昨日の事である。
KT88 PPの初段管12SL7を交換して、気持ち良く音楽を聴いていたら、突然、右側のスピーカーから「ブッ!」と言う異音と共に音が出なくなった。
アンプを見ると、出力管6550Cの1本だけが、真っ赤に煌々と光っており、これは尋常じゃないと、すぐに電源を落とした。
その日は、もう夜遅かったので、本日朝から原因究明。
こういう時は消去法で。
まず、該当する球を壊れても良い予備球に交換。6550Cはお気に入りの球で壊したくないので、こういう時にどうでも良い予備球を持っておいた方が良いですね。
そしたら、電源投入数分後に真空管内部でバチバチといって落雷の様な閃光が走った。これは球が原因では無い。
次に疑ったのは、一番可能性の高い出力管に繋がるカップリング・コンデンサの絶縁破壊によるDC漏れ。
取り敢えず、該当するカップリング・コンデンサを外して、絶縁抵抗値を測定。
結果は、推測通り、抵抗値が1KΩ位でした。これは駄目ですね。
通常では測定範囲外のOLとなる筈。他CHのカップリングコンデンサを測定してみるとOLでした。正常。
結局、前段のDCが漏れて、出力管のバイアスが極端に浅くなり、過大なプレート電流が流れてプレートが真っ赤になっていたのです。
よくよく振り返ってみると、数時間前から右チャンネルの出力が小さく、歪ぽかったです。新しく調達したレコードを聴いていたので、てっきりレコードの盤質が悪いのかと思っていたのですが、これが前兆だったのですね。
それに、前日は、新しく入手した12SL7のエージングのために、暑い部屋で10時間くらい電源を入れっぱなしにしていたことも影響しているでしょう。
さて、代わりのコンデンサをどれにするか?ですが、耐圧の大きいコンデンサは、手持ちが少なく、しかも4個揃えなくてはならず、選択肢として、OdioCapの0.22uF/630Vか、AuriCapの0.1uF/630V、TRWの0.1uF/630Vくらいなので、取り敢えずOdioCapにしました。
交換後は、こんな感じです。金色の円筒がそれです。ポリプロピレンと思います。
このOdio Capは、ご存じの方は少ないと思いますが、UK製です。
交換後にコンデンサの両端の電圧を測定してみると、電源投入時に一時的に510V位まで上昇し、その後、380V位で安定します。
元々搭載していたBlackBeautyが0.1uF/400Vなので、電源投入の度に、一時的に耐圧を30%近くオーバーしていた事になります。定常時でも耐圧ギリギリ。
これでは駄目ですね。危険です! 私はリスクを伴いながら使用していた事になります。
交換後、6550Cのプレート電流を測定してみましたが、正常値の35mA位になりましたので、6550Cは壊れていなかった様です。助かりました~、良かった、良かった~。
OdioCap使用時の音もまずまずです。カラッとしていて切れが良いです。現代的な音です。
しかし、BlackBeautyの音が忘れられません。
0.1uF/600V耐圧品を新たに調達するか、WestCap0.1uF/600V品を調達したい思います。
今回、その場に居るときの出来事なので、まだ救われたのですが、これが電源入れっぱなしで、近くに居ない時であれば、大惨事になるところ、場合によっては火災になるところでした。あな恐ろしや!
耐圧は、過渡時の電圧も考慮して選定しましょう!
これは、先生からもしつこく指摘を受けていました。身をもって体験しました。
もう一度、回路図をよく見ると、このコンデンサの片側(=前段6SN7のプレート)は、B電源から分圧して生成しており、出力管のプレート電流やこの6SN7のプレート電流が流れ出すまでの間は、電圧が高いままとなる事がわかりました。
反省として、自己責任と言えども、今後は安全設計に気を配りたいと思います。安全第一!!!