踊る小児科医のblog

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首長の地域エゴではないのか?-自治体病院再編協議打ち切り

2005年03月25日 | こども・小児科
「八戸自治体病院再編協議打ち切り」というニュースを目にして、この首長たちは一体何がしたかったのか、全く理解ができません。県側があげた「(1)八戸圏域をはじめ県内は医師不足が深刻(2)圏域内の病院数が県と全国水準を上回っており、病床数も県保健医療計画より過剰(3)赤字決算や不良債務を抱える病院が多く、抜本的な経営改善が求められる」という状況から、全ての病院がこれまで通りの診療科・医師数で運営していくことはできないという前提のもとで話し合いのテーブルに着いたのではなかったのでしょうか。具体的な案について様々な議論の余地はあるかもしれませんが、全ての町村が「受け入れられない」と言って協議自体を崩壊させてしまったら、結局のところ最後にツケが回ってきて苦しめられるのは患者・利用者である住民であることになぜ気がつないのでしょうか。

産婦人科の例だけでなく、冬場など遠くの病院まで往復しなければいけないことを考えれば、住民にとって身近な病院に全ての診療科がそろっていることが望ましいことに異論はないでしょう。しかし、だからといって全ての病院が競争のように高額な医療機器を揃えて高度な医療を行うことなど不可能なことも明白です。病院が診療所になるといっても、何も病院の建物や外来がなくなってみすぼらしい診療所になるわけではなく、これまでの病院が20床以下の外来プライマリケア中心の医療機関になるだけで激変は避けられるはずだし、現在でも二次三次の医療連携(紹介・転院したり逆紹介で戻ってきたりすること)は進められています。ある程度の機能分担が必要なことはどなたも理解いただけると思います。巨人軍に4番バッターばかり集めても優勝できるわけではなく、チームとしてつなぐ打撃の2番打者も強肩好守の外野手も必要なはずです。おらほの町だけでなく、地域全体として住民の幸福を考えることが首長には求められているはずです。