リタイア暮らしは風の吹くまま

働く奥さんからリタイアして、人生の新ステージで目指すは
遊びと学びがたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

ゴードン・ライトフットを聞いて来た

2014年10月25日 | 日々の風の吹くまま
外はどよ~んとした空模様。午後いっぱいぼちぼちと仕事をして、早めに夕食。今夜はゴー
ドン・ライトフットのコンサート。クィーンエリザベス劇場はダウンタウンにあるし、雨がひどく
なって来たしでタクシーで行くことしたのはいいけど、電話をかけたら即刻ホールド。土曜日
の夜だから忙しいんだなあ。でも待てど暮らせど「まもなくおつなぎします」。おい、間に合わ
ないぞよ。結局10分近く待った挙句に諦めて車で行くことにした。

キャンビー橋を渡って、駐車スペースを探して目を凝らしていたら、おっ、路駐から出る車が
いる。しめたっ。速攻で場所を確保。駐車メーターもなくて、午後6時以降はただと来ていて
超ラッキー。3ブロックほど先の劇場に着いたら、タクシーの長い列が次々と客を降ろしてい
た。どうりでタクシーが出払っていたはずだなあ。ドレスサークルの席に落ち着いて、周りを
ぐるっと見渡したら、だいたいが50代から先の年代のメタボ体型でジーンズにスニーカーと
言う典型的な郊外族。まあ、フォークが流行した時代にシンガーソングライターとして活躍し
たライトフットは今年75歳。人気トリオのPP&Mが歌った「Early Morning Rain(朝の雨)」
は彼の作品。

年齢的にも1時間くらいのコンサートかと思ったら、休憩を挟んで2時間歌いっぱなし。圧巻
は何と言っても代表作の「The Wreck of the Edmund Fitzgerald(エドモンド・フィッツジェラ
ルド号の難破)」。1975年11月に五大湖のスペリオル湖で実際に起きた鉱石運搬船の遭
難を扱ったバラード。レイカーと呼ばれる五大湖を往来する貨物船で総トン数13000トン
超。この時期に多いノーイースターと呼ばれる暴風雪に遭遇して、僚船に「持ちこたえてい
る」と連絡した直後にレーダーから消え、3日後に真っ二つに折れて沈没しているのが発見
された。沈没の直接原因は諸説があるけど謎のまま。船長以下乗組員29人は船と一緒に
今でも湖底に眠っている。

ミクソリディアンスケールの物悲しいメロディに乗せて語られる約8分の叙事詩に、新聞もラ
ジオもなかった大昔に世の中の出来事を詩歌に託して津々浦々に伝えた吟遊詩人たちの
姿が見える。今やニュースが即時に世界を巡り、小さな二次元の枠の中で消費される時代。
もう歴史や事件を叙事詩に託して「歌い継ぐ」ような時代ではないんだろうな。チペワ族から
語り継がれる伝説は「11月の空が陰鬱になった時、大きな湖は死者を決して手放さない」
と言う・・・。