最近、便秘の子が増えているような印象があります。あるいは毎日出ていても、朝は出ないまま保育園や学校に出かけてしまい、夕方から夜に排便をする。出るんだけど、いつも固くてコロコロしている。そんな子が多い。
従来、便秘には食物繊維の多い食べ物など、食生活の改善を中心に指導してきました。しかし、単純に便秘だけを治そうとしても、プルーンやお芋を食べれば良くなるといった一問一答式の解答があるわけではなく、子どもの体は総合的にみていかないと上手くいかない。便秘は便秘だけの問題ではなく、薬でどうこうしようなんてのは本質的な問題ではありません(慢性化した便秘に薬は必要ですが)。
もう十年以上も前から、子どもの生活の乱れと体や行動の変調などが様々な観点から個々に取り上げられてきました。『睡眠サイクルの乱れ(夜ふかし、朝寝坊、睡眠時間の短縮、昼夜逆転、深夜まで子どもを連れまわす親)、食事の乱れ(朝食抜きだったりほんの少ししか食べない、小食、個食・孤食、コンビニ食やファミレス、ファストフード、サプリメント、お菓子やイオン飲料多飲など)、子どもの外遊びの減少と遊び集団・遊び文化の消滅、テレビゲームやビデオ漬け育児、言語発達の遅れや笑わない赤ちゃん、運動不足と肥満の増加、運動能力の低下、勉強時間や読書時間の減少、学力低下、日本語を知らない、朝調子が悪く、立ちくらみや腹痛・頭痛を繰り返す(起立性調節障害)、不登校、ひきこもり、キレる子ども、問題行動や少年犯罪、コミュニケーション能力の低下、生きる力の低下』などなど…。
これらは全て同じ根っこのつながった問題であり、その危機的な状況はここ数年でますます強まってきていることがわかってきました。
例えば、朝食をたべない子どもや睡眠時間が短い子どもはテストの成績が悪いことが知られています。それがわかると、校長先生から朝ご飯を食べるように指導されます。でも、朝ボーっとして起きられず、ごはんも食べられない、食べてもおいしくない、もちろんウンチも出ないで学校に行く。いくら頭で教えて朝食だけを無理矢理詰め込もうとしてもできない。
人間の体と心は、食事や睡眠、遊びや運動、生活のリズムなどと一体のもので、切り離して考えることはできません。お子さんやご両親の生活の中で『』内の複数の項目にあてはまるものがある方は、朝起きてから夜寝るまでの生活サイクル全般について、この機会に見直してみませんか。
具体的な処方箋は、昭和30年代までの子どもたちの生活にあります。毎日子ども同士で外で遊び、時には喧嘩して泣いたり泣かせたり、お腹がすいて帰ったら夕ごはんをいっぱい食べる。それもハンバーグや焼肉ではなく、お魚や野菜、みそ汁と豆腐、そして「ごはん」などの和食。夜はテレビゲームはもちろんなく、テレビも鉄腕アトムや鉄人28号だけ、宿題をすませたら疲れて早く寝る。夜は熟睡し、朝あかるくなって目が覚めたらお腹ペコペコ。だから朝ごはんがおいしい。いっぱい食べたらウンチもいっぱい、快食快便、元気はつらつで学校や保育園に出かけていく…。
現代の子どもが、便利になった生活やテレビゲームなどのメディア漬け生活の中で失った、本来あるべき子どもの姿ですが、実際にはこの生活に戻ることは非常に難しい。イマドキの子どもたちにはサンマ(3つの間:時間、空間、仲間)がありません。親や地域社会で、意識してこれらを取り戻そうとしていかなくてはいけません。特に「遊び」の復活は困難で、文部科学省でも「子どもの居場所づくり」というプロジェクトを全国で展開しているところですが、軌道に乗ったとしても長い年月が必要になってきます。
しかし、いままさに生まれて育っている子どもたちの危機は待ったなしで、そんな悠長なことは言ってられません。家庭で出来ることは、一つずつ(できれば全て)実践していってほしいのです。
・夜は今より1時間早く寝て、朝は30分早く起きる。夜9時までには布団に入って(眠れなくても)部屋を暗くする。眠くなるまでは、絵本や物語の読み聞かせ。小学校中学年以上なら、自分で眠くなるまで本を読めば、いつのまにか夢の中へ…。
・朝は目が覚めても覚めなくても、明るくなったらカーテンを開けて、お日様の光を十分に浴びさせて、体をだんだんと地球のリズムに同調させていく。
・食事は和食中心。朝もパンではなくごはん。ごはんの方が糖分の吸収も栄養のバランスも優れていて、脳がエネルギーを利用できるようになります。
・朝ごはんのあと、出かけるまでにいつもより30分くらい時間の余裕をもたせて、便意があったら我慢せずにトイレに座らせる。食べたら「胃結腸反射」で腸が動き出し、便意をもよおす。少しずつでも朝ウンチが出るようになれば、体が自然の姿に戻りつつある徴候です。
・週に1回、ノーテレビデー(テレビだけでなくテレビゲームやインターネットなどのメディアも全てなし)。できれば2回以上、家族みんなで静かな夜を。
・外遊びや、自然に触れる機会を意識的につくってあげる。車で行っていた距離はできるだけ歩くようにする。買い物やお散歩の行き帰りに、季節の変化を体で感じさせる。お休みの日には、ショッピングセンターではなく、公園や野山や川辺に出かけましょう。幸い八戸の周辺には豊かな自然が残されています。
・年長児では、一部のエリートだけの競技スポーツではなく、健康で長く続けられて体をつくるスポーツに取り組みましょう。学校や部活のあり方を先生方にも考え直してもらいたい。
・地域の子ども会・町内会活動や、えんぶり組、三社大祭の山車組など、子どもから大人、老人まで一緒に活動できる機会に親子で積極的に参加しましょう。
一つ一つは、決して難しくないはずです。親が変われば、子どもも変わります。生活が変われば、子どもの心も体も変化していきます。
【参考書籍】
従来、便秘には食物繊維の多い食べ物など、食生活の改善を中心に指導してきました。しかし、単純に便秘だけを治そうとしても、プルーンやお芋を食べれば良くなるといった一問一答式の解答があるわけではなく、子どもの体は総合的にみていかないと上手くいかない。便秘は便秘だけの問題ではなく、薬でどうこうしようなんてのは本質的な問題ではありません(慢性化した便秘に薬は必要ですが)。
もう十年以上も前から、子どもの生活の乱れと体や行動の変調などが様々な観点から個々に取り上げられてきました。『睡眠サイクルの乱れ(夜ふかし、朝寝坊、睡眠時間の短縮、昼夜逆転、深夜まで子どもを連れまわす親)、食事の乱れ(朝食抜きだったりほんの少ししか食べない、小食、個食・孤食、コンビニ食やファミレス、ファストフード、サプリメント、お菓子やイオン飲料多飲など)、子どもの外遊びの減少と遊び集団・遊び文化の消滅、テレビゲームやビデオ漬け育児、言語発達の遅れや笑わない赤ちゃん、運動不足と肥満の増加、運動能力の低下、勉強時間や読書時間の減少、学力低下、日本語を知らない、朝調子が悪く、立ちくらみや腹痛・頭痛を繰り返す(起立性調節障害)、不登校、ひきこもり、キレる子ども、問題行動や少年犯罪、コミュニケーション能力の低下、生きる力の低下』などなど…。
これらは全て同じ根っこのつながった問題であり、その危機的な状況はここ数年でますます強まってきていることがわかってきました。
例えば、朝食をたべない子どもや睡眠時間が短い子どもはテストの成績が悪いことが知られています。それがわかると、校長先生から朝ご飯を食べるように指導されます。でも、朝ボーっとして起きられず、ごはんも食べられない、食べてもおいしくない、もちろんウンチも出ないで学校に行く。いくら頭で教えて朝食だけを無理矢理詰め込もうとしてもできない。
人間の体と心は、食事や睡眠、遊びや運動、生活のリズムなどと一体のもので、切り離して考えることはできません。お子さんやご両親の生活の中で『』内の複数の項目にあてはまるものがある方は、朝起きてから夜寝るまでの生活サイクル全般について、この機会に見直してみませんか。
具体的な処方箋は、昭和30年代までの子どもたちの生活にあります。毎日子ども同士で外で遊び、時には喧嘩して泣いたり泣かせたり、お腹がすいて帰ったら夕ごはんをいっぱい食べる。それもハンバーグや焼肉ではなく、お魚や野菜、みそ汁と豆腐、そして「ごはん」などの和食。夜はテレビゲームはもちろんなく、テレビも鉄腕アトムや鉄人28号だけ、宿題をすませたら疲れて早く寝る。夜は熟睡し、朝あかるくなって目が覚めたらお腹ペコペコ。だから朝ごはんがおいしい。いっぱい食べたらウンチもいっぱい、快食快便、元気はつらつで学校や保育園に出かけていく…。
現代の子どもが、便利になった生活やテレビゲームなどのメディア漬け生活の中で失った、本来あるべき子どもの姿ですが、実際にはこの生活に戻ることは非常に難しい。イマドキの子どもたちにはサンマ(3つの間:時間、空間、仲間)がありません。親や地域社会で、意識してこれらを取り戻そうとしていかなくてはいけません。特に「遊び」の復活は困難で、文部科学省でも「子どもの居場所づくり」というプロジェクトを全国で展開しているところですが、軌道に乗ったとしても長い年月が必要になってきます。
しかし、いままさに生まれて育っている子どもたちの危機は待ったなしで、そんな悠長なことは言ってられません。家庭で出来ることは、一つずつ(できれば全て)実践していってほしいのです。
・夜は今より1時間早く寝て、朝は30分早く起きる。夜9時までには布団に入って(眠れなくても)部屋を暗くする。眠くなるまでは、絵本や物語の読み聞かせ。小学校中学年以上なら、自分で眠くなるまで本を読めば、いつのまにか夢の中へ…。
・朝は目が覚めても覚めなくても、明るくなったらカーテンを開けて、お日様の光を十分に浴びさせて、体をだんだんと地球のリズムに同調させていく。
・食事は和食中心。朝もパンではなくごはん。ごはんの方が糖分の吸収も栄養のバランスも優れていて、脳がエネルギーを利用できるようになります。
・朝ごはんのあと、出かけるまでにいつもより30分くらい時間の余裕をもたせて、便意があったら我慢せずにトイレに座らせる。食べたら「胃結腸反射」で腸が動き出し、便意をもよおす。少しずつでも朝ウンチが出るようになれば、体が自然の姿に戻りつつある徴候です。
・週に1回、ノーテレビデー(テレビだけでなくテレビゲームやインターネットなどのメディアも全てなし)。できれば2回以上、家族みんなで静かな夜を。
・外遊びや、自然に触れる機会を意識的につくってあげる。車で行っていた距離はできるだけ歩くようにする。買い物やお散歩の行き帰りに、季節の変化を体で感じさせる。お休みの日には、ショッピングセンターではなく、公園や野山や川辺に出かけましょう。幸い八戸の周辺には豊かな自然が残されています。
・年長児では、一部のエリートだけの競技スポーツではなく、健康で長く続けられて体をつくるスポーツに取り組みましょう。学校や部活のあり方を先生方にも考え直してもらいたい。
・地域の子ども会・町内会活動や、えんぶり組、三社大祭の山車組など、子どもから大人、老人まで一緒に活動できる機会に親子で積極的に参加しましょう。
一つ一つは、決して難しくないはずです。親が変われば、子どもも変わります。生活が変われば、子どもの心も体も変化していきます。
【参考書籍】
人間になれない子どもたち―現代子育ての落し穴〓出版社このアイテムの詳細を見る |
こどもたちのライフハザード岩波書店このアイテムの詳細を見る |