真珠湾の暁 佐藤大著輔 徳間文庫
「史論集」である。さすがに綿密な設定で架空戦記を書く佐藤氏である。押井守氏は「架空戦記」のジャンルは佐藤大輔を生み出すためにあったという趣旨の発言をしていた。
空母の概念を本書で理解すれば、ほとんどの軍事評論家より空母について詳しくなれる。というか、日本の軍事評論家って戦闘・戦術レベルの話が多くてね。戦略や政治との位置付けに基づくといまいちなコメントが多すぎるような気がする。もっとも、一般の人が望む軍事評論家が反映しただけかもしれませんが。
ちなみに、ヴェトナム戦争の分析の結論に「守るべきもののない人々は、そこにいるべきではなかったのだ」とあるのは、歴史から学べる人には、考えさせられる言葉ですな。
で、だ。
巻末には付録の付録のように小説が二つあるのだが、「葉桜」はいい。佐藤大輔ファンの一部にはこの本の小説が余計というのだが、なかなか技巧的な小説でいい。特に小道具と親の子への複雑な思いとの関連がうまい。こういうの書けるんだ、佐藤大輔って。現代文ユーザーでセンター試験を受ける人は15ページもない小説だから読んでもいいんじゃないかな。
「史論集」である。さすがに綿密な設定で架空戦記を書く佐藤氏である。押井守氏は「架空戦記」のジャンルは佐藤大輔を生み出すためにあったという趣旨の発言をしていた。
空母の概念を本書で理解すれば、ほとんどの軍事評論家より空母について詳しくなれる。というか、日本の軍事評論家って戦闘・戦術レベルの話が多くてね。戦略や政治との位置付けに基づくといまいちなコメントが多すぎるような気がする。もっとも、一般の人が望む軍事評論家が反映しただけかもしれませんが。
ちなみに、ヴェトナム戦争の分析の結論に「守るべきもののない人々は、そこにいるべきではなかったのだ」とあるのは、歴史から学べる人には、考えさせられる言葉ですな。
で、だ。
巻末には付録の付録のように小説が二つあるのだが、「葉桜」はいい。佐藤大輔ファンの一部にはこの本の小説が余計というのだが、なかなか技巧的な小説でいい。特に小道具と親の子への複雑な思いとの関連がうまい。こういうの書けるんだ、佐藤大輔って。現代文ユーザーでセンター試験を受ける人は15ページもない小説だから読んでもいいんじゃないかな。