万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国がアメリカに復讐しない理由

2015年03月13日 15時44分17秒 | 国際政治
 外国を訪れた日本人は、しばしば”何故、日本国はアメリカに復讐しないのか”と尋ねられることがあるそうです。都市の無差別空爆を受け、原爆を二発も投下されたというのに…と。

 日本人が復讐心を抱かない理由は、GHQによる徹底した占領政策や贖罪意識の植え込みといった点が指摘されてきましたし、日本人の気質として、”勝負は時の運”として潔く負けを認めるところもあります(戦国時代を通り抜けた日本人は、憎悪の感情を抜きにして、合理的な判断による同盟の組み換えがあることもよく理解している…)。加えて、昨日の記事で述べた世界ヴィジョンにおける戦争目的の達成も、日本人の多くに心理的な影響を与えたのではないかと思うのです。”負けて勝つ”という言葉がありますが、戦争の結果、アジア諸国の多くが独立したことは、日本国にとりましては何よりの朗報でした。闘った甲斐があったことが証明されたからです。日本国の戦争は、国力を考えれば、無謀な戦争であったと批判されているものの、仮に、あの時に米英蘭と激突していなければ、現在の世界地図は、随分と違ったものとなっていたことでしょう。日本国もまた、台湾や朝鮮半島といった海外領土や権益を全て失いましたが、日本人の殆どは、それを当然のこととして受け止めたのです。

 今日、日本国内では、”日米開戦に際して戦争回避の方法はなかったのか”という自省的な議論が盛んになされつつ、”しなくて済む戦争であったのか”という疑問も頭を過ります。先の戦争においては反省すべき点も多々あるのですが、アジアにおける第二次世界大戦には、ヨーロッパ戦線にはない問題が含まれていたことも事実です。”侵略戦争”とい言う言葉で第二次世界大戦における日本国の行動を全否定することは、戦争において日本国、並びに、日本国国民が払った犠牲を、全てに無しまうことになるのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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