風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽書き雑記「学生らのデジタルメディアの世界へ=大名古屋電脳博覧会2017」

2017-09-07 06:36:45 | 日記・エッセイ・コラム



「大名古屋電脳博覧会 2017」
ジタルの技術や表現を駆使して、アートやデザイン、遊びなどを生み出す、といった名古屋の芸術系大学の学生らによるイベント。
タイトルがでかいのは若者らしいノリだとしても、頭が相当柔らかくないと理解できないかなと思いつつ、会場の名古屋市民ギャラリー矢田(地下鉄ナゴヤドーム前矢田駅下車)へ出掛けてきました。10日(日)まで。

参加大学は愛知県立芸術大学、愛知産業大学、名古屋学芸大学、名古屋芸術大学、名古屋造形大学の計5校。メディア系学部・学科の学生らが「地域・つながり・今の旬」のキーワードで作品を展示しています。

会場には投影機やスクリーン、イヤホン、画像などが並びます。何のことやらさっぱり分かりませんので、大学の卒展巡りと同様、思い切って居合わせた学生に声を掛けます。

「これは何ですか」と尋ねた部屋では、バドミントンコートぐらいの床の2カ所に花模様が投影されています。
「花の中に入って体を動かすと、天井のセンサーが反応して花が増えます。多く咲かせて楽しむのです」と女子学生。

――ゲームの世界ですね。
「そうです。私とやってみませんか」
なるほど。向かい合うように立って体を動かすと、互いの「床の庭」の花がはじけるように増えます。花咲か爺さんならぬ「花咲かゲーム」ですね。

色も形も判然としない写真画像を前に、説明を受けました。
「パソコンの検索で何かの画像を出します。次に新たに似たような画像を出して重ねます。同様のことを何度も繰り返し、色も変えたりして重ねます。全く予期せぬ画像になりますが、見る人それぞれが何かを感じます」

近年、現代アートを中心に絵画の世界でも、画像処理による創作をよく耳にします。でも、絵画やCM制作ならまだしも、画像技術が世界を変える力さえ持つと思うと恐ろしくもなりますね。

「仮想アイドル計画」という作品は、目や眉毛、口、前髪、コスチューム、ペンライトなどの画像を用意して、さまざまな自分好みのアイドルがライブする姿を作りだしてもらう遊びのようです。

自分の時々の気持ちを描いた絵や写真をいっぱい貼り付け、入場者に1枚はがして机に置いてもらう作品も。はがした人は、どんな気持ちでその一枚を選んだのでしょう。最終日にはがされた絵や写真を綴って・・・。
デジタルとのかかわりはともかく、兼好法師は徒然草を後に誰かに読んでもらおうと思って書いたわけではない、との説をもとに編み出した作品のようで面白く思いました。

ピント外れの質問や理解もあったでしょうが、きちんと説明してやろうという学生らの意気を感じ、結構楽しめました。

 

 

 


楽描き水彩画「昔は運河、今は散策を楽しむ親水公園の一隅」

2017-09-06 06:36:12 | アート・文化


先に描いた三重県桑名市の赤レンガ倉庫の前にある、運河の一隅を描きました。
明治の豪商・諸戸清六が建設。この運河を使って、伊勢湾経由で米や肥料などを東西へ出入荷していたそうです。

運河は赤レンガ造り。10年前に来た時は、たくさんのレジャーボートや漁船が係留されていましたが、
今はその姿はなく旅行者や市民がつかの間の散策を楽しむ憩いの親水公園になっています。

 


 


楽書き雑記「ひまわりと新幹線」

2017-09-04 17:07:12 | 日記・エッセイ・コラム

岐阜県大垣市の平町地区にある「ひまわり畑」を見てきました。
開花期の終盤とはいえ、田んぼを黄金色に染めた光景に過行く夏を惜しんできました。

大垣市内には、休耕田を活用したひまわり畑が、この平町地区と墨俣町地区にあり、いずれも2・2㏊に約10万本のひまわりが夏を演出しています。

この日の訪問先を平町地区のひまわり畑を選んだのは、畑のそばを東海道新幹線が走っていることからでした。
新聞やテレビ、写真展などで、ひまわり畑に新幹線を入れた絵になる風景を何度も目にしており、現地へ行ってみたいな、と思っていたのです。

大きくなった種をびっしり付け頭を垂れる大輪。初秋の空に向かって背伸びする遅蒔きのひまわり。
プロやセミプロのみなさんのようにはいかないまでも、ヒマワリと新幹線のコラボもキャッチできました。

 

 

 


楽書き雑記「ART NEXT寓話とアポリアとサピエンスと=名古屋の若い現代アート画家の作品展へ」

2017-09-03 18:10:33 | 日記・エッセイ・コラム

 

 「ART NEXT 寓話とアポリアとサピエンスと 絵画の壁」
手にした展覧会スケジュール表にあった、ちょっと難解な表題に戸惑いながらも、「ART NEXT」の文字に覚えがあり、名古屋・伏見の電気文化会館の展示場へ出かけてきました。

やはり現代アートの絵画展。若い作家たちの若さあふれる表現に迎えられました。展覧会は10日(日)まで。

昨年の「ART NEXT」は、そのあとに「次代を創る10人の表現者たち」と続き、地元の有力ギャラリーが新進気鋭の作家を1人ずつ推奨して、絵画・写真・造形などの現代アートを紹介していました。
しかし2回目の今回は参加ギャラリーも少なく、絵画だけに絞っての開催になったようです。

展示されているのは芸大生を含む新進作家7人の作品。アクリルや油彩、色鉛筆などで描いた絵が並んでいます。
僕は現代アートに対する知識も理解力もあるわけではありませんが、愛知県内で昨年開かれた現代アート展「あいちトリエンナーレ」も、会場のほとんどを回って楽しんだものです。7人の作品にも若々しさと、実験的で挑戦的な表現に足が止まりました。

会場の電気文化会館5階の展示場のフロアはかなり広く、7人に1室ずつ与えられたブースは100号サイズの絵でも小さく見えるほど。「こんなに広いスペースで展示できる機会なんて、滅多にありません。幸せです」という言葉を聞きましたが、その通りでしょう。

ただ残念なのは、観覧者の人影が少なかったことです。
「現代アートは難しい」という一般的な受け止めがあるのは否めませんが、せっかくの作品が仲間内の発表会に終わってはつまらないでしょう。

展覧会ガイドなどはできるだけ分かり易く。作家のプロフィール、作品の狙いや思いの添付があれば・・・。ブース内の作品一覧表の文字などは、薄暗い部屋だけにもう少し大きくするなどの工夫があれば、と思いました。
卒展やトリエンナーレの一部で見かけた作品トークやワークショップも、知識が乏しい僕には現代アートに対する理解と親しみが深まったものです。




楽書き雑記「スイフヨウ(酔芙蓉)も見ごろに=名古屋・鶴舞公園」)

2017-09-02 18:58:46 | 日記・エッセイ・コラム

名古屋・鶴舞公園にある「スイフヨウ(酔芙蓉)園」を訪ねてきました。約60株がほぼ見ごろに。この日も名古屋は最高気温が31度と相変わらずの真夏日でしたが、秋を感じる青空に向かって妖艶な花を咲かせていました。

朝は白く、午後からは淡いピンクになり、赤くなって夕方にはしぼんでしまう1日花。この写真を撮ったのは午後2時半を少し回ったころです。

園内ではパンパスグラスや、東北八重という品種のヒマワリも秋の風に揺れていました。


 



楽書き雑記「90年前の『日米親善人形外交』を振り返る=名古屋で『青い目の人形と答礼人形 里帰り展』

2017-09-01 06:18:48 | 日記・エッセイ・コラム

 里帰りした答礼人形の市松人形「ミス愛知」。当時の一般的な市松人形の倍近い大きさである約80㎝。

正座することもできる

日米間の関係悪化を「人形の親善大使」が改善してくれれば――。
90年前の昭和初期、日米両国の市民レベルで試みられた「人形外交」を振り返る「青い目の人形と答礼人形 里帰り展」を、名古屋市博物館で見てきました。日本から贈った人形のうちの1体「ミス愛知」も展示されています。

関係悪化を食い止めることはできませんでしたが、国民レベルの親善交流の大切さを知らされます。展覧会は9月10日(日)まで。

人形外交は昭和2年(1927年)、米国人宣教師で同志社大や京都帝大の教壇にも立ったシドニー・ルイス・ギューリック博士が、人形を贈ることで両国民が互いを知り、友情が深まれば、と考えたのが発端でした。

米国内で子どもや母親たちに募金を呼びかけ、集まった約1万2000体の人形を日本のひな祭りに合わせて贈りました。
学校や幼稚園に配布された人形にはそれぞれ名前が付いており、手作りの人形や着せ替えの服、送り主の手紙が添えられるなど、国民の友情や平和への思いが込められていたといいます。

「青い目の人形」のプレゼントに、日本側も澁澤榮一が中心になって募金活動を展開。道府県や東京、大阪、名古屋などから合わせて58体の答礼人形が、クリスマスプレゼントとして米国へ贈られました。
答礼人形はかなり豪華な市松人形。それぞれ自治体の名前がついており、愛知県の人形には「ミス愛知」と名付けられていました。

しかし、こうした「人形大使」による親善外交の努力もむなしく、昭和16年(1941年)には日米間の戦争が勃発。日本国内の青い目の人形は「敵国人形」「スパイ人形」としてほとんどが処分されました。

全国に贈られた青い目の人形1万1973体のうち、これまでに見つかったのは337体。
愛知県には314体が配布され、見つかっているのは他県に贈られて、愛知県内で個人蔵になっている1体を合わせて計10体があるだけです。

一方、日本から米国に贈った答礼人形は戦後、多くが里帰り。行方不明になっていた「ミス愛知」も2010年、米国の日本人形研究家の手元にあることが分かり、今回の展覧会に合わせて借りることができました。
「ミス名古屋」も米国ジョージア州アトランタ市の歴史センターにあることが分かっていますが、今回展では借りることができなかったそうです。

展覧会は、愛知県内の有志たちでつくる「答礼人形を里帰りさせる会」の主催。この夏、豊川市を皮切りに一宮市、岡崎市を回り、今回の名古屋が最後の開催です。
展示されているのは、「ミス愛知」のほか、愛知県内の青い目の人形10体、それにギューリック博士の孫である「ギューリックⅢ世」夫妻が祖父の遺志をついで日本全国の学校などへ贈っている「新青い目の人形」約300体のうち愛知県内の10体です。

上の人形は、いずれも愛知県内に現存する青い目の人形です

 

ギューリックⅢ世夫妻から今年3月、新城市東陽小学校へ贈られた

新青い目の人形「タミー」

 

「ミス名古屋」。着物には名古屋の市章「マル八」が