内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

日仏合同ゼミ終了 ― 現地研修中止を乗り越えて、最後までよく頑張りました

2022-02-07 06:39:45 | 雑感

 一昨日昨日の2日間の日仏合同ゼミは、当初は現地、つまりストラスブールで行うことになっていた。それが通例であった。私がこのゼミにかかわりだしたのは2014年度からで、以来連続8年間担当している。
 毎年2月の第一週にプログラムが組まれ、2020年2月は、すでに感染拡大が進んでいたが、翌月のコロナ禍による国境封鎖直前、無事現地で行えた。とてもいい研修だった(こちらの記事を参照されたし)。
 昨年度(2020‐2021)はまさにコロナ禍の只中だったため、最初からすべてオンラインで行われることが決まっていた。様々な困難はあったが、オンラインのみだったにもかかわらず、最終的には大変充実した成果を上げることができた(昨年のゼミについてはこちらの記事を参照されたし)。
 今年度は、当初、つまり昨年9月の時点では、今年2月のプログラムは現地でという前提で学生たちは参加していた。ところが、昨年12月に入って、オミクロン株の急速な感染拡大という状況にたちいたり、現地での研修は中止となり、昨年同様、すべてオンラインとなってしまった。
 日本側の学生たちの失望は察するにあまりある。海外研修があるからという理由で登録した学生が大半であり、そのうち2名は昨年度も参加しており、今年こそはと再登録したのに、中止となったのだから、そのショックは今回初めて参加する学生たちより大きかったに違いない。
 2月の最終プログラムのまで残り二箇月を切ったところでのこの決定である。モチベーションが下がらないほうが不思議だ。こちらの学生たちも、一緒に泊まり込んで合同ゼミを行えることを楽しみにしていたのだから、やはりがっかりしてしまった。それも当然だ。
 そんな中での共同作業となり、懸念されたとおり、双方ともやはり熱量不足で、5グループすべてがそうだったわけではないが、昨年に比べれば、準備作業の集中度も密度もレベルも劣っていたと言わざるを得ない。しかし、私は彼らをせめることはできない。むしろ、よく最後まで頑張りましたねと労いの声を掛けたい。
 それに、なによりも、一昨日昨日の5グループの発表は、それぞれ内容はなかなかに充実したものであった。いずれも構成はしっかりしていたし、私がオンライン合同授業で発した問題提起をしっかりと受け止めてくれた発表もあり、自分たちの関心に問題を引き付けて、かつそこからまた新渡戸の『武士道』を読み直す視点を提示できていた発表もあり、1月31日に行った最終的な予行演習の際に私が厳しいコメントをしたグループは、それに応える形で、わずか数日でぐっとレベルアップし、引き締まった発表をしてくれた。
 現地での合同ゼミができなかったことは返す返す残念に思う。学生たちにとっては本当に気の毒であった。それにもかかわらず、今回の発表のためにその準備過程で積み重ねたこと、そして一昨日昨日二日間のプログラムに参加したことで、これからの勉学のために、そして、それからさらに先の人生にとっても、何らかの仕方で役に立つことを彼らが身につけることができたと私は確信している。