旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

絶品チェリーストーン

2012-12-20 20:57:13 | アメリカ東部
午前中ボストン美術館をたっぷり説明していただいて、電車で昼食のモールに移動。

ボストンの地下鉄というか市電というか、は、正直きっぶが買いにくいし、外から来た人間にはわかりにくい。
一回利用料金二ドル五十セント。チャーリー・カードと呼ばれるプリペイドカードを買っておく方が便利。
ボストン美術館前のような屋外の駅では、バスのように乗車口が運転手のところしか開かない。ここで切符を買うのだが、おつりは出ないと思った方が良い。
列車がシンフォニーホール前のような地下駅にはいれば、すべての車両扉から乗降が可能になる。駅自体に改札がついているからだ。ややこしいですね。

遅めの昼食は老舗海鮮チェーンへ。
午後二時近くになると、十人で座れる席も空いていた。

ロブスター

身も美味しいけれど、この味噌でお椀をつくってほしいなぁ(^^)


牡蠣は日本に比べると少々小ぶりだが味は良い。しかし、地元の人に教えていただいたチェリーストーンという貝の方が印象に残る美味しさだった。

ハマグリと同じような食感だが、色がほんとに桜色であります。
この日出されたものは厨房でも「今日のは大きくていいねぇ」と話していたんだと、ウェイトレスさんが教えてくれた。

**
夜はホテルからすぐ近くのシンフォニーにて、ボストン・ポップス・オーケストラへ。
この《手造の旅》は、このコンサートの日程に合わせて企画した。

それだけ六年前の印象が鮮烈だったのである。

今日はもちろんクリスマスの演目。指揮者キース・ロックハート。

絵本の朗読がはじまったり
歌詞が大写しになってみんなで歌ったり

たのしいクリスマスコンサートでありました。
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新装ボストン美術館のアメリカ美術セクション

2012-12-20 08:10:12 | アメリカ東部
旧来の入り口を入ると、サージェントの画いた古典的な天井画がある

新しく増設されたエリアに入ると、がらりと雰囲気がかわり、明るい空間に緑色の木が見えてきた。

が、よく見るとこれがガラスで出来ている
デイル・チフリーという作家の作品。
調べてみると、彼の作品をいままでにもたくさん目にしていたことに気付いた。
ラスベガスのベラジオホテルロビー天井のカラフルで有機的な形のガラス群。ロンドンV&Aを入ったところに吊り下げられた巨大なガラスオブジェ。これらは確かに忘れがたい印象を残してくれる。
このガラスの木も、これがあることによってこの広い空間がいわば軸を得て華やかになっている。

見学の後半で見かけた、彼の初期の作品

**
ボストン美術館が大規模改修され、新しくアメリカ美術のセクションが加わったのは2010年の事。
ガイディングしていただくにあたって、特にそちらの方面に重点を置いていただいた。
以下に美術館の説明文とガイドさんの解説からの情報を基に、一部を紹介いたします。


建国の英雄のひとり、ポール・リヴィアの肖像。
仕事は銀細工師なので手にその作品を持っている。その金属や衣服の質感・机に写る光はフランドル絵画のように緻密に描かれている。
ティー・ポットは当時ぜいたく品。茶税によってボストン茶会事件(1773)が起こるのを予感させる。※この肖像画が描かれたのは1768年


彼自身の造った銀の杯。
イギリスの課した重税に反対すして結成された秘密結社「自由の息子たち」のメンバーの名前が入った高さ三十センチ近い大きなもの。


初代マサチューセッツ州知事となったジョン・ハンコックの肖像。独立宣言書にいちばんはじめにサインした人物として知られている。父を亡くして叔父に育てられ、その事業を引き継いだ。

この肖像は二十代の終わり、四年間のイギリス滞在から帰国した年に画かれている。ちょうど叔父が急死して、自分自身がトップになった時期にあたる。

ボストンのビールと言えばサミュエル・アダムス。この人物にちなんで名づけられたビールのラベルがこれ
肖像がの方がより年とって見えるが三十代前半でしかない。、

彼も建国の英雄のひとりで、政治論評誌を発行して活動。この場面ではイギリスへの請願書を持ち、マサチューセッツ州憲章を指さしている。
友人のジョン・ハンコックが依頼して画かせたものだそうだが、前出のジョン・ハンコックの肖像のかっこよさにくらべると胴体が小さくあたまでっかちになっているような。確かに絵としてはよく描かれているけれど、文句いわなかったのかしらん?アダムスさん。

これら三枚はすべてコプリーという画家によって描かれている。
彼はボストン生まれでアメリカ建国の英雄たちを描いたが、自分自身はアメリカ独立戦争前にイギリスにわたり、ロイヤル・アカデミーの会員になり、ロンドンで死去している。

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ワシントンDCのリンカーンの巨像。

ダニエル・チェスター・フレンチのオリジナルから鋳造されたブロンズ。
この作品はその優れた造形力を知ってもらうために
PLEASE TOUCH!=さわってください、付記されていた。

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一ドル札のワシントンは、この画きかけの絵がもとになっている。

大統領二期目に、マーサ婦人からの依頼で画かれたこの肖像画は、結局本人には引き渡されなかった。このオリジナルは画家本人が所蔵し続けて、これを元絵にして、依頼殺到のワシントンの肖像画を描いていったのである。

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冒頭のボストン美術館天井画を描いたサージェントの最高傑作とされるのが「ボイト家の娘たち」という大作。

実際の四人姉妹の構図は、幼女から少女への精神的変遷を表している。
画面の中に画かれた日本製の巨大な壺は1997年になってボストン美術館が購入して絵の隣に置いた。

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ティファニーよりひとまわり年上のライバルガラス作家ラ・ファージによるステンドグラス。

釣りが大好きな注文主の邸宅のためにつくられたそうな。一見してジャパネスク。
水を表すのに使われている白濁したパール・グラスは、彼が考案して特許。

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あ、おととい旧市街でみかけたバッタのオリジナルだ
こちら参照

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実業家パトリック・リヨン氏の引退記念・全身肖像画

自分がはじめてついた職業・鍛冶屋に扮して画かせている。左上背景には一時投獄された監獄の塔。貧しい出自を忘れないための戒め、また研鑽を積めば出自に関係なく成功できるアメリカという国に生まれた事を誇っているかのようである。

★アメリカという国は、血ではなく、個々の人々の個性と努力によって成立してきた。
ボストン美術館のアメリカセクションは、美術品としての作品を通じて、その事をゆっくりと理解させてくれる場所になっていた。
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