熊本熊的日常

日常生活についての雑記

記憶にございません

2009年05月18日 | Weblog
東京ではふたつの「ルーヴル展」が開催されている。ひとつは国立西洋美術館での「ルーヴル美術館展 17世紀のヨーロッパ絵画」、もうひとつは国立新美術館の「ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち」だ。

「ヨーロッパ絵画」で何よりも衝撃的だったのは、確かに昨年7月に観たはずの作品が、一部を除いて自分の記憶から欠落していたことである。覚悟はしていたが、今日訪れた「子どもたち」のほうは、初めて目にするものばかり、であるように感じられた。昨年夏のルーヴルでは時間の制約から古代文明の出土品を殆ど観ていないという事情があるにせよ、やはり自分としては衝撃的なことである。

それにしても「子どもたち」の企画はよく考えたものだと感心させられる。ロンドンで観た企画展はどれも作品の質量ともに潤沢なのでハズレがなかった。そもそも西洋美術の下地が薄い日本では、調達できる作品に様々な制約があるのは当然で、本拠地と肩を並べるような企画は無理というものだ。しかし、そうした制約をものともせず、調達可能な作品を組み合わせて面白い企画が展開されている。

今回の「子どもたち」に使われている作品も、おそらく「ヨーロッパ絵画」に展示されている作品群と一緒に借り出されたものだろう。ふたつの展覧会に分けず、「ルーヴル展」としてより大規模に行うという選択肢もあったはずだ。実際にはテーマ性を重視してこのように分けたのは、美術関係者にとっては当然の判断なのかもしれないが、鑑賞者の立場からしても、作品の背景のようなものがわかりやすく、より深い興味や感心をかき立てられて楽しいことである。