TVでもネットでも全く宣伝していないので全然知らなかったのですが、映画館のHPを観ていて偶然見つけて興味があったので観てきました。
最後に映画を観たのは2020年1月なので、実に1年10ケ月振りの映画鑑賞です。
「ONODA 一万夜を越えて」・・・太平洋戦争の終戦を知らずにルバング島で29年間(一万夜以上)戦い続けた小野田寛郎さんを中心に描いた作品で、脚本・監督はフランス人で制作もフランスが中心になっているようです。(出演者は勿論日本人でせりふも日本語です。)
カンヌ映画祭でも上映されたようです。
映画『ONODA 一万夜を越えて』2021年10月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国公開 (onoda-movie.com)
内容は、題名の通り小野田寛夫さんが軍隊に入隊してから特殊な訓練を受け、ルバング島に派遣され、戦後29年経ってから投降するまでを描いたもので、一部脚色はありますが、ほぼ事実に基づいて作られています。
小野田寛郎さんを描いた映画やTVドラマは過去にもあったと思いますし、観たこともある筈ですが、あまりよく憶えておらず、今回が初めてのようなものです。
1974年に帰国されているので、私が高校を卒業する頃で、当時の報道などはよく憶えています。
小野田さんご自身に与えられた訓練や任務、29年間の遊撃戦や諜報活動の状況が克明に描かれていて、非常に重い映画ですし、見応えもあり、そういう意味では期待以上の作品です。
但し、個人的に残念だったのは投降したところで映画が終ってしまっていることです。
投降してから帰国するまでの色々なプロセスや帰国後の小野田さんご自身の心の動きなどがもう少し描かれれば、もっと良かったのになぁ・・・という気がします。
観る人によって感想が分かれる作品だと思います。
この先、観たい映画が結構続くので、コロナ第6波が来ないことを祈っています。
リドリー・スコット監督「最後の決闘裁判」、イタリア映画「ほんとうのピノッキオ」、ジュディ・フォスター「モーリタニアン 黒塗りの記録」などなど・・・
陸軍中野学校出身。強靭な精神力で約30年間もジャングルに潜み続けるその気力・体力はどこから来たのか、戦後生まれの我々には、真に理解することは難しいのかもしれません。
後年は変わってしまった日本に馴染めず、確かブラジルに渡りご苦労されながら農場経営を成功させ、ブラジルの軍から勲章を授与されたと思います。
その勲章を授与された時の事で、何の媒体か忘れてしまいましたが、北朝鮮の日本人拉致について「私の時代だったら、戦争になっている。国民を守れないなんて考えたくない」というようなコメントを聞いた覚えがあります。間違っていたら申し訳ありません。訂正します。
ただ戦前と戦後、体制の激変、そして良い悪いはあると思いますが、根っこの部分で大切なところを日本は失ってしまったのかもしれませんね。
この映画の事は私もつい最近知り、ちょっと興味がありました。
実は私、授業で30年程前に小野田さんの公演会に行きました。友人達は皆興味が無く、一人別行動で最前列の真ん中(!)を陣取り拝聴しました。日本を離れた訳や農園のお話しでした。
居眠りする連中がいる中、熱心に耳を傾けた(であろう)私に時折目を合わせて頂いたのが良い思い出です。発見/帰国当時の鋭い眼光や、敬礼の指先にまで感じた緊張感が嘘のような、とても優しい眼差しを覚えています.....。
著名な軍人で唯一拝顔出来た方でもあり、小野田さんは強烈な印象を今も放っています。
実はこの映画の感想をブログに載せるべきかどうか迷いました。
簡単にサラっと書けるようなことじゃないんです。
小野田さんはルバング島の30年以上に帰国後の30年の方が苦悩が大きかったのかも知れないと思います。
日本という国の政治(お上)と国民(民)の関わり方があの頃と今で何も変わっていないんじゃないかとか・・・そんな事を否応なしに考えさせられる映画です。
2006年にクリント・イーストウッドが作った「硫黄島からの手紙」を思い出しました。
どちらも外国人が作った日本の戦争映画ですが、日本人には描けない視点で描かれ、突きつけられているような気がしました。
まだ戦い続けたのは、戦陣訓が大きく
影響していたのでしょう
戦争は何もかも破壊している中でのことでしょう。
この映画を観て、教育や訓練の効果と恐ろしさの両面を実感しました。
当たり前のことかも知れませんが、戦争は生き残った人の心まで破壊してしまうんですね。
戦いが終れば、それでお終いでは無いんです。
無事40周年を迎えました。
時の経つのは速いものです。
全く宣伝していない映画なので知らない人が殆どだと思います。
私も映画館の上映スケジュールを見ていて偶然見つけました。
小野田さんの講演を直に拝聴されたとは素晴らしいです。
私には想像もつきませんが、やはり普通の人ではなかったのだと思います。