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蒜山ツーリング その2

2022年10月24日 | 二輪の話

蒜山高原の朝はよく冷えていて、寝ているYさんを残して朝風呂に向かった。

ホームページよりは経年劣化しているラドン温泉ではあるが、早朝の暖かい湯は何物にも代えがたい。

くすんだ窓から外をみてみると、東側にある草の谷あいが霧に埋もれていた。

蒜山三座の向こうから登る陽が、谷あいにたまった霧の表面を照らす。

雲海というにはスケールが小さいが、朝日を浴びてずこく趣のある景色だった。

風呂上がり、これを画像に残しておこうと構えたものの、霧はかき消されて草原に戻っていた。

 

朝食を摂って、身支度を整えたら宿代を決済して旅立つ。

こういうときYさんとはサイクルがよくあうので、気を遣わずに済む。

ルートを決めたり変更したりするときも、Yさんはいつも「ええけどな」と父の我儘を赦してくれる。

もう40年を超える長いつきあいだ。自分の家族よりも長い。

 

エンジンをかけたら、そのまま大山環状道路を駆け上がって鬼女台展望休憩所。

この先は、36年ほど前の新入社員のころに、初めて会社の同僚で来た場所だ。

ここから大山はそう遠くはなく、大山寺に着けば紺碧の日本海も眺められる。

途中、路面は荒れているものの心地よいワインディングを駆け、第三、第二、第一の沢を越していく。

大山では普段水のない川が三本あって、それぞれを「沢」としている。

水のない川は、降雨の際には急流となり通行を妨げるので、環状道路は橋をかけている。

同期の田中君はこの沢にくる手前で転倒し、父の足元をころがっていった。

 

大山寺に着くと、Montbellのショップがあって登山客を迎え入れていた。

我々も大山寺までは参っておかなければならなかったのだが、坂道は苦手なので坂の下から拝んでおいた。

また、Yさんは珍しくお腹の調子が悪いとのことで、ここでもトイレを借りていた。

 

さてさて、宿でもらったクーポンが岡山県でしか使えないものだったので、大山を降りて蒜山で土産物を買うことにした。

今来た道をそのまま逆戻り、ただ単車というのは走るのが楽しい乗り物なので、これに不満はない。

蒜山高原の土産物店でクーポンを使っていたらいい時間になった。

実は、昼食には事前にネットで調べていた作用のカレーうどん屋さんに行こうと考えていた。

そのお店までR482経由、ナビでは1時間半ほどかかる予定となっていた。

智頭町に入る前に給油、智頭町からも高速道路には乗らずにうどん屋さんにたどり着いた。

 

私は迷わずビッグかつカレーうどん、Yさんは朝食で舌をやけどしたとのことから普通のカレーうどん

カレーうどんを平らげて会計してもらっていたら、奥さんがどこから来たかと聞いてきた。

「川崎市から飛行機で来ました」というと随分びっくりされていた。

「天気が良かったので良かった。美味しかったのでまた来ますね。」とあいさつして単車のところへ。

気さくなご主人が厨房から一服しに出てこられて「これから飛行機で帰るの?」と尋ねてこられた。

空港でバイクを返して飛行機に乗るのだというと、土産に柚子を持って帰れとおっしゃる。

なにせ荷物がパンパンなので果物はちょっと無理と丁寧にお断りした。

作用川の堤防道路から少し入ったところにあるローカルなカレーうどん屋さん「かずら」さんというところ。

次回もこちらに来たら、是非寄りたいお店と、お会いしたいご主人だった。

かずらさんを出て作用ICでYさんとはお別れ、Yさんは家族の事情で少し早めに帰ることになったのだ。

小生はまだバイクの返却時間まで少し時間があるので、砥峰高原の方でススキを見物してから帰ることにした。

ただ、Yさんと別れたのち、時計と渋滞情報を見たらあまり時間に余裕がない感じがした。

もうYさんには追い付けないので、ボチボチと伊丹空港に向かった。

早く到着してバイクを返却できたら、1便前に乗れないか・・などと考えていた。

また、既に膝周りもギシギシしていたのでこれくらいが潮時かもとも考えていた。

 

結局、飛行機に空席はなく予約通りの便で羽田に帰る。

お昼がボリュームたっぷりだったので夕飯はローソンでサンドウィッチのみ。

羽田ではバゲッジの引取りがあるので、いつものようにダッシユして空港バスに向かうことはせず

大荷物をもって、いつもの8番たまプラーザ方面行に行き、リムジンバスに潜り込んだ。

 

週末のツーリングとしては、えらく遠方まで足を延ばしたが、これでYさんと旅行に出られたし酌み交わした酒もうまかったのでよしとする。

前夜、Yさんに「今年はスキー行かへんか。去年、八方よかっで。」と話しておいた。

本当に行ければいいのだが、それぞれに都合もある。正式にヒマになる退職後の楽しみにおいておくのもよい。

こういうやりとり、35年前の会話とほとんど変わらないのが、心地よい。

都合630kmほどのツーリング。これまでも、これからも、ずっと一緒に遊びたいものだ。

 

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