レシピは、今が出盛りの黒枝豆ともち米で作る「おこわ」です。洗ったもち米を一晩水に浸して
ザルにあげ、茹でた黒枝豆をさやからとり出し、もち米と混ぜて蒸し上げました。
この料理のヒントは、旅先の夕食で先付けに次ぐ「お凌ぎ」に出された「黒枝豆の飯蒸し」です。
枝豆は甘皮を剥かず黒いままのようでした。薄味をつけて蒸したもち米と枝豆を合わせて蒸し
たもので、量はほんの一口程度・・量が少ないので、おいしさが引き立ちました。
夏のはじめに出回る枝豆を茹でて甘皮を剥き、炊きたてのご飯に混ぜて作る「枝豆ご飯」も
美味しいものですが、飯蒸しは、豆も米も材料が異なり、作り方も違う・・全く別種のものでした。
吉兆創始者、湯木貞一さんは「飯蒸し」にことのほか思い入れがあったようで、その著「吉兆味
ばなし・三」の一節に「・・・いい蒸しもまた、秋にかけていいもので、吉兆名物の一つです・・・」と
述べています。
湯木さんが大阪・新町に開業したころ、初めに「ふた茶碗」で飯蒸しをまず出してから、お刺身を
出すようにしていた・・お客の中には、酒を飲もうと思ったのにご飯を先に出して・・と叱言を言う
方があった・・と湯木さんは回想しています。
湯木さんのような、本格的な飯蒸しを作ろうとしたら、七分通りに蒸した米に酒と塩で味つけをし、
具材を混ぜて茶碗に入れ、更に蒸す・・大変にテマがかかります。誰でもできるように手抜きの
「飯蒸し」にしよう・・と考えたのがレシピのやり方です。
塩だけで味付けしたシンプルな、「飯蒸し」というより「おこわ」ですが、もち米と黒枝豆があれば
簡単にできる「秋の味覚」を楽しんで欲しいと思います。
9月の始め、現役のころの職場仲間と湖北旅行しました。その日の夕餉に出された一品が「黒枝
豆の飯蒸し」でした。折しも、お隣から丹波の黒豆・枝つきを頂いたので試作することに・・もち米は
昨年末、餅つきした残りを使います。手探りで作った「黒枝豆の飯蒸し」・・美味しいのができました。
材 料
もち米 2カップ 300g ・・水洗いして一晩水に浸ける
黒枝豆 2カップ 200g ・・茹でて皮むきしたもの
水 5カップ 900cc
塩 適量
作り方
黒枝豆を茹でる
さやつきの豆をなり枝からもぎ取り、水洗い
して、熱湯で10分ほど茹でる。
・・茹でた豆をさやから取り出して使うので、
莢の両端を切り落とす・・などのテマは不要・・
豆の量は好みで増減する・・ここでは2カップ
もち米と同量にしました。
もち米を水切りする
一晩=12時間浸けたもち米をザルにあけて
30分水切りする。
もち米と黒枝豆を混ぜて蒸し器にかける
蒸し器の底に水を入れ、中ブタをして湿した
蒸し布を敷き、その上に枝豆を混ぜたもち米
を平らにして2%の塩水を万遍なく振る。
・・飯蒸しに塩味をつけるためで強めは禁物・・
蒸し布の四つ端をもち米の上に畳み、蒸し器
のフタをして強火にかける。
鍋底の水が沸騰し、蒸気が出始めてからも
強火のまま25分~30分程蒸して出来あがり。
粗熱が取れたら、温かいうちに器に盛る。
蒸すのに使った「蒸し布」は1枚500円程。
冷ご飯を蒸す時使いましたが、今はレンジに
代わりました。蒸し物料理に便利な布です。