
 「焦らず怠らず」という大原則に従って、日々、読み、考え、書き、また読み、考え、書き、と、淡々と繰り返す。ときどき、小さな発見やパッと視野が明るくなるようなアイデアの到来に興奮することもあるだろう。このように穏やかに日々を過ごせることにじんわりと喜びを感じつつ、且つそれが許されていることへの感謝を忘れず、緩やかに思索の歩を進めていきたい。