JRホテルから一時間かからずに屋久杉自然館に到着。 屋久杉に特化して、そのなんたるかを分かりやすく解説してくれる場所。
有名な縄文杉から「落ちた枝」が展示してある↓折れた現場から、展示できるように処理して持ってくるのに一年かかったそうだ↓
巨大な枝はそれだけで一本の木のようだ。★靴を脱いで入館する床は心地よい木製。栂(つが)の木のブロックをはめ込んでな並べてある↑
切り株で説明↓屋久杉の年輪というのは、気候の変化で一年に一本とはかぎらないのだそうだ。ほほう↓
第二室の真ん中に、巨大な切り株がそびえている。もともとはもっと大きかったものを、この建物に入れるためにちいさくしたのだとか↓
★伐採のためのノコギリが年代を追って展示してある。これだけ巨大な木を完全に切り出すのには、手動ノコギリの時代には一本に一か月もかかっていた。 それが、昭和30年代にチェーンソーが導入され、いっきに伐採のペースがはやくなっていった↓
★かつて杉を伐採するために住んだ人たちの村があった。小杉谷といい、大正末期からはじまり約半世紀の間だけ、屋久島唯一の山の中の集落であった。そこでの暮らしを記録した白黒フィルムが興味深い
はじめは木材運搬のために建設されたトロッコだったが、ディーゼルが運行されるようになると住民の足となった。一時間で麓の安房まで買い物に行く風景↓「トロッコの上で生まれた子供も三人」いたんだそうな。
切り出した丸太に一人一人が跨り、ブレーキだけでふもとまで運んでいく様は、まるで遊園地のアトラクションのよう↓
この村は昭和四十五年に廃村となり、今はトロッコの軌道の跡を登山客が歩く。
***屋久杉自然館を出て、さらにじぐざぐ道をのぼってゆく
標高千二百三十メートルのところにある「紀元杉」へは、そのままバスでつけらる↓
まわりに木道が敷設されていて、ひとまわりできる↓
↑この「紀元杉」には、二十四種類もの別の植物が「着生」しているのだと、先ほどの自然館で解説された。その図↓
その種類が、現地の解説版に「着生植物」として列記されている↓
「着生」は「寄生」とは違い、木そのものの養分を奪う事はしない。文字通り、くっついてそこで生きている。雨が多い屋久島のような場所だからこういう事が可能になるのか。
★りんご椿の実がころがっていた→これは黒くなってしまっているが、枝で赤く実っている時にはまるでリンゴのように見えるのでこの名前になったのだという。花もまだ残っているところがあった↓
***標高千二百三十メートルの「紀元杉」から、標高千メートルのヤクスギランドまで下る。歩くコースはたくさんあるが、「大きな杉が見たい」というだけならば、短いコースでも充分に楽しめる。
★ヤクスギランド
30分、50分の短いコースならば、歩きやすい木道が整備されている↓
雨が多く、苔むした木肌の木が多い中で、つるりとしたこんな木が目立つ↓
これは巨大な「ヒメシャラ」。苔が生えると表面が自然に剥けて、こんな木肌を保っていられるのだそうだ↑
ガイドさんが形状のちがう二種類の杉の葉を紹介してくれた↓下の写真は両方とも同じ杉なのだけれど・・・
とげとげの葉と優しめの葉と↓どちらが、若木のものだと思います?↓
左のとげとげのほうが若木。小さい時には動物に食べられやすいから、こういう形状になって自己防衛しているのだそうな。へぇええ~↑
★土埋木(どまいぼく)とよばれる古い切り株が苔むして残されている。これは、江戸時代の伐採の残り。当時は木目がまっすぐになっている少し高い位置から切り倒していた事による↓
切り株の上から二本の新しい木が生えている場所をよく見かける。自然にはそうならない。
「江戸時代、樹齢何百年という杉を切り倒すと、そのあとに若木を二本植えて祈るという習慣があったのです。そこから二本の木が育ってこの姿になったのです。」↓バスガイドさんに説明していただいて、はじめて納得した。
苔にもたくさんの種類があり、優秀なバスガイドさんにはちゃんと「自分の好きな苔」というのがあった。このふかふかした丸いのがお気に入りなんだそうな(^.^)
この「栂の木のトンネル」はどうやってできたのか?↓
「もともとここには巨大な石があったのを、またいで栂が育っていったのです。あるとき石が転がり出てこのようなかたちにのこりました。」なぁるほど。
**苔のなかに咲く、小さくきれいな花は「オオゴカヨウオウレン(大五加葉黄連)」という↓
****ヤクスギランドへの公共バスは朝夕一本だけ。公共交通機関だけで旅をするのはなかなかたいへんな島であります。
水力発電所が見えた。この荒川ダムでつくられた電気は20%だけで家庭用がまかなわれていて、あとの80%は屋久島電工が運営しているダイヤシックをつくる工場へまわされている。ダイヤシックとは何?⇒屋久島電工のHP 国内ではここでしか生産されていない。それだけ豊富に安い電気を供給できる屋久島だということか↓
それでいて一般住民の電力が安くはないのが不満というのは理解できる。
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まだ午後二時過ぎだけれど、滝を見たらサンカラホテルに入ることにする。良いホテルはただ泊まるだけではもったいないから。