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【読了】 五郎治殿御始末  浅田次郎

2009年06月08日 | 読書
佳作。

前回読了した「夕映え天使」に比べて1話ごとの構成と
着眼点がすっきりしていて読みやすかった
また、1冊を通してちりばめられた過渡期の心情と風俗に
ぐっと引き寄せられ、一気呵成に読みきってしまった

実のところ、「明治維新」ほどではないにしろ「時代の転換期」
という時期は案外多くて、その都度「波」に乗れぬ人々がいる
のも事実である
太平洋戦争もそうであり、IT革命も含まれてよいと思う

大半の人々は氾濫する情報の波にうまく流されながら
未知の岸辺にたどり着き、そこで昔話をしながら暮らし
始めるものだ
そして、改めて蒔いた種が芽を出して育ち、畑になるころには
都合よく風化させてしまうものだ

その意味において本作は、前時代の習性にこだわり時代に沈んで
いくがごとき人々のおぼろげな姿を、一握の砂のように描いた
作品と言えよう

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