人はいづれ死ぬ。
新生児ですら生まれたその瞬間から
死へ向かって歩き出している。
我が身にも等しい弟の癌発症から
死に至るまでをリアルにつづったこの書は
あまりにリアルすぎて
途中でなんど本を閉じて図書館へ返そうとしたことか。
それは
人はいずれ死ぬ、今もなお死への道程を目隠しされたまま歩いているのだ
ということを
本を通じて知らしめられているからに違いない。
そして癌告知、
あるいは目前に迫った死
という形で初めてその目隠しが払われるのだ。
その恐怖に打ち勝つには
やはり死を忘れて性を謳歌することが一番ラクではあるのだが
この重たいページをめくり続けるためには
死を生の一部としてともに歩み
いつかその時を迎えるその日に向かって
心の準備を整える必要があるという
まるで吟遊詩人ビードルの物語のような
そんな精神力を試される一冊なのである。