国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

猛き黄金の国

2004-09-19 07:14:31 | Books
猛き黄金の国
本宮ひろ志




偏見ってえのがないと歴史ってわかりにくいんだな。偏見を是正するためには偏見があらかじめないといけないのさ。まぁ、このあたり『バカのための読書術』(ちくま新書)に詳しいので参考にしていただきたい。

で、この本は三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎の立志伝(古うぃ)で、「偏見」を生むのにいいかなぁと思う。というか、本宮ひろ志ってこういうのうまいっす。ただね、同じ題名で戦国時代の「斎藤道三」についてのマンガもあるんだけど、おいらは戦国好きだから、偏見が苦手な域に達しているわけよ。

では、この本はどんな偏見が手に入るかというと

経済における自由競争の意味。「根」という言葉で表されるアイデンティティのあり方。ナショナリズムと「根」の関係。あとなによりも「元気」の大事さかなぁ。「情熱」と言い換えてもいい。明治維新という変革を前にした人間たちの持った「元気」が感じられるんだな。改革やら変革やら口に出すことが多いのが最近だけど、「元気」がないような気がしない?むろん、理屈の価値はおいらはよく知っているつもりだ。なにせ元は経済学徒だったし、現代文教えているときなんざ、理屈がなければ食っていけねぇ目にあっちまう。だけど、理屈を動かすには「元気」が必要なんだな、きっと。

だから、本宮のあにぃのマンガは現代で一番でぇじなものなのかもしれねぇな。

なお、本宮のあにぃとナショナリズムの関係については、浅羽通明氏の「ナショナリズム」に触れられているので必読されたし。



コメント
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