万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の70年談話干渉により浮かび上がる価値の共有なき連合国

2015年03月18日 15時05分51秒 | 国際政治
ロシアのパレードに中国軍参加=戦勝70年、G7は欠席の動き(時事通信) - goo ニュース
 第二次世界大戦から70年が経過したにもかかわらず、中国の強圧的な態度を見ますと、この大戦が未だに尾を引いていることを実感せざるを得ません。今夏に予定されている70年談話の内容を、何としても中国の歴史観に合わさせようと、陰に陽に日本国に圧力をかけているからです。

 中国としては、第二次世界大戦を日本国を含むファシスト諸国に対する連合国の戦争として位置付け、自らは、戦勝国の一員として70周年を祝いたいのでしょう。戦勝国を強調するロシアの態度も中国と然して変わりはありません。しかしながら、中ロ以外の旧連合国諸国は、実のところ、両国の態度に困惑しているのではないでしょうか。何故ならば、第二次世界大戦当時にあって、ソ連邦(ロシア)と手を結んだのは、共通の敵を前にした一時的な打算の結果に過ぎないからです。第二次世界大戦において連合国が掲げた大義は、ナチス・ドイツと共にポーランドを侵略したソ連を連合国に引き入れた時点で色褪せてしまい、戦後も、1949年に共産党一党独裁の中華人民共和国が成立し、中華民国の後継を自称することで、この矛盾はさらに深まりました。価値の共有なき連合国は、早晩、元の対立状態に戻り、終戦を待つまでもなく冷戦を以って東西両陣営が鋭く対峙したのです。戦後、西側諸国は、旧枢軸諸国とは価値観を共有してはいても、東側諸国とは価値観を共有していません。冷戦崩壊後の今なおも、価値観、あるいは、イデオロギーをめぐる対立は続いているのです。

 共産党一党独裁国家である中国の歴史認識の強要と戦勝国アピールに違和感を感じるのは、歴史的には連合国の一員とは言い難く、かつ、それを称するには異質であることによります。そして、自由主義を標榜した連合国最大の過ちが、全体主義国家との軍事同盟であったとする事実もまた浮かびあがてくるのです。

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コメント (2)
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