内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

夏の読書の実り

2022-08-16 22:31:46 | 雑感

 早朝ジョギングは七日に休んだ以外は八月も毎日一時間あまり続けている。しかし、日中は、こう暑くては、行動制限はないとはいえ、特に用もないのに外出する気にはとてもなれない。交通機関を利用するにも公共の建物や店舗に入るにもまだマスク着用が事実上原則になっているからなおのこと気持ちが削がれる。
 いきおいと言おうか、仕方なしにと言おうか、部屋に籠もって読書ばかりしている。これも長期休暇中だからこそできることで、そのかぎりでは、休みを存分に楽しんでいるとは言えるかもしれない。
 高瀬正仁の『評伝 岡潔 花の章』は今日読了した。岡潔は奇行が多いので有名な人物で、昭和三十五年の文化勲章受賞後は、メディアが大騒ぎし、世界的な名声を博した孤高の数学者というオーラに纏われ、一般読者向けの一連の随筆集の大成功もかえって岡潔の実像から読者を遠ざけてしまった面があることがこの評伝を読んでよくわかった。それだけでも読んだ甲斐はあったと思う。この評伝を読んだ後に再び岡潔の随筆集を読むことで新たな発見もあろうと期待している。