朝のうちは空気が冷たく感じたが、陽射しとともに
気温が上がっていく。
少し力仕事をすると汗ばむほどで、初夏を思わせるような
陽気となった。
退屈しのぎに小仏像を彫っているが、いつの間にか
ずいぶんたまった。
次の作品は、先日手に入れた「円空上人の心を伝える会」発行
「尾張の円空仏」の表紙の像を彫ることにした。
龍泉寺所蔵の馬頭観音で、長谷川公茂氏撮影の写真は細部まで
鮮明でよく分かる。
檜の丸太を割り、50センチの長さに切って材料を作った。
顔の部分を割ったところ、小さな節が現れた。
顔の必要な厚さまで彫り進むと、直径2センチの
大きさになった。
材料作りをしていると、木の表にも芯にも見えなかった
節が現れることはよくある。
幼木の頃に枝打ちをすると、木の表面は成長とともに
節の跡は消えるが、内部にはそのまま残る。
目利きの木こりは、表面のわずかな膨らみや歪みで、
中の状態を見抜くが、素人は割るまで分からない。
ちょうど唇にかかる肝心なところなので、彫り進む気持ちが萎える。