My Audio Life (趣味のオーディオ)

真空管オーディオを中心に、私のオーディオチューンアップについて書いています。最近はPCオーディオにも取り組んでいます。

オーディオ機器の”動”と”静”

2018-08-31 12:57:10 | オーディオ

オーディオ機器には、静特性(スタティックな特性)と動特性(ダイナミックな特性)があります。

静特性とは、決められた単純波形の信号(正弦波や矩形波)を入力した時に定格負荷のもとで得られる出力特性で、規格(EIAJ、IEC)に基づいています。

それに対し、動特性とは、実際に扱う音楽信号や音声、自然界の音は、レベルと周波数が常に変動する信号(2軸と時間変化)に対する特性のことを言い、それを数値化、完全に定量化する事は非常に困難で不可能です。

オーディオ機器は音楽を聴くためのツールで有って、単純波を聴くものではないので、静特性ではなく、この動特性が重要で、この時に機器がどの様な挙動を示すかがポイントとなってきます。静特性は、特性の一部に過ぎません。

人それぞれ聴く音楽も違えば、好みの音、それに人それぞれ耳の形、脳基幹神経の違いも有り、感じ方も違うのでしょうから、実際に自分で聴いてみなければ、自分の好みに合うかどうかも分かりません。

では、好みに合うとはどういう事かと言うと、聴いていて「心地よく感じる」「音楽に陶酔出来る」ではないかと私は思います。それは脳基幹神経が大きく関係しています。(この部分は、以前のブログに書きました)


ここからは、あくまでも個人的な意見ですが、

私がこれまでオーディオ機器に関して雑誌を見たり実際に機器を聴いて感じる事は、日本のオーディオ機器は静特性(スタティックな特性)や数値に拘り過ぎる傾向があるのではと思います。まあ静特性が良いという事は、販売側は高価格化、購入者側は安心、優越感に繋がるかも知れませんが。

対して、欧州の機器は、動特性(ダイナミックな特性)、実際に聴いた感じの音を大切にしていると思います。

静特性は機器を評価する上で一つの指標になるかも知れませんが、あまりそこに拘る必要はないのではと思います。

静特性excellent=音質excellentは、必ずしも成り立ちません。

そこそこ静特性が満足出来たら、あとは職人技(微妙な雰囲気とかタッチ)と思います。

オーディオも絵画の様なものかも知れません。所謂、プリンターで忠実に描いた絵と有名な画家が描いた絵の違いの様な物かも知れません。

デザインに拘る人なら外観を見て決めるのも有りか良いと思いますが、音楽を聴く装置なので、やはり実際に音楽を聴いて選ぶべき物と思います。

しかし、機器が潤沢に有り自分の耳で聴き比べが出来る環境などそんなに有りません。ましてや田舎ではまずそんな環境は有りませんから、静特性や人の感想・意見にある程度頼らざるを得ないでしょう。しかし、高額投資する場合は、多少遠くに出掛けて行ってでも、出来る限り自分の目や耳で確かめたほうが賢明でしょう。


また、自分自身の聴く音楽、興味のある音楽、音質の好みもコロコロと変わる事も有ります。

あまりコロコロと変わってしまうと、機器もどんどんと増えてしまい。お金は散財、置き場所も無くなってしまいます。

彷徨いながらでも、ある程度進んだら自分の求める音を絞り込み、ブレない様にした方が良いでしょう。

私は、一時期はハイファイ的な音を追及していましたが、ある程度歳を重ねた今では、耳自体の特性も若い時ほどは良くはないので、どちらかと言うと、聴いていて、生きた音、血の通った音、心に浸透する音、聴いていて楽しくなる音、雰囲気を求める様になりました。

そういう意味で、ハイファイで特性が良く緻密に練り込まれた日本ブランドの機器は自分に合わなくなって来たのではと自分なりに分析しています。

どちらかと言うと、古い機器のヴィンテージ品などが、自分に合う様になってきました。

(若いときに憧れだったけど高価で買えなかった機器を今になって中古で手にすると言う喜びもありますが。)

ヴィンテージ品は、静特性こそ今ほど良くはありませんが、それなりの良さがあります。

聴く人を楽しませてくれ、気持ちが和みます。

特に欧州機器は造りも良く、音楽を気持ちよく聴かせてくれます。聴感上の音を大切にして作られています。

私の様に、ジャズ、ロックを聴く人にとって、歪なんて1%以下の違いは殆ど分かりません。クラシックなら問題かも知れないですが。

私がオーディオ機器の設計をやっていた頃(20代)も、目標規格なるものがあって、その範囲内になる様に日々努力していましたが、静特性の僅かな差は、聴感上にはあまり現れなかった様に思います。それよりもOEM先の某オーディオメーカーの試作機最終監査の時に、マイスターの方から、「この部品をこちらに変更して下さい。バイオリンの響きが良くなりますから。」と言われ変更した時の音の変化が、まさに「目からウロコ」でした。この時、オーディオの世界って単純じゃないな、特性がいくら良くても駄目だなと思い知らされました。

 

何が言いたいかというと、オーディオも「食べ物」と同じという事です。耳も人間の五感のひとつと言う事です。 

いくら美音であっても、音楽を聴くのですから、自分が楽しめる音、心を打つ音でなくてはありません。

実際に聴くのは生きた人間の耳ですから、それぞれが味覚が違って好き嫌いがある様に、聴覚も違うわけです。

食べ物も、糖度、旨味度など測定しますが、やはり最後は人間の味覚で判断です。

人間ってそれだけ、繊細な生き物なのですね。

人間の五感って、素晴らしくよく出来ていて、少しの違いでも感じ取り、それを測定器で完璧に数値化する事は到底無理なのです。

と言う事で、静特性が良い=音が良いとは一概には言えないのです。それはほんの一部を疑似的に数値化しただけなのです。

 

自分にとって心地よい音を求めましょう!

私も、引き続き、音の探求を続けたいと思います。

評論家でもありませんので、万人受けする内容にはなりませんが、何かの参考にはなるかも知れません。

好みの音は、食べ物と同じで、人によって違います。味付けは自分で行い、自分の好みの音に仕上げる。

これを既製品の組み合わせで達成することが出来なければ、自作するしかないですね。

自分のオリジナルの音に仕上げる。これが自作する人の醍醐味ですね。

コメント
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