万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

韓国のAIIB参加-米中政経二重外交の行方

2015年03月27日 15時57分59秒 | 国際政治
 中国主導で鳴り物入りで設立されるアジアインフラ投資銀行。本日、韓国もまた、参加を表明した報じられております。決定機関である理事会さえ設置されない可能性があるにも拘わらず、かくも多くの諸国が参加表明することには驚かざるを得ません。加盟国に意見表明の場が保障されていなければ、内部からの改革は、夢のまた夢となるからです。

 ところで、戦後、韓国は、安全保障はアメリカに頼る一方で、経済面においては、日本国の支援を受けてきました(韓国側は、日本国の支援を決して認めようとも、感謝しようともしませんが…)。韓国は、政経両面において他国に依存してきたわけですが、中国の急速な台頭を受けて、この構図は大きく転換しつつあります。安全保障面においても、韓国は中国の人民解放軍との関係を強めていますが、最も顕著に表面化しているのは日韓関係の冷え込みです。韓国側からすれば、経済面において中国に依存できる以上(人口規模では中国は巨大市場…)、政治的に激しく対立している日本国をもはや”利用”する必要はないと算段しているのでしょう。そうでなければ、竹島問題にせよ、慰安婦問題にせよ、反日活動をここまで過激化させるはずもありません。しかしながら、韓国は、首尾よく、”政治はアメリカ、経済は中国”という”政経二重外交”とも言うべき状況を維持できるのでしょうか。

 ”中国の夢”がアジア(ゆくゆくは世界?)の覇者となって属国を従えることであるとしますと、中国が、政治面における韓国のアメリカ依存を許すとも思えません。AIIBへの参加は、米中間にあって韓国が中国を選択するか否かの試金石とも噂されてきましたが、韓国の”政経二重外交”は、中国への一元依存で終焉するシナリオもあり得ると思うのです。

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コメント (2)
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