踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

救急車の有料化は避けられない

2005年03月16日 | こども・小児科
「救急車有料化を本格検討へ 消防庁」(産経)ということで報道され話題になっていますが、この問題は既にこれまでにも調査や議論が行われてきたもので、ネット上でも主な論点は出揃っているようです。ここ数日のブログで注目すべきは、救急車、有料化について思うコト(空の庭@楽園)救急車の有料化が検討か(Herr DoKtor)のように、医療関係者から救急車の有料化はやむを得ないという意見が多数表明されていることです。私も、救急医療の現場から離れて長くなるので最近の実態については言えませんが、以前からみられた傾向が更にひどくなったのであれば、有料化はやむを得ないものと考えます。

ごく簡素化して考えれば、
A)有料化して不必要な救急車出動を抑制することにより、救急車の到着が遅れて本来なら助かるべき人が助からないという事態を避ける
B)有料化によって本来救急車を利用すべき人が不必要な自制をしてしまい、手遅れになる
この2つの兼ね合いで、A>>Bなら有料化、A≧BやA<Bなら無料維持やその他の対応を考えるということになると思います。

C)-1)このまま無料を続け、現場の努力にまかせる
C)-2)このまま無料を続け、救急隊や救急車、救急医療に莫大な予算を投入して対応する
C)-3)このまま無料を続けるが、国民のモラルにまかせて適正な利用状態を維持する
3)は不可能とほぼ断言できるし、1)ではA)に書いたようなケースで手遅れになる人が続出し、救急医療体制が維持できなくなってきている(ここが議論のスタート)。そういった非常識な使い方をする人のために2)のように税金を投入して無料を維持すべきという意見が多いとも思えません。

そのほか運用上の問題点などもありますが、結局は大きな選択をしていくのは国民自身だということになります。「重症かどうか一般の人には判断できない」といったご意見があるかと思いますが、有料化論議は「救急車を呼ぶな」ということではありません。若干微妙な部分もあるかと思いますので、誤解のないようにリンク先の資料などをご覧いただければ幸いです。

国政モニター お答えします 救急車の有料化について
ディベート甲子園論題を読む~中学「救急車有料化」編
ディベート甲子園論題を読む~中学「救急車」編
救急車の不足と有料化を考える(MEDAMA Cafe)

マラソン突然死と喫煙(タバコ)の関係

2005年03月15日 | 禁煙・防煙
3月6日の「びわ湖マラソン細川世界内定で残り2枠は微妙に」の中で、マラソン中の突然死のニュース(61歳会社員、途中で倒れ死亡 埼玉・上里)については後日あらためて取り上げると書きましたが、今度は「心肺停止の70歳ランナー、除細動器が命救う」というニュース。しかも、よくみると同じ2月20日の出来事。

「後ろを走っていたランナーのうち、大阪市消防局の救急救命士(41)、熊取町消防本部の救急救命士(34)、府立泉州救命救急センターの男性医師(40)と女性看護師(31)の4人が駆け寄り、協力して心臓マッサージと人工呼吸を始めた。 さらに並走していた救護車からAEDを取り寄せ、倒れて2~3分後に電気ショックを施したところ、心拍と呼吸が戻り、堺市の病院へ救急車で運ばれた」というのですから、こんなに巡り合わせの良い人もいるもんだと感心してしまいます。ただし、この場合はラッキーで助かったということではなく、AEDが準備されていて早いタイミングで使われたということが主題ですので念のため。もう一つは、ランナーの中にはこの手の関係者の割合が高いのではないかという仮説(医者の不養生の逆)ですが、これはデータがない。

マラソン中の突然死については、これだけ中高年のランナーが増えてくれば、ある程度の割合で発生しているものと考えてみていかなくてはいけません。私もヘナチョコランナーの端くれとして気にかかります。徳島市・佐藤隆久先生による「マラソン中の突然死」というページがあり、ランニング雑誌に紹介されたこともありますが、喫煙については何も触れられておらず大いに不満があるということは以前にも書きました。

禁煙活動をされている方のブログ「マラソン突然死」にもあるように、喫煙が突然死の大きな原因であることは間違いないのですが、市民マラソン大会だと会場が禁煙になっていなかったり、走る前にタバコを吸っていたり、それどころか役員席で喫煙しているなどというレベルのところもあるようです。(「喫煙は12kgの重荷を背負うのと同じ」における弘前白神アップルマラソンの例)

実際に突然死やニアミスを起こしたケースの喫煙率などのデータを持ち合わせていないのですが、長距離を走る選手や市民ランナーがタバコを吸うなど自殺行為に等しいし、心肺機能を無理矢理低下させているのだから記録更新など不可能でしょう。最低限、ランナーの喫煙率はゼロ%であるべきです。(それでも突然死はゼロにはならないのだから)

問題は、そんな当たり前のことすら多くの人が知らない、知られていない、言われていない、気にしていないということです。スポーツとタバコの問題については、今年の青森県タバコ問題懇談会でも取り上げていくことになっています。

14~21%が回復者から感染 小学生のインフルエンザ

2005年03月14日 | こども・小児科
いま流行中のインフルエンザについては2/8に注意報2/28に警報と注意点などをこのblogや院内報にも掲載しましたが、今回報道された「14―21%回復者から感染 小学生のインフルエンザ」という記事の「インフルエンザにかかった小学生の約半数は学校で感染し、その14―21%は病欠後に登校してきた児童から感染したとみられるとの調査結果を日本臨床内科医会インフルエンザ研究班が12日までにまとめた」という内容は、上記2つに書いたものと全く一致するものです。データは今冬のインフルエンザ対策2004-2005(日本臨床内科学会)図5および図6をご覧下さい。

調査に当たった廣津医院の廣津伸夫院長は「解熱2日後までの出席停止を厳守させることが重要」と話していますが、いま使われているタミフルという抗ウイルス薬を使うと1日で熱が下がってしまうことも多く、「解熱2日後まで」という表現では足りないというのがこの結果からもわかることであり、また、この時期は咳がむしろ多くなる時期にあたるので、前記の注意報・警報のときにも「5日から1週間が目安」と書いて、受診した患者さんにも伝えています。

水痘のような軽症の感染症でも感染性がある5日から1週間程度(かさぶたになるまで)は休まなくてはいけないのに、インフルエンザのような重症感染症で、感染性がまだあるのに熱が下がったからといって登園・登校させるという親や社会の考え方そのものを、きちんと転換させていかなくてはいけません。もちろん、大人が通勤するのも全く同じです。インフルエンザが治っていないのに無理して通勤して満員電車でコンコンと咳をするなんて、どういうことか考えなくてもわかりますよね。

毎年波乱の名古屋国際女子マラソンと世界代表選考

2005年03月13日 | SPORTS
世界代表選考レースの最後となる名古屋国際女子マラソンは昨年に引き続き波乱のレースとなり、初マラソンの原裕美子が2時間24分19秒で初優勝、渋井は風邪の影響か7位に沈みまたしても選考レースに失敗、大南敬は左膝が相当痛そうでしたが「左足の感覚がなくなり、最後は意地で走った」とのこと。後に残らなければいいのですが。

しかし、原の走りと最後のあの苦しそうな表情(吐くのかと思った…)には驚きましたが、それでもスピードは落ちず、大島(旧姓田中)は2年連続で逆転負け。ゴール後の大島の表情をみたかったのですが全然映さず、民放のマラソン番組は相変わらず出来が悪い。それよりも驚いたのは夕方のNHKニュースで原と渋井にだけ触れて、大島については、原がいったん「他の選手」に逆転されたが抜き帰した…、という表現! いくら短いニュースとはいえ2年連続2位で世界代表入り確実のトップ選手のことを「他の選手」はないだろう。これはひどすぎます。NHKは相当おかしくなってますね。渋井は軽い鼻風邪と言ってましたが、この時期にもしかしたらインフルエンザだったのかも。運不運もありますが、マラソンは何が起こるかわかりません。ただ、マラソンではマサカの負けはあっても、マグレで勝つということがないのは確かのようですね。

さて、問題の代表選考ですが、

男子マラソン:世界代表選考レースがすべて終了
 ◇世界選手権代表選考レースの上位日本選手◇
 【福岡国際=04年12月】
★(1)尾方  剛(中国電力)   2.09.10
 (2)大崎 悟史(NTT西日本) 2.10.56
 【別府大分毎日=05年2月】
 (1)入船  敏(カネボウ)   2.09.58
 (3)森下 由輝(旭化成)    2.11.48
 【東京国際=05年2月】
★(1)高岡 寿成(カネボウ)   2.07.41
 (4)堤  忠之(三菱重工長崎) 2.14.37
 【びわ湖毎日=05年3月】
★(3)細川 道隆(大塚製薬)   2.09.10
 (4)奥谷  亘(富士重工業)  2.09.13
 (5)松宮 祐行(コニカミノルタ)2.09.18
※★は代表内定
>残る2枠は、日本陸連後援の別府大分毎日を含めた4大会の上位者から選考される。
>候補には、福岡2位の大崎悟史(NTT西日本)、別大優勝の入船敏(カネボウ)、
>びわ湖4位の奥谷亘(富士重工業)、同5位の松宮祐行(コニカミノルタ)が挙がりそうだ。
>このうち奥谷は、終盤もしぶとく追い、記録的にも優位で、代表入りが極めて有力。
>もう1枠の争いは、大崎は後半の組み立て、入船は優勝の実績、松宮は終盤の粘りでアピールし、議論になりそうだ。

#最後の一枠は、優勝対5位の実績で入船と予想しておきましょう。問題は女子ですが、

女子マラソン:原、小崎は世界代表内定 残り3人の座は
 ◇世界選手権代表選考レース上位日本選手◇
 【東京国際=04年11月】
 (2)嶋原 清子(資生堂)   2時間26分43秒
 (4)千葉 真子(豊田自動織機)2時間27分2秒
 【大阪国際=05年1月】
★(2)小崎 まり(ノーリツ)  2時間23分59秒
 (3)弘山 晴美(資生堂)   2時間25分56秒
 (4)大山 美樹(三井住友海上)2時間26分55秒
 【名古屋国際=05年3月】
★(1)原 裕美子(京セラ)   2時間24分19秒
 (2)大島めぐみ(しまむら)  2時間24分25秒
 (3)江田良子(ヤマダ電機)  2時間24分54秒
 (4)橋本康子(セガサミー)  2時間25分21秒
(★は代表内定)
>残り3人の座は、東京国際2位の嶋原清子(資生堂)、大阪3位の弘山晴美(資生堂)、
>名古屋2位の大島、同3位の江田が争う。
>大島は記録、レース内容とも優れ最有力。
>弘山も強い風の中、終盤に追い上げを見せており有力か。
>嶋原は先頭争いに加わっていないが、終始ペースを保った。
>江田は終盤でスパートし集団を崩す積極性を見せた。

大島は問題なく当確で、残り2枠は、嶋原の追い上げと、弘山の粘り、江田の今日の走りとタイムをどう評価するか。千葉は今回も怪我で欠場だし、今後世界レベルでの活躍が続けられるか正念場ですね。江田という選手は初めて知りましたが、中継では今回で引退ということだけでほとんど情報はなし(いつものことながら一部選手に偏った中継で白けます)。旧姓は北島で、トップクラスで実績は残してきた選手のようですが今回自己ベストを大幅に更新してあの走りでどうして引退? と思ったら、撤回して選考にアピールする構えのようですね。というわけで、予想は「嶋原、江田」としておきましょう。。

毎回マラソンの選考には一波乱ありますが、今回はオリンピックじゃないし枠が各5名なので、それほど問題にはならないでしょう。オリンピックについては一発選考という正論が選手サイドや評論家からもあがっていますが、混乱を避けるためには本来それしかないでしょう。ただ、野次馬的な観客側からすると選考レースがいくつかあった方が楽しみも広がることも確か。

論議さえされないマラソンの五輪代表「一発選考」2004年02月28日(土)
メディアに不利益をもたらす五輪代表「一発選考」2004年02月29日(日) 萬晩報通信員  成田 好三

スマトラ沖地震津波救援チャリティーコンサート

2005年03月12日 | ART / CULTURE
スマトラ沖地震津波による死者、行方不明者は30万人ともいわれています。
復興には、5年10年とかかるともいわれています。
被災地の窮状を報道等で見るたび、私たちも何かすべきではないかと考えました。
そこでチャリティーコンサートを開催し、その収益金で被災地、被災者の方々を少しでも支援したいと思います。
どうかご支援ご協力をお願いいたします。(呼びかけ人一同)

呼びかけ人:阿部宗男・淡路孝祐・岩田雅一・掛端不似子・角金秀祐・富岡敏夫・中村由佳
※収益金は全額、日本赤十字を通じて寄付いたします

と き:3月21日(月・祝日)pm2:00~4:30
会 場:八戸プラザホテル みやぎの間
会 費:1,500円(コーヒー・ケーキ付) ※前売券のみケーキがつきます
出 演:1部 ハーモニカ、シャンソン、フラメンコギター
    2部 荒屋敷 和美(アルトのソリスト)
       沢田 崇子(ピアノ)
      (曲目:涙そうそう、さとうきび畑、アメイジング・グレイス、
       アヴェ・マリア 他)
ゲスト・フラ 荒屋敷 慎子(慎子フラスタジオ主宰)

~荒屋敷和美プロフィール~
八戸東高校、明けの星短大専攻科卒。98年に東巧巨氏らとユニット「ブリーズ」を結成し、CDデビュー。青森県内各地でコンサート活動や福祉施設への慰問を続けている。青森市の「青森第九の会」の年末コンサートにはアルトのソリストとして4年連続出演。昨年7月の五戸町合併記念祝賀会出演。
クラシックからポップスまで幅広く活躍している。

主催:市民フォーラム平和とみどり
協力:はちのへ音楽愛好会/はちのへ地球村
後援:デーリー東北新聞社/コミュニティーラジオ局Be-FM
チケット取り扱い:三春屋/ラピア長崎屋
<問い合わせ>事務局 0178-29-1765(岩田)

#スマトラ沖地震については当日12/261/7にもお伝えしましたが、このチャリティーコンサートの呼びかけ人のお一人とある会議で同席させていただき、チラシも数部いただきましたので、ここをご覧の方にもお知らせします。地元紙にも12日付で予告記事が掲載されていました。

「やめた人からキレイに」~日本看護協会が禁煙を支援

2005年03月11日 | 禁煙・防煙
日本看護協会が女性看護師の禁煙を援助するために「やめた人からキレイに」/看護師に禁煙の小冊子を作成したというニュースが報じられています。女性看護婦の喫煙率が高いのはどう考えても異常だし(ストレスが多いから…というのは真っ赤な嘘で、それならナゼ女性医師の喫煙率が高くないのか、全然説明がつきません)、そんな冊子つくらなくてもプロなら禁煙しろよなと言いたいのですが、まあ良いでしょう。早くみんなやめて振り返ってみてみればいい。自分がどんな意味のないことをしていたかわかるから。(医師のみならず医療関係者は喫煙率ゼロであるべき)

日本看護協会

上記ページからプレスリリースのPDFファイルがダウンロードできますが、冊子そのものは掲載されていないようです。ちなみにタイトルの意味は、タバコは女性にとってだけでなく男性にとっても「老化促進剤」であり、喫煙者は肌荒れ、シミ、シワ、白髪、ハスキーボイスなどが目立ち一見して喫煙者とわかる「スモーカーズフェイス」と呼ばれていることは常識となっているので、土台以上にキレイになるというわけではありませんが、早く止めれば少しでもその影響から逃れることができるということだと思います。

明治「母乳サイエンスミルク」というまやかし

2005年03月10日 | こども・小児科
明治乳業から「母乳サイエンスミルク」などというトンデモない名前の人工乳(もちろん母乳からつくられているわけではありませんが育児用ミルクの原料が牛乳であることを知らない親も多いらしい)が発売されようとしているのに対して、小児科医や母乳哺育を進めている関係者らでつくる3団体が名称変更を申し入れたというニュースが報道されています。

母乳:明治乳業に名称変更申し入れ 日本母乳哺育学会など

これについては、1か月ほど前から小児科や新生児医療のメーリングリストなどでも問題となり、何らかのアクションを起こすべきとして賛同者を集め、最後に日本母乳哺育学会などが共同で参加することになったもので、実は私も賛同していたのですが期限までにメールを出しそびれたためにリストには入っていません。今はどの業界もコンプライアンス(法令遵守)が企業倫理として求められており、赤ちゃんと母親の拠り所である小児科医・産科医・助産師らの団体や個人がこのような形で公にWHOの基準に違反していると批判すれば、乳業会社にとってこれほど大きなダメージはないでしょう。明治も焦ったのではないかという同情的な声も一部に聞かれますが、商売目的で母親と赤ちゃんを「だます」行為を見逃すことはできません。

また、これを機会に、人工乳はいくら調整して栄養学的に母乳に近づけたとしても、免疫的なメリットや母子の愛着形成などで母乳に取って代わることはできない、あくまで代用品でしかないという認識が広まることも期待したいと思います。申し入れの全文は下記の通りで、公表されたものですのでここにも引用させていただきます。無事名称が変更されたら、またここに報告します。

「母乳サイエンスミルクほほえみ」の名称変更を求める申入書

          株式会社明治乳業 御中
                  2005年3月10日

 私たちは母乳育児の支援、研究に携わる専門家の団体です。

 私たちは貴社と同じく、赤ちゃんの成長・発育・発達のためには母乳が最良であると考えており、母乳育児の保護・推進・支援のために、WHOの「母乳代用品の販売流通に関する国際規準」(以下、国際規準)を支持しています。

 貴社が3月14日に発売予定としている「母乳サイエンスミルクほほえみ」の名称は、WHOの「国際規準」の第9条1,2および「不当景品類及び不当表示防止法の第4条第1項1号、消費者保護基本法第10条、第4条第1項に違反しており、私
たちはその名称の変更を求めます。

 現在の人工乳が栄養学的に一定の優れた品質を示していることは周知の事実です。しかし、だからといって人工乳が完全に母乳に置き換えられるわけではありません。母乳の意義は栄養に限定されたものではなく、今でも免疫学的効果などについては、人工乳が母乳に比べ遥かに及ばないことは明白な事実です。

 最新の医学研究によっても人工乳による哺育は、母と子ともに多くの病気のリスクが高いことが明らかにされ、母乳育児には社会経済学的・環境生態学的利点があることも明らかにされています。

 よって、私たちが赤ちゃんと母親の健康のためにまず為すべきことは、母乳育児の確立に向けてあらゆる努力を傾けることです。そのために母乳育児に伴う様々な障害を取り除きこそすれ、母乳育児をけっして妨害してはならないと思います。

 1981年のWHO総会において、母乳育児の保護・推進・支援の目的で、乳業メーカーによる人工乳その他の母乳代用品の不適切な販売活動を規制する「国際規準」が圧倒的多数の賛成を持って決議され、日本政府も1994年のWHO総会でこれに賛成し、貴社も加盟するところのInternational Association of Infant Food Manufacturers(IFM)も、この「国際規準」の理念と目的に賛同し支持していることは貴社も知るところであります。
 貴社は日本を代表する乳業会社であり、貴社には不適切な母乳代用品の販売活動を行わないとする「国際規準」を遵守すべき社会的・倫理的・道徳的責任と義務があるといえます。

 しかし、貴社が3月に発売予定としている「母乳サイエンスミルクほほえみ」の名称はWHOの「国際規準」に違反しています。

 「国際規準」の第9条1では「製品の正しい使用に必要な情報を与え、しかも母乳育児を妨げないように意図されるものとする」とされており、また9条2では「乳児用ミルクの使用を理想化するような絵または言葉を使ってはならない」とさ
れています。

 また「不当景品類及び不当表示防止法」第4条第1項1号には、「商品又は役務の品質、規格その他の内容につて、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、公正な競争関係を阻害するおそれがあると認められる表示」をしてはならないとあります。

さらに、消費者保護基本法には、「消費者が商品の購入若しくは使用・・・に際しその選択を誤ることがないようにするため、商品・・・について、品質その他内容に関する表示制度を整備し、虚偽又は誇大な表示を規制する等必要な施策を講ずる」ことを国の責務とし(第10条)、事業者に、自ら「その供給する商品・・・について、危害の防止、適正な・・・表示の実施等必要な処置を講ずる」ことを義務付けるとともに、「国又は地方公共団体が実施する消費者の保護に関する施策を協力する」責務を負わせている(第4条1項)となっています。

 貴社は「母乳サイエンスミルクほほえみ」の宣伝文において、同人工乳が「栄養学的に母乳に限りなく近づいた」と記載しています。しかし、栄養学的側面以外、たとえば免疫学な側面においては人工乳が母乳に劣っていること、人工乳の使用により赤ちゃんや母親に様々な病気のリスクが高くなるという人工乳と母乳についての正確な科学的事実の記載はまったくありません。 

 消費者(母親)がその使用にあたって知っておくべき正確な事実を明らかにせず、「栄養学的に母乳に限りなく近づいた」という宣伝しながら、人工乳に「母乳サイエンスミルク」という名称を冠することは、消費者に「母乳サイエンスミルクほほえみ」が栄養学的側面以外においても母乳に近づいたという誤解を与えてしまうものであります。

 人工乳の名称において「母乳化された」(humanized, maternalized)という言葉が使われたことがありました。しかし、この表現は人工乳が母乳になったわけではなく、不正確であるという理由で国際規準においても使用が禁止されています(9条2d)。

 「母乳サイエンスミルクほほえみ」の名称も同様に、「母乳サイエンス」という名称をつけることであたかも「科学的研究」の結果、人工乳が母乳と同じものとなったという誤った印象を消費者に与えるものです。

 以上より私たちは、赤ちゃんと母親にとって最良のものである母乳と母乳育児を守るため、貴社に「国際規準」を遵守することを求め、新しい人工乳の名称から「母乳サイエンス」の言葉を削除し、その名称を変更することを求めます。

 私たちの求めに対し、2005年3月17日までに文書でご返答をいただくことを要望いたします。
(ご返答の宛先は、〒065-0023 札幌市東区北23条東1丁目7番5号 日本ラクテーション・コンサルタント協会事務局までお願いいたします。)

    日本母乳哺育学会             理事長   小林登
    日本母乳の会               運営委員長 橋本武夫
    日本ラクテーション・コンサルタント協会  代表    越山茂代
    (五十音順)

早春賦~覚えておきたい日本の童謡・唱歌

2005年03月09日 | こども・小児科
「春は名のみの 風の寒さや」、ちょうど今頃の天候を歌っているのでしょう。この1か月ほど、本屋に行くたびに手にとってどうしようか迷っていた『覚えておきたい日本の童謡・唱歌名曲50選』を買ってしまいましたが(ジョギングシューズを予算よりだいぶ安いものにしたので^^;)、全50曲120分のCD2枚付きで全曲の歌詞、美しい写真や情緒溢れる挿絵がついて1400円ですから、これはお勧めですね。

覚えておきたい日本の童謡・唱歌名曲50選

楽書舘

このアイテムの詳細を見る


最近の学校ではこういった唱歌を教えなくなっているということで、うちの子も知らない曲がかなりあるようですが、あまり人のことは言えません。私自身も一応ほとんどの曲は知っているものの、2番以下の歌詞がわかる曲はほんの僅かだし、冒頭の早春賦にしても子どもの頃は「なのみって何の実のこと?」と疑問に思っていたりして、あらためて歌詞を読みなおしてみると格調高く美しい日本語の響きに心を動かされます。故郷、朧月夜、冬景色、夏は来ぬ、そしてシャボン玉。そういえば唱歌や童謡でなくても、知床旅情や学生時代(♪つたの絡まる~)といった世代を越え時代を越えて歌い継がれる名曲がありました。こうやって郷愁に浸ってしまうのも加齢現象の部分が大きいとは思いますが、それだけでなく良いものは良いし、伝えるべきものは次世代に伝えていかないと、子どもの遊びの文化などとともにあっという間に滅びてしまいかねません。そういう意味でこの本の企画は時宜を得たものでした。(なお、演奏のみで歌は収録されていませんので念のためおことわりしておきます)

おしゃぶりについての考え方(小児科と小児歯科の保健検討委員会)

2005年03月08日 | こども・小児科
 小児科医と小児歯科医の学会や各団体代表で構成された「小児科と小児歯科の保健検討委員会」から「おしゃぶりについての考え方」という提言が出されています。元ファイルはPDFで日本小児科医会のHPに掲載されていてどなたでもご覧いただけますが、テキスト部分を全文を引用しますので参考にしてください(資料の表は元ファイルをご覧下さい)。結論は「5」の部分に書かれていますが、なるべくならおしゃぶりをさせない、使う場合でも最低限にしておしゃぶりで手抜き育児をしない、2歳半までにやめさせるようにする、4歳以降も続く時は情緒的な面を考慮して小児科医に相談する、といったどなたにも納得していただける内容になっています。そういえば、うちの子も2番目はおしゃぶり(上は指しゃぶり)していて、おしゃぶりがなくなると大変だったけど、お誕生日だからと言って聞かせたら憑き物が落ちたようにやめられたな。あれは2歳だったか、3歳だったか、、(?)

おしゃぶりについての考え方
平成17年1月12日
小児科と小児歯科の保健検討委員会

はじめに
 最近「おしゃぶりは舌や顎の発達を助けて鼻呼吸を促す」という宣伝文句やフォルダーを付けたファッション性が受けてか、乳幼児におしゃぶりを与えている親が多い。また乳児が泣いたときに泣き止ます手段としておしゃぶりを使用している母親をよく見かける。小児歯科医は指しゃぶりほどではないが、おしゃぶりを長期に使用すると乳歯の噛み合わせに悪影響を与えると考えている。子どもを育てる母親からみると便利な育児用品でもある。親子のふれあいが大切な乳幼児期に口を塞いでおいてよいのだろうかという疑問もある。小児科医は胎児も母体内で指しゃぶりしているので、乳児の指しゃぶりは自然の行為であり、それに代わるおしゃぶり行為も当然と理解している。そして言葉を話すようになると自然に取れることが多いので、それほど問題にしていない。こんな背景からおしゃぶりの使用について小児保健の現場で混乱が生じているのも事実である。そこで、小児科と小児歯科の保健検討委員会でおしゃぶりの望ましいあり方について検討を行なった。

1.おしゃぶり、指しゃぶりが咬合(噛み合わせ)に及ぼす影響
 おしゃぶりや指しゃぶりと乳歯の噛み合わせとの関係を調べるため、米津は1歳6か月児、2歳児、3歳児、5歳児歯科健康診査に来院した1,120名について調査した(表1、表2)。その結果、2歳児では指しゃぶり(吸指群)で出っ歯(上顎前突)が、おしゃぶり群で開咬が高頻度にみられ、5歳児ではこの傾向がさらに増大したと報告している。今村らは4-5歳の小児432名についておしゃぶり、指しゃぶりと乳前歯部開咬について調査し、おしゃぶり群は指しゃぶり群より軽度だが、年齢が高くなるまで長期に使用すると乳前歯部が開咬となりやすいという結果を得ている(表3)。いずれの調査もおしゃぶりを長期に使用すると噛み合わせに悪い影響を与えることを示している。

2.おしゃぶりや指しゃぶりは何歳ころまで行われているか。
 前述の米津の調査の中の「年齢別にみた各種吸啜行動の発現率」によると、おしゃぶりの使用は3歳になると急激に減少する(表4)。これに対し指しゃぶりは4歳頃まで行われている。

3. おしゃぶりの使用年齢と噛み合わせ
 おしゃぶりを使用している子どもは、使用していない小児と比較して上顎前突、開咬および乳臼歯交叉咬合の発現率が極めて高い。この傾向は1歳6か月、2歳でも見られるが、止めると噛み合わせの異常は改善しやすい。しかし、乳臼歯が生え揃う2歳半、さらに3歳過ぎまで使用していると噛み合わせの異常が残ってしまう。小児歯科の立場からすると2歳までに止めて欲しいが、現状では3歳過ぎまで使い続けている子どももいる。

4. おしゃぶりの利点と欠点
 明確な根拠はないが、一般的に言われている歩き始めから2歳過ぎまでのおしゃぶり使用の利点と欠点をまとめてみた。
 利点としては精神的安定、簡単に泣き止む、静かになる、入眠がスムース、母親の子育てのストレスが減るなどが挙げられる。おしゃぶりの宣伝に使用されている「鼻呼吸や舌や顎の発達を促進する」は現時点では学問的に検証されていない。
 欠点としては習慣性となりやすく、長期間使用すると噛み合わせが悪くなる、子どもがどうして泣いているのかを考えないで使用する、あやすのが減る、ことば掛けが減る、ふれあいが減る、発語の機会が減るなどが挙げられる。
 5-6か月以降の乳児はなんでも口へもっていってしゃぶる。これは目と手の協調運動の学習とともに、いろいろのものをしゃぶって形や味、性状を学習しているのである。おしゃぶりを使用していると手で掴んでも口へ持っていくことができず、このような学習の機会が奪われることになる。親の働きかけに対する声出しや、自分からの声出しもできない。おしゃぶりは一度使用すると長時間にわたり使用する傾向があるので、発達に必要なこのような機会が失われることが気になる。しかしおしゃぶりが、愛着形成を阻害するという意見については学問的根拠はない。
 噛み合わせの異常は2歳頃までに使用を中止すれば発育とともに改善される。従っておしゃぶりの害は乳臼歯が生え揃い、開咬や乳臼歯交差咬合などの噛み合わせの異常が存続しやすくなる2歳半から3歳過ぎになっても使用している場合といえる。

5. おしゃぶり使用の考え方
 おしゃぶりは出来るだけ使用しない方がよいが、もし使用するなら咬合の異常を防ぐために、次の点に留意する。
① 発語やことばを覚える1歳過ぎになったら、おしゃぶりのフォルダーを外して、常時使用しないようにする。
② おそくとも2歳半までに使用を中止するようにする。
③ おしゃぶりを使用している間も、声かけや一緒に遊ぶなどの子どもとのふれあいを大切にして、子どもがして欲しいことや、したいことを満足させるように心がける。子育ての手抜きとし便利性からだけでおしゃぶりを使用しないようにする。
④ おしゃぶりだけでなく指しゃぶりも習慣づけないようにするには、③の方法を行う。
⑤ 4歳以降になってもおしゃぶりが取れない場合は、情緒的な面を考慮してかかりつけの小児科医に相談することを勧める。

小児科と小児歯科の保健検討委員会
代表 前川喜平
副代表 高木祐三
日本小児科学会 河野陽一(千葉大学小児科大学院教授)
日本小児保健協会 前田隆秀(日本大学松戸歯学部教授)
日本小児科医会 神川晃(神川小児科クリニック)
日本小児歯科学会 小口春久(日本歯科大学教授、日本小児歯科学会監事)
全国小児歯科開業医会 丸山進一郎(アリスバンビーニ小児歯科)
検討委員 巷野悟郎(こどもの城小児保健クリニック、日本保育園保健協議会会長)
前川喜平(神奈川県立保健福祉大学教授、東京慈恵会医科大学名誉教授)
松平隆光(松平小児科、文京区医師会長)
高木祐三(東京医科歯科大学大学院教授、日本小児歯科学会学術委員長)
井上美津子(昭和大学歯学部小児歯科助教授)
伊藤憲春(ミルク小児歯科、日本小児歯科学会関東地方会幹事)
書記中林雅子(神奈川県立保健福祉大学看護部)

八戸にも、春がきた

2005年03月07日 | NEWS / TOPICS
「春一番」(リンク先はキャンディーズ)といえば全国共通だと思っていたら、ここらへんでは春一番は吹かないし、慣習的にはえんぶりが過ぎればそろそろ春の話をし出すのですが、今年はその後2週間寒くて雪が降り凍える日々が続きました。しかし、ここらで勝手に春がきたと言っても誰に怒られるわけでもない。4日に東京に2cmの雪(←で大騒ぎするな、と言いたい)をもたらした低気圧が東に抜けて、大雪を覚悟して早起きしたけど大したことなく終わった5日の朝をもって「春がきた」と私的に認定します。今日まで3日間晴天が続き、本日の予想最高気温は10℃。屋根の南側の雪も、あれほど長く伸びた屋根のつららもすっかり落ちてしまいました(写真にとっておくんだったと今頃になって思う)。このあと、今月中旬までは「彼岸じゃらく」と呼ばれる湿って重たいドカ雪が一度はあるものと覚悟はしていますが、それもお彼岸まで。凍っていた歩道の雪が溶けたら、ウォーキングやジョギングを再開しないと。
(インフルエンザの流行は今がピークです)

雪まくり(くば小児科blog 2月24日)
梅も桜も...(くば小児科BBS 1999年3月1日)
彼岸じゃらく
青森県の方言解説(南部弁編)第26回~春の訪れ~(メルマガあおもり)

びわ湖マラソン細川世界内定で残り2枠は微妙に

2005年03月06日 | SPORTS
日曜日恒例(^^;)のマラソン観戦録ですが、第60回びわ湖毎日マラソンは最後の世界代表枠を巡って細川が3位で代表に内定し、アテネ五輪銅メダルで時の人となったデ・リマは途中棄権に終わりました。

毎日新聞の事前特集記事は3年ぶりのマラソンで復活を果たした藤田、今回5位の松宮高塚の3選手。

これで男子マラソンの世界代表選考レースはすべて終了し、別大マラソンのときに入船当確と勝手に書きましたが、最後の2枠は非常に微妙になってきました。今回4位5位の奥谷と松宮は細川とのタイム差が少なくて9分30秒を切ってますから順当なら選ばれると思うのですが、「優勝」と5位という比較からすると入船を入れたい気もします。女子の結果と共に、注目されますね。今回は5人と人数が多いし、オリンピックの時のような騒ぎにはならないと思いますが。

その女子の方は、千葉真子が左ひざ痛で名古屋国際を欠場とのことで、観戦の楽しみが減って残念ですが仕方ないですね。ちゃんと直して次回を期待したいと思います。調整が順調なら渋井の独走になるのでしょうか。シドニー7位の山口衛里が現役引退を表明というこれまた残念なニュース。実績もベストタイムも誇れる成績でしたが、シドニー後は故障で復活を果たせなかったようです。大学で学びながらNPOの組織づくりに関わるということですが、ランニング関係のNPOなのでしょうか。今後は、後輩の坂本選手の活躍に期待したいと思いますが、先日の横浜女子駅伝も欠場し、今年いっぱいマラソン出場はないような情報ですね。

その他には、仙台育英のワンジルがトヨタ九州へ入部し、森下広一監督は「マラソンで世界記録を狙わせる」と話し、来シーズンにも初マラソンに挑戦させる意向を示したというニュースが目につきました。同じ仙台育英の佐藤秀和は順天堂に入るようですが、箱根の4年間で潰されなければいいのですが。(将来の日本男子マラソンのエースを期待したい)

マラソン中の突然死のニュース(61歳会社員、途中で倒れ死亡 埼玉・上里)については、後日またあらためて取り上げたいと思います。リンクの毎日の記事は長期保存されないかもしれませんが、その際は記事タイトルのみで失礼します。

受動喫煙の診断基準とプロ野球選手の喫煙

2005年03月05日 | 禁煙・防煙
先日のタバコ規制枠組条約(FCTC)発効をはさんで開催された禁煙医師連盟の総会(3/2掲載)では、その他に2つの目立った進展がありました。 一つは受動喫煙の診断基準作成(完成したわけではなく現在様々な状況を想定して作業中のようです)。もう一つは、プロ野球界へのアプローチです。

前者については、診断基準に合致しない受動喫煙は容認するという意味ではなく、あくまで現実におきている事態に対する医学的(あるいは法的)な受動喫煙被害の診断基準作りであり、全ての受動喫煙をなくさなくてはいけないという立場は変わるものではありません。

後者は、もともと一流スポーツ選手の喫煙(特に野球とゴルフ)や少年スポーツ指導者の喫煙について問題視していたところに、例のダルビッシュ投手の喫煙問題(2/22掲載)が重なったこともあり、連盟として「子どもたちに大きな影響力があるプロ野球選手たちの喫煙状況や、球場などでの受動喫煙防止対策、球団の指導などについて、12球団に対しアンケートを実施することも決めた」ということのようです。希望したような、ダ投手や球団への禁煙治療・禁煙指導まではいきませんでしたが、現実は一歩ずつ大きく前進しています。しかし、一方でまた「養老のバカ(の壁)」が何か書いているようで、医学者の恥です。他にどれほど傾聴に値することを書いたりしていても、この一点をもってして他の実績を全てぶち壊すだけでなく、軽蔑せざるを得ません。医学者が反禁煙運動に身を投じているのですから。

受動喫煙:初の診断基準 健康被害を6段階に分類(毎日)
受動喫煙の診断基準作成へ 禁煙推進医師連盟(朝日)

『アランフェス』と『第九』

2005年03月04日 | ART / CULTURE
村治佳織と東京都交響楽団による『アランフェス協奏曲』ほかの演奏会が8月7日(日)、八戸市民フィルと市民合唱団によるベートーベンの『第九』演奏会が11月19日(土)・20日(日)。今年はデーリー東北創刊60周年記念事業の2つの演奏会を楽しめそうです。村治佳織は、古楽を演奏した『グリーンスリーブス』というCDしか持っていないのですが、女子フィギュアスケートを見るたびに『アランフェス』を買わなくっちゃと思いつつ何だか買いそびれてました。

思い立って公式ページやAmazonなどで調べてみたところ、『アランフェス協奏曲』にはCDに加えてXRCDとDVD AUDIO、限定アナログ版の4種類が発売されていることが判明。しかし、XRCDとかDVD AUDIOって、何のことだろう。ネット社会に生きていながら最新技術の情報に疎くなっている自分に気づかされます。

Extended Resolution Compact Disc (xrcd)
xrcd について
xrcdとは...
 一言でいうと、どの CD player(例えば、MIDIシステム)で再生しても断然良い音質で聴くことができるCDソフトです。xrcdは特定のFormatではありません。普通のCDです。
なぜ良い音質なのか...
 マスタリングからCD製造に至る制作工程を徹底管理した事により生まれたものです。

DVD-Audioとは(IT用語辞典e-Words)
DVDオーディオプロモーション協議会

問題は第九。かねてから機会があれば一度歌ってみたいと思っていたのですが、なんせ素人だし声は出ないし楽譜もちゃんとは読めないし、コーラスをやっている知り合いも何人かいるので(多分今回も出場するのでしょう)僅かながらでも繋がりはあるのですが、いざ申し込むとなると躊躇してしまいますね。しばらくは、わが家にある2枚の第九のCD(フルトベングラーとカラヤン)を聞きながら自問自答を続けてみましょう。

雛人形に託した子どもの健康

2005年03月03日 | こども・小児科
3月3日は桃の節句、ひな祭り。
ひな祭りといっても、雛人形を飾るくらいで特別なことをしない家庭も多いと思いますが(特に子どもが大きくなってしまったら)、「ひな祭り」や「雛人形」をネットで検索してみると、雛人形に子どもの健康や厄よけを託して「流し雛」として身代わりに川に流す行事から由来するものだということがわかります。少し前までは、どうして大切なお雛様を流してしまうのかよくわからなかったのですが、お人形やぬいぐるみは今も昔も子どもの心の安定と健全な発達のために必要なもので、心理療法や心のケアなどでも用いられます。ところで、当地に伝わる「おしらさま」とお雛様は関係があるのではないかと思っていたのですが、調べてみると金田一春彦も「おしらさま」と「おひなさま」の語源は同じと述べていたということがおひなさまと「おしらさま」(花崗岩のつぶやき)に書かれていました。ご存じのように遠野は八戸南部氏が移住した地であり、おひなさまとおしらさまの関係も含めて、今年の夏にでも行って歩きまわり遠野物語と八戸の歴史を学んでみたいと思ってます。

ひな祭りの歴史
☆ひなまつり☆の豆知識
・平安時代、上巳の節句に薬草を摘んで体のけがれを祓い健康・厄除けを願った
・宮中の"紙のきせかえ人形"で遊ぶ「せいな遊び」と融合
・自分の災厄を引き受けてくれたその紙人形を川に流す『流し雛』へと発展
(詳しくは元サイトをお読み下さい)

ひな祭り版リカちゃん人形、都内で公開

祝!タバコ規制枠組条約発効/NHKのJT広報たれ流し報道

2005年03月02日 | 禁煙・防煙
2月27日にたばこ規制枠組み条約(FCTC)が発効になりました。FCTCについては現在と将来の世代をたばこの害から守るためのアピール(2004年11月28日)をはじめとして昨年6月のblog開設以来5回ほど触れてきましたが、いよいよタバコ規制新時代が到来しました。

FCTCの内容や問題点などについては、「子どもに無煙環境を」推進協議会の「Q&A」や「政府への重点要請」などをご覧下さい。26-27日には禁煙推進医師連盟の総会・学会が開催されていて、有志でFCTCの人文字をつくったことも報道されていますが、私は残念ながら同じ東京でも日医の乳幼児保健講習会の方に出席していたので参加できませんでした。<写真>

また、各紙の記事の主なものは下記の通りですが、社説では朝日、読売が大幅値上げに言及し、産経や自販機規制にも及び腰、毎日・河北・東奥・デーリーは社説に取り上げられませんでした。

NHKではBSで英国のパブ禁煙議論について特集していたので録画したのですが、その特集と総合テレビのニュースでの表現などで4つの大きな問題がありました。(特集やニュース全体での内容はまあ問題ないし、話題にしてくれるのは良いのですが)

1)「個人の嗜好の問題であるタバコを国際条約で規制するのはなぜか」という設問のもとに解説していたが、第一にタバコは個人の嗜好の問題ではなく、ニコチン依存という薬物依存症の問題であること。喫煙者の大多数は好んで吸い続けているのではなく、やめたくても止められずに喫煙している。

2)国際条約が各国民に対して禁煙を義務づけたりするのではなく、条約が縛っているのは締結した国(国家)であり、各国が有効な規制を法制化などして実施することを義務づけているのです。そして、その内容は「現代版死の商人」であるタバコ会社があらゆる国に対して命と引き替えにタバコ販売を拡大し続けていることに対して、広告や販売規制などあらゆる手段で国が規制して国民を守ること。規制すべき悪は喫煙者ではなくタバコ会社。規制すべき主体は国。というのが普通の国なのですが、日本の場合は国がタバコ会社の筆頭株主であり、しかも法律でタバコ産業の振興を奨励しているので、規制すべき国が規制される対象でもあるという不可思議な現象になっています。そのためには、タバコ事業法の抜本改正または撤廃と、国がJT株を全て放出することが必要です。

3)最後にJT広報担当者の言い分をそのままナマで(本人のインタビューで)流していたが、これはニュースの中でJTの広報を行っていることと同義であり、それ自体がFCTCに違反している。その内容は、いつもと同じ「タバコ規制が強まっていることの一因には喫煙者のマナーの問題もあり、マナー向上につとめて喫煙者と非喫煙者の共存をはかりたい。タバコは500年の歴史を持つ文化であり、これからもその文化を培っていけるのではないか」などという全く意味のないもの。繰り返しますが、国際条約で規制すべき「悪」はタバコ会社の「利益のためには利用者の命など省みない」という企業として致命的な悪徳戦略(普通の企業だったら存立し得ない)であることを、報道関係者も国民も銘記してほしい。

4)自販機規制については、成人認識自販機にだけ触れているが、現状で(FCTC発効前から)違法状態にある全国60万台の自販機の摘発や撤去が先決であり、JTの「まやかし対策」である成人認識自販機にだけ言及するのは上記と同様にJT広報機関に成り下がっていると言えます。

たばこ規制条約 発効(読売)
[たばこ条約]「喫煙大国のままでいいだろうか」(読売社説)
「たばこ規制枠組み条約」発効 日本も4月から規制強化(朝日)
受動喫煙の診断基準作成へ 禁煙推進医師連盟(朝日)
たばこ条約――ひと箱千円だっていい(朝日社説)
【主張】たばこ規制条約 国民を煙から守る戦略を
(「タバコ」のかな表記については原文のまま。新聞社により永く保存されないページもあります)